世界から姿を消した職業

昨年、ハローページの発行と配布が終了するとのニュースがありました。どの地域でも、2021年10月以降に発行されるものが最終版となります。
固定電話に代わる通信手段が普及してきたことや、社会全体として個人情報保護の意識が高まってきたことなどが背景にあるそうです。
時代の流れを感じますね。


私は一度、電話帳交換のアルバイトをしたことがあります。8月の酷暑の頃でした。
交換といったのは、基本的には新旧の電話帳を入れ替える作業だったからです。旧い電話帳を持っている家から回収し、今年の版を配ります。既に処分してしまっている場合は新しいものの配布のみです。ハローページには種類がいくつかあるので(「個人名」「会社名」など)、家ごとに必要な版のみを渡します。
自家用車持ち込みで、地図を見るための端末を貸し出されました。スマートフォンよりだいぶ大きく、スマートフォンの2倍くらいの厚みがある野暮ったい機械でした。その端末で地図を開くと、どの家にどのハローページを何冊渡すかがわかるようになっていました。

なぜ真夏にそれをしなければならないのか不明でしたが、路駐できる場所をぐるぐると探し回り、炎天下ひたすら歩き回って黙々と自分の請負った分を消化していきました。普通の家も、アパートも、飲食店も、パチンコ屋もありました。
最終日に妹にも手伝わせ、仕事がはけた後で最寄りイオンのトイレで着替えて、ナナズグリーンティーへ入って、抹茶のパフェを食べました。もし何千円と取られたとしても納得するようなおいしいパフェだ、と感じました。

ハローページがなくなるのに伴って、その仕事をする人もいなくなるのですね。

私の伯母は長く複雑な人生を送ってきた人で、多くの職業を経験しました。
いっとき地図の訪問販売をしていました。地図、とだけ聞いていましたが、住宅地図のことだったのかなと思っています。
20年くらい前なので、今よりはセールストークに耳を傾ける人もいたようです。値段を知って家の人が
「高いですねえ」
と言うと、伯母は
「はい、高いんです」
と答えたそうです。

きっとそのような地図も次第に需要がなくなって、消えてゆくのかもしれません。


そういえば、コンビニも無人化が進められていますね。
これまで当たり前だった在り方 働き方がどんどん変わっていくのかなあと思うと、それを見てみたいような、ちょっとこわいような、複雑な気持ちです。


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