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雨季がくる

雨季が始まる。
大粒の雨がトタンの屋根を強く打つ。

丁度友人と電話をしていたが、声がかき消されるので、イヤホンを耳に強くねじ込む。
掛け直せばいいのかもしれないが、いつ雨が止むのかも分からない。
雨音に負けぬよう大声で話を続けた。

乾季の終盤は酷く暑かった。
日中は気温40度を超える日が続いた。
日当たりの良すぎる私の部屋は、18時に帰ってきてもサウナと化している。
扇風機を抱えるようにして夜を過ごした日々に比べれば、最近の夜は涼しい。
扇風機がなくても寝れる程度の暑さのはずだが、
風に当たることに慣れてしまったのか、
扇風機を点けては消してを繰り返してしまう。

相変わらず、なかなか眠れない。

外からはカエルの高い鳴き声と低い鳴き声が入り混じって聴こえてくる。
ちょうど同じくらいの時期の日本を思い出す。

田んぼに水が入り、
アマガエルの高い声に混じり、時折ウシガエルの鳴き声が聞こえる実家。

中米に来たらもっとカエルをたくさん見れるものと思っていたが、夕方に見かけたヒキガエルの他に見た事はない。
協力隊の前、東京で働いていた頃は、
「またカエルの鳴き声のする部屋で眠りにつきたい」と思っていた。
思わぬ形で夢が叶った。


雨季になると、飽きる程食べていたマンゴーのシーズンが遂に終わりを迎える。
季節のない常夏の国だと思っていたが、先日セミの羽化を見た。
最近はよく鳥の巣作りを見掛ける。
そして我が部屋にはカメムシが大量発生した。

気温に大きな変化はないが、生きものたちはちゃんと季節の変わり目にそれぞれの営みをしている。
季節の変わり目に鈍い私は、乾季か雨季かでしか季節を見ていなかったが
もう少し周りを見れば、より細やかな季節の移り変わりを感じられるのかもしれない。

只今時刻深夜0時半。
もう少しカエルの声を聴いていれば
眠りにつけるだろうか。

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