「四月になれば彼女は」を読んで、過去の恋人を想った
久々に小説を読んで、今の感情をまとめたいという気持ちからnoteを開きました。というのも、現在スウェーデンに留学中でなかなか日本の本を読むことが無いのです。(読書は紙派だったのでなかなか電子書籍は購入せずここまで来ました。)
ふと眺めていたSNSで流れてきた藤井風さんの新曲。たどるとある映画の予告にたどり着きました。それが「四月になれば彼女は」でした。その時人間関係に区切りをつけよう、と考えていた時期であったため、そのあらすじと音楽を聞いて何故か涙が出てきました。
映画が公開される時期にはきっと日本に居ない。そして今すぐこの物語が読みたい。その気持ちからすぐに電子で購入し読み進めて行きました。自分の中でモヤモヤしていたものが言語化され、改めて自分の考えに気づくような、でもこれからどうしたら良いんだろう、など色んな感情が出てきて読み終わる頃には号泣していました。
自分の経験談と照らし合わせての感想になりますが、誰かに、そして将来の自分に、読んでいただけると嬉しいです。
四月になれば彼女は / 川村元気
ある日、結婚を控えた藤代に過去の恋人から手紙が届きます。過去の恋人との思い出、婚約者の出会い、現在、と3つの時系列で物語は進んでいきます。
過去の恋人であるハルが、藤代との思い出を綴った手紙です。私には2年弱付き合って別れた彼がいて、その彼のことを思い出していました。お互い嫌いになって別れたわけでは無い。けれどこのまま一緒に居ると自分がダメになってしまう。一度距離を置いたものの、今でも頻繁に連絡をとっている、ある意味親友のような存在の彼です。
彼を好きになって、付き合って最初の数ヶ月は、彼の嫌なところなんて本当に見つからなかった。何をするのも楽しくて、どんどん好きが増していって、この先も彼のことを嫌いになることなんてないな、そう思っていた頃の感情と似ていました。
これはのちに婚約者となる弥生が、藤代と運命や恋愛について話していた時の言葉です。恋愛を神経衰弱に例えるのは面白いなと思いました。
別れた彼はきっと今も私のことを思ってくれていて、付き合っていた頃と同じくらいの頻度で連絡を取ってくれる。留学中の心の支えになっていて、とても有難いし、遠いのにスウェーデンにまで会いに来ようとしてくれていました。そのまま一緒に北欧を旅行するつもりだったし、私もとても楽しみだったのだけれど、やっぱり恋人ではないし、今すぐ復縁できるかと言われると迷ってしまう部分があって、結局断ることにしました。
私たちは面白いと思うもの、美味しいと思うもの、楽しいと思うタイミング、長く一緒にいたからかよく似ていて、彼とはずっと話し続けられるような存在です。でもすでにお互いの手札は見せ合っていて、カードをめくって、新しく相手を知るようなことは今後無いのではないか。付き合った頃の、無条件に相手のことが好きでたまらなかった時とは同じ感情では無いなと自分でも思うのです。
これはハルから届いた最後の手紙に綴られていた文面です。私は彼のことが懐かしいのではなく、彼のことをまっすぐ思っていた私が懐かしいのではないか、そう思わされる文章でした。
彼はとても寛容な人で、私がピリピリして切羽詰まった時もそばに居てくれる人で、彼の作る料理はとても美味しくて毎回幸せな気持ちになって、私は何も返せていないと思うのに、一途に私のことを思ってくれていて。
ほんとうにこの通りだなと思います。永遠だと思っていた彼への好きの気持ちが、気づくと薄くなっていて。彼のことが好きだから一緒に居るのか、それとも彼が私にとってある意味都合の良い存在だから一緒に居るのか、付き合っているうちに分からなくなってきました。純粋に彼が好きだから、というよりもこうしてくれるから、のような条件付きの好きになっているような気がしてきました。
他にも諸々重なり、自分が辛い時に頼る存在が彼に依存してしまっている私が嫌になり、彼とはお別れすることになりました。
ここまでを約1ヶ月前の私が書いていて、その後の私の心境を綴ります。彼と会うのはどうしよう、とずっと考えていましたが、友人からこんな言葉を貰いました。
今の自分に好きな人がいる訳でも無く。でも彼といるときっと楽しいんだろうなという確信はあり。今後の関係性はどうなるか分からないけども、今一緒に旅したいのは彼だな〜と漠然と思う気持ちに気付きました。結局、彼はスウェーデンに来てくれ、少し旅行することにしました。
彼への気持ちはきっと以前の私とは違う。けれど久々に一緒にいる時間を楽しめたら良いな、と思う今日この頃です。今月末に彼が遊びに来てくれます。会ったらどんな気持ちになるのかな。恋人、という関係性では無くても留学中の素敵な思い出が増えると良いな、そう思います。
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