見出し画像

ペット税や免許を考える多事争論(1)

動物の飼育に関するニュースは度々世間をにぎわせます。多頭飼育崩壊であったり、動物への虐待であったり、生体販売業者の問題であったりと報道されるたびにSNS等で意見が飛び交い、ドイツのようにペットに税金をかけて動物保護に役立てようとか免許制にして免許を持たない者には飼育をさせるな等社会の構造変化を伴う意見も散見されます。今回は税や免許について考えます。

ペット飼育に関して税金をかけた場合にどのような使途があるのかという問題がありますが、歳出については別途考えることとして、この投稿では歳入の面に目を向けて見たいと思います。
税金は徴収する機関と徴収する対象を決める必要があります。国税にするのか地方税にするのかで徴収する職員をどう配置するのか決める必要があります。状況により部署の新設や職員の雇用も考えなくてはならないでしょう。

税務大学校のサイトを確認すると明治時代から昭和50年代まで、地方税の一つに犬税があったようです。当時の動物飼育は猟目的であったり、愛玩用であったりと商業目的や上流階級の嗜好的なものがあったのでしょう。犬税が廃止されたのは徴収税額がかかる費用に見合わないという点が大きかったようです。なお、他の動物にかけられる税というのは見当たりませんでした。

世帯における動物飼育の把握は非常に困難だと思います。犬であれば狂犬病の予防接種が必要であることから登録することになっています。比較的、把握はしやすいでしょう。しかしその他の動物はどうでしょう。
猛禽類などは飼育が許可制になっており把握は容易ですが、一般的に飼育できるものではありません。

ネコはどうでしょう。10匹以上の多頭飼育を飼育施設で恒常的に行う場合は第二種動物取扱業の届出が必要になります。この場合も把握は比較的容易ですが、届け出するような飼育に該当する事例は一般家庭では少ないと思われます。届け出に該当する団体は非営利で行う動物愛護団体が多いでしょう。団体だけを狙い撃ちにする課税はまずうまくいかないものと思慮されます。

ペットショップで生体販売をする場合はどうでしょう。企業という法人組織が生体販売をするため、課税対象となる動物の把握はほぼ確実に把握できるでしょう。動物飼育の把握を確実に行うのであれば専門店による生体販売時に登録をさせることは理にかないます。しかし生体販売に課税するのは既に消費税で行われています。さらにペット取引に税をかけると二重課税となる問題をひきおこします。

少し話題がそれますが、よく先鋭的な動物保護者がペットショップにおける生体販売禁止とかの主張をよく見かけます。動物福祉の考え方と実態把握は別の次元でとらえる必要があります。動物福祉の観点でいえば、生体販売する企業に販売後の追跡を義務付けることで相応の対処が可能になります。ペットショップほど動物の飼育を把握できるところは他にないでしょう。

次に動物が譲渡される例として譲渡会も多いかと思います。しかし譲渡会を主催する団体自体を行政が網羅できるかという問題があります。上に上げた第二種動物取扱業に登録する保護団体とは限りません。ペットの譲渡会を開催するのに法人格は必要ありません。また行政の指揮下に入らなければ譲渡会が開催できないということはありません。そのことが動物飼育の実態を困難にしてしまいます。

なお、足立家が現在飼育しているミケは居場所がなかったのを保護したものです。捨てられたか置き去りにされたのかはわかりませんが、庭でエサを要求していたのが出会いです。SNSでアップしていなければこのような実態は絶対に把握できません。

一般ペットフード協会によるとネコの入手先で一番多いのは野良猫を拾っただそうです。野良猫を拾って室内飼育をしたら・・・誰も知る由はありません。登録をするべく法律が制定されたとしても拾い育てた事例で自発的に行政機関への登録を期待するのは無理があります。取り締まるために行政職員が戸別訪問をするのは法制的にも人員的にも困難です。

総括になりますが税金をかける以上は公平公正でなくてはなりません。現在の日本では動物飼育の実態を把握するのに抽出調査による推計は可能ですが、ネコひとつをとっても全数把握はできません。実態が網羅できない以上はペット税をかけることにより不公平が生じます。不公平な税制は世の中の混乱を招きます。
(文章が長くなってしまいました。免許については別途記載します。)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?