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料理はたのしい


#料理はたのしい

 料理は、生け花やフラワーアレンジメントと似ている。天然の美しい素材があり、できあがりのイメージを持って、作り手がそれぞれに構成していく。誰かの真似をしてもいいし、オリジナルも楽しい。自由にイメージどおりに形にしていく。
 工作や手芸と違って、きれいさっぱりとなくなってしまうところもいい。花は終わる。お料理は食べられる。多少失敗したって、形が見えなくなってしまうのがいいところ。逆に言うと、ものすごく成功しても、二度と同じものは手に入らない。その点も潔くていいなあと思う。
 私は主婦でお母さんなので、夫や子どものために料理を支度したり、家をきれいにしたりして暮らしてきた。お弁当を用意して、花を飾る。野菜を刻み、天ぷらをあげ、ハンバーグを丸め、おにぎりをこしらえる。
 掃除は少しめんどうだが、料理は苦にならない。大きめの土鍋を夫のバースデーにプレゼントして、とても喜ばれたこともあった。彼は鍋物が大好きなので、いい贈り物だったと思う。
 夫も料理が得意で、休日はパスタを作ってくれることが多い。キッチンでフライパンを扱う父親に、子どもが何かを話しかける。お湯を流す音、野菜を切る音、具材を炒める音、そして笑い声が聞こえてくる。
 そんなありふれた場景は家族の宝物だ。家族で頂いた料理の味とともに、キラキラした思い出は私たちの記憶に残っていく。料理はたのしい。これからも好きな料理をつくり、花を愛でて、笑顔で生きてゆきたいと願う。


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