Poem|まぎれもなく



厚切りの光が差し込む部屋
はちみつ色にとろける
ひらいた小説の見返しは
ざらざらした手触りの紅掛空色
いまある体だけで過ごす
いまある体だけで生きる
なんて貧相で
なんて贅沢な、
みずみずしい時間。
生きるのは上手じゃない
けれど
ひらいた掌の上でぬくもっている、
これは
まぎれもなくいのち。


まぎれもなく/佐藤 咲生


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