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イギリス大学院 : 修士論文の指導教官はどう決まるのか①

久しぶりに学校生活の紹介です。イギリスの大学院(文系)では、修士論文の指導教官はいつ、どのように決められるのでしょうか?

私は2021年9月から1年間の修士課程に通っており、現在2学期も半ばに差し掛かったところです。修士論文に向けた動きが本格化してきましたので、私が現在進行形で経験している事をふまえて、研究テーマと指導教官の決定のプロセスについてまとめておきます。
学校やコースによって差があると思いますが、一例として参考になると幸いです。

0.全体のスケジュール

日本の大学院では、受験時に入念な研究計画書を提出し、入学時には研究テーマや担当教官の目途が立っていることが多いのではないかと思います。
一方で、イギリスの大学院受験(文系、人事管理コース)においては、出願書類として研究計画書の提出を求められることはありませんでした。

代わりに、Personal Statementという自分の今までの経験・実績や、研究の大まかな興味関心を紹介する書類の提出がありますが、この書類の内容によって研究テーマや指導教官が確定することはありません。

では、いつ決まるのか?
ソワソワしておりましたが、1学期の後半に差し掛かった頃からようやく動きがありました。

私のコースにおける修士論文の大まかなスケジュールは以下の通りです。
 12月   ガイダンス ① (スケジュール、研究テーマ)
  1月  ガイダンス ② (担当教官、研究計画)
  2月  指導してもらいたい教官との面談設定  ←今ココ
  2月末 研究テーマ・希望指導教官の提出
  3月  指導教官の決定
  4~6月  指導教官による定期的なレビュー
  7~8月  執筆
  9月     修論提出

1年間という限られた期間のプログラムなので、かなり短期集中で研究と執筆を進める必要があることが見えてきます。。汗

1.ガイダンス① 研究テーマ


まずは今後の修士論文の進め方について、スケジュールと研究テーマの決め方に関するガイダンスを受けます。以下のような内容が含まれます。

①「おもしろい」研究について学ぶ


興味関心をひく、研究価値がある、そんな「おもしろい」研究テーマはどうやったら決められるのか?について学ぶ文献が紹介され、どんな視点を持つべきか、どうやって研究の焦点を定めるかといったヒントを得ます。

② 先輩方の過去の修論閲覧


過去の修了生たちの修士論文の中で、良い成績を収めたものを自由に閲覧できるようになります。自分たちが目指すレベルはどんなものかを具体的に理解するために役立ちそうです。

③ 興味関心のあるテーマの共有


他のクラスメイト達がどんな事を考えているのかラフなアイディアをシェアしあって、悩んでいることや、どのような対処があるかを話し合います。

→ 全体としては「冬休みの時間があるうちに大まかな方向性は決めておいてね」という趣旨のガイダンスです。まだ雰囲気的にはリラックスした感じが伝わってきます。

2.ガイダンス② 研究計画・指導教官


2回目のガイダンスは、興味関心 を具体的な研究のプロセスに落とし込んでいくためのグループワーク、そして指導教官の希望提出の案内がありました。

① 研究テーマ、計画のブラッシュアップ


・何人かの生徒が、現在計画しているテーマやそれを調査するための研究方法などの現在の計画を発表し、その実現可能性を高めるために、教授がいくつかアドバイスをする、というスタイルで行われました。

・教授の指摘事項(テーマを絞る、視点を明確にする、適切な尺度を見つける、など)を自分の研究案に照らし合わせて、改善・具体化できることがないかを振り返り、漠然としたテーマの輪郭を少しずつクリアにしていきます。

②指導教官(候補者)の発表


・約20名の指導教官の情報(専門・得意としている研究テーマなど)をまとめたリストが展開され、学生1人あたり3名の希望教官&研究テーマを提出するように指示があります。

・提出にあたっては、自分の研究テーマに合いそうな教官と事前に面談し、適合性を確認した上で提出すること!との注意書きがあり、各自気になる教授を事前に訪ねることが求められます。

→ いよいよ腹を括ってテーマを絞る時期がやってきた、という印象です。自分の興味関心分野における既存の研究を読み漁りつつ、まだ明らかになっていなそうな事を自分なりに整理し、それを明らかにするためのラフな研究の方向性をまとめます。

3.教官候補との面談(準備)

自分の未熟な研究アイディアを教授たちに披露する事は、私にとってはとても勇気がいる事です。

「こんな中途半端な内容を持ってくるな~!」とか
「出直してきたまえ」みたいな 門前払いをされたらどうしよう。。
とネガティブな妄想が爆発してしまいます。

①チューターに相談


教授たちに納得してもらえる研究計画をいきなり持っていくのは不可能だと分かりつつ、最低限のマナーとして用意すべき事って何だろう??
文献をもっとがっつり読んで、リサーチクエスチョンをまとめるべき??という考えもよぎりますが、今の私の実力で付焼刃的な対応をしていても、自信を持って面談出来る日は永遠に来ない!と悟った私はチューター(学校生活の相談役)にも相談してみることにしました。

そして頂いたアドバイスとして、この早い段階で必要なのは、
①一般的なリサーチクエスチョン
②なぜそれが重要なのか、興味深いのか
③リサーチクエスチョンに対する動機や背景
というアドバイスがありました。

もちろん、文献研究を深めた上でのアイデアがあれば良いのですが、今はまだ必要なく、自分なりの興味とその動機をしっかり伝える事が大事! とのこと。言われてみると当たり前なのですが、やはり誰かにアドバイスしてもらえると安心感が湧きます。(チキンです)

②私が準備したこと


チューターからのアドバイスもふまえて、最終的に私が面談に向けて準備したことは、以下です。
① 自分が特に興味を持った研究を簡単に紹介できるようにする
② 自分にとってなぜ興味深いのか、何をもっと深く知りたくて、それにはどんな価値があるのかの整理
③  ①や②のような考えに至る、自分の過去の経験やストーリーの整理
④ 指導教官候補の方が執筆している最近の論文のチェックして、①や②と親和性が高いと思う理由をまとめる
⑤ 研究をする上での疑問(方法、手続き、切り口などで気になっていること)

なんだか就職活動を思い出します。指導教官との巡りあわせも、就職活動みたいなものかもしれませんね。面談は15分。とても短い時間なのですが、やはり緊張するものです。

さて、実際の面談はうまく行ったのでしょうか。。?
教官たちは、私の研究アイディアを受け入れてくれるのでしょうか。
次の記事でお届けしたいと思います。

ここまでお読みくださりありがとうございました!


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