Poem|ボヤージュ



思い通りにならない体も
夜明けの方にしか進めない
凍てつくような空気に
心まで冷やして
からっぽの呼吸がこぼれる
地球最後の日にも
夜は変わらず明けると
予感させる
祈り

住み慣れない街もかならず
夜明けの方へ流れていく
瓦礫だらけの海も川も
なくしたものばかりの心さえも
全部 夜明けの方へ進んでいく

役に立たない祈りが
朝焼けの光にぼやけます
ボヤージュ
目に見えない流れにのって
いつまでも壊れない
永遠の舟が
どこかへ出航していく模様です

ボヤージュ/佐藤 咲生


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?