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動画で学べるシリーズ!日本酒講座「製法編 貯蔵と火入れ」

みなさんこんにちは❗️
今回の動画で学べるシリーズ第9回は「製法編 貯蔵と火入れ」についてです!
動画だけでなく文字でも解説していくので、お好みの形式でお酒のことを学んでもらえればと思います🍶
コチラのチャンネルの動画をベースに解説を進めていきます!

今回はコチラの動画になります!
この動画では日本酒の製法のうち、貯蔵と火入れについて解説しています!

1.火入れ
2.貯蔵・熟成
3.調合・割り水

今回はこの3つの項目で進めていきます!

1.火入れ

前回は日本酒の味を整えるために色々な要素を除いていく工程について解説してきました。
今回は、それを維持したり、調整していく工程について解説していきます。
まずは、火入れについてです。
日本酒は比較的低温である、65度前後で加熱処理していきます。
基本的には、貯蔵前と瓶詰め前の2回火入れを行ないます。
酵素の働きを止めること、日本酒の天敵である火落ち菌を殺菌することなどが目的になり、酵素の働きを止めることで酒質を安定化させることができます。
しかし、熱を加えることで香りや味わいに影響を及ぼす工程であり、熱による劣化も注意しなくてはいけない繊細な工程です。
熱によるダメージを減らしつつ、目的の酒質を維持し安定化させるために様々な方法があります。
ここからはそれについて触れていきます。

まずは蛇管(じゃかん)火入れです。
蛇管と呼ばれる螺旋状の金属の管を熱湯の中に沈め、その中をお酒が通ることで加熱されていく方法です。
伝統的な方法で、基本的に冷却機能などがないため、熱によるダメージが比較的大きいものとなっています。
また、熱湯の温度で中のお酒の温度を調整するため、温度の調整が難しいところもデメリットの1つです。
熱いままタンクでの貯蔵に移るので、タンクの殺菌も同時に行なわれます。

次はプレートヒーターです。
蛇管火入れと似ていて、お酒が管の中を通って加熱していく方法ですが、機械による正確な温度コントロールが可能な方法です。
急冷機能などがついているものがほとんどで、急熱急冷が可能なため、比較的熱によるダメージを低く抑えられます。
お酒が冷えた状態で出てくるので、貯蔵タンクの熱殺菌が行なうことができません
そのため、貯蔵タンクでの火落ち菌による汚染を防ぐため、冷蔵機能がついたタンクを用いる必要があります。
ここまでの2つが1回目の火入れをした後にタンクで貯蔵する方法になります。
2回目の火入れの際も同様の方法で火入れした後、瓶に詰められていきます。

次からは瓶にあらかじめ詰めてから火入れをする方法になります。
まずは瓶燗火入れです。
お酒を生のまま瓶に詰め、その瓶を湯煎するような形で加熱していく方法です。
少量を手作業で行なう場合が多く、非常に手間のかかる作業になります。
瓶の破損防止に湯煎も水の状態から始めるため、時間もかかります。
その代わりに、最低限の加熱で行なえたり、加熱時間をコントロールしやすいものとなっています。
また、瓶に詰めているため、すぐに冷却を行ないやすく、品質の劣化を防げます。
香りなどが熱の影響で逃げることも防げるので、高品質なお酒に用いられています。

次はパストライザーと呼ばれる機械をを用いた方法になります。
こちらは先程の瓶燗火入れを連続で行なえるようにした機械というイメージになります。
瓶に詰めたお酒をベルトコンベアに乗せ、熱湯のシャワーで加熱していきます。
機械で管理ができるために、効率的に瓶燗火入れができます。
また、冷却もそのまま行なうことができます。
手間が大きく減るが、メリットは敏感火入れと同様のため、導入する酒蔵が増えてきています。

これらの瓶燗火入れは直接瓶に詰めているため、2回目の火入れが必要なくなります。
そのため、加熱による劣化を大きく軽減できます。
近年ではこういった方法が増えてきており、日本酒の品質向上にも役立っています。

2.貯蔵・熟成

火入れの次は貯蔵・熟成についてです。
商品の目的とする酒質にもよりますが、日本酒を一定期間寝かせることで、日本酒の香りや味わいのバランスを整えていく工程になります。
タンクでの貯蔵は完全に密閉された状態ではないために、新酒特有の香りを揮発させることができ、落ち着いた酒質になる傾向にあります。
瓶での貯蔵は、香りが逃げることがないため、個性が活きる酒質になります。
貯蔵の温度や期間は商品により様々ですが、基本的には高温では行ないません。
高温の方が熟成が進みやすいのですが、劣化のリスクが高いため、涼しいところや冷蔵設備で貯蔵します。

次は調合・割り水についてです。
これらの作業は瓶詰めの前に行なっていきます。
まずは調合に関して解説していきます。
日本酒では、1つの商品を作る際に1つのタンクで商品を作るとは限りません。
別のタンクで醸造したものを混ぜて、均一化して1つの商品になる事も多くあります。
例えば、甘味が強いものと、酸味が強いものを別々に作り、それらを調合することでバランスを整えるという手法もあります。
酒蔵によってはあえて調合をせず、商品にタンク番号や仕込み番号などを記載し、その差を楽しんでもらうことも想定している商品もあります。

次に割り水についてです。
日本酒は発酵終了時のアルコール度数が20%弱であることが一般的と、高めとなっています。
そのため、日本酒では基本的に水を加えてアルコール度数を下げる作業を行ないます。
この割り水を行なわないものが原酒と表記されています。
14~16度ほどまで下げるのが一般的ですが、近年では比較的低アルコールのお酒が好まれる傾向もあるので、初めから低めのアルコールで発酵させている商品も増えてきています。
高いアルコール度数の日本酒を割り水で10度近くまでの低アルコールにしようとすると味わいが薄くなりすぎてしまうため、初めから低めで設計するものが低アルコールの日本酒では一般的です。
しかし、日本酒を低アルコールで仕上げると好ましくない香りや味わいが生じやすいため、その醸造にはかなりの技術が必要になります。

このように、日本酒は発酵が終了した後も仕上げにしっかり手間がかかっています。
前回の部分も含め全ての仕上げの工程をまとめるとこのようになります。
タンク貯蔵と瓶貯蔵の2つに分けました。
瓶貯蔵の方が、火入れの回数が少なく、お酒の味わいをキープしやすいので、全部瓶でやる方がいいように見えます。
しかし、手間がかかることはもちろん、保管の際に場所を取りやすいというデメリットもあります。

製法編を通して様々な方法があることを説明してきましたが、どれも一長一短な部分があり、それぞれの酒蔵に合わせた方法で行なっています。
基本となる製造方法を知っていることで、日本酒の差をより意識でき、より楽しめるのではないかと思います。
また、酒蔵に見学へ行った際もより楽しめると思います。
一度見ただけではなかなか身に付かないかもしれませんが、気になった時にまた見直してもらえればと思います。

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