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動画で学べるシリーズ!日本酒講座「原料編 麹」

みなさんこんにちは❗️
今回の動画で学べるシリーズ第12回は「原料編 麹」についてです!
動画だけでなく文字でも解説していくので、お好みの形式でお酒のことを学んでもらえればと思います🍶
コチラのチャンネルの動画をベースに解説を進めていきます!

今回はコチラの動画になります!
この動画では日本酒の原料のうち、麹について解説しています!

1.麹の役割
2.種麹
3.麹菌の種類

今回はこの3つの項目で進めていきます

まず、そもそもとは何かについて解説していきます。
麹とは、「穀物類やぬかなどの穀物の副産物にコウジカビを繁殖させたもの」と定義されています。
日本酒ではお米を使った米麹を使用しますが、麦麹や豆麹なども存在しています。

1.麹の役割

まずは、日本酒における麹の役割について解説していきます。
日本酒は並行複発酵という形式で発酵していることは今までも解説してきましたが、麹は日本酒醸造において重要な糖化を担っています。
ワインのような果実を用いる単発酵の醸造酒では、果実に糖分が含まれているのでそのままアルコール発酵を行えます。
しかし、日本酒の原料であるお米には糖分がなく、デンプンの状態であるので、分解してからでないと発酵が進みません。
麹はそのデンプンを糖分に分解する糖化を主な役割にしています。

また、デンプンを分解する酵素以外にも、タンパク質を分解し、ペプチドやアミノ酸にする酵素や脂質を分解する酵素も生み出します。
ペプチドやアミノ酸は日本酒の旨味になる成分になります。
脂質は香りの成分の生成にも関わっており、麹由来の香りもあるため、麹は日本酒の味にも香りにも関わってきます。
麹の役割はこれらの酵素を生み出すことです。

日本酒に使用する麹は、お米にコウジカビの菌糸を繁殖させて酵素を作らせています。
日本酒に使用するお米のうち、麹を生やすためのお米を麹米と言います。
麹米にコウジカビが生えやすいように、吸水させる際や蒸す際も細心の注意を払って扱っていきます。
麹米の割合は一般的に、日本酒造りに使用するためのお米の2割ほどになっています。
この麹米の割合が高いと濃厚な味わいになりやすい傾向になります。
麹の割合は特定名称酒にも関わりがあり、麹の割合が15%以上でないと特定名称を名乗ることができないという決まりがあります。
そのように麹の割合が低い場合は酵素剤を使用していることがほとんどです。
先ほど解説したように麹の主な役割は酵素による糖化なので、麹を少ししか使用しなくても酵素さえ添加していれば、最低限の発酵は行えます。
ただし、そのほかの役割は満たせないので、出来上がる日本酒は麹を多く使ったお酒とは違った味わいになります。

2.種麹

では、ここからその麹を作るために使用する種麹について解説していきます。
麹を作る際は、種麹というコウジカビをしっかり繁殖させ、胞子をたくさん付着させた米粒を用います。
その種麹を直接混ぜるのではなく、付着した胞子を振りかけて麹米に繁殖させていきます。
種麹は商品として販売されていて、酒蔵はそれを購入して使用しています。
先ほど米粒に付着した胞子を利用すると言いましたが、この商品によっては胞子のみを集めた粉状のものをあります。
種麹を作る際のお米は、しっかりお米を磨く日本酒造りとは異なり、ほぼ玄米に近い状態で行われます。
また、小粒で高タンパクであることが麹の生育に適しているので、日本酒に適しているお米とは反対の性質が好まれています。
このように、酒造りに使う米麹は、あまり麹菌の生育に適していない原料の条件で行なっていることからも、酒造りの難しさが想像できますね。
また、一部の酵素を多く生産する品種があったりなど、日本酒用の種麹にも種類があり、目的の酒質に合わせて使い分けていることも多くあります。

3.麹菌の種類

ここから、日本酒用の麹だけでなく、様々な麹菌の種類について解説していきます。
アルコール類の発酵に用いられるコウジカビには主に3種類います。
まずは黄麹菌についてです。
基本的に日本酒で用いられるのはこの黄麹菌になります。
また、醤油や味噌でもよく用いられている一番ポピュラーな麹菌です。
菌糸がしっかり生えた状態では画像のような黄緑色になりますが、麹として使用する際はここまで繁殖させず、クリーム色の状態で使用します。
一般的に米麹として市販されているものもこの黄麹菌になります。
3種類の中では特に糖化する力が強いのが特徴となっていますが、クエン酸の生成は行ないません。

次は黒麹菌についてです。
沖縄で作られる泡盛で使用されます。
泡盛は仕込みに使われるお米の全てが黒麹100%の全麹仕込みで行われる麹だけで作られるお酒です。
画像のように菌糸がしっかり生えている状態ではかなり真っ黒な状態です。
実際に使用する際はここまで胞子がたくさん繁殖していませんが、黒い胞子で器具や部屋が汚れたりしやすいという面もあります。
特徴としては、黄麹菌よりは糖化力は劣るのですが、タンパク質の分解酵素の力が強かったり、クエン酸を多く生産することが特徴になっています。
クエン酸により酸性環境を作り出せるため、雑菌汚染に強いという特徴もあります。

3つ目が白麹菌です。
先ほどの黒麹菌が変異したものとなり、主に焼酎で使用されています。
白麹菌とは言いますが、実際の胞子は画像のような褐色で、黒くない黒麹菌という意味合いで白麹と呼ばれています。
特徴は黒麹菌と同様で糖化力は比較的弱く、クエン酸を多く生産します。
使用した焼酎の味わいは黒麹菌よりもシャープな印象になると言われています。
黒麹菌より胞子で汚れにくいので、現場では取り扱いやすくなっています。
また、近年ではこの白麹菌を用いた日本酒も作られるようになってきています。
クエン酸の酸味が特徴的で、その酸味が今までにない日本酒の味わいを醸し出いていると、注目されています。
これらの3種類がよくお酒の発酵に用いられています。

それ以外にも、コウジカビの菌の種類が異なるのですが、赤い色素を生み出すのが特徴的な、紅麹(べにこうじ)というのも存在しています。
また、鰹節も発酵食品の一種なのですが、その発酵にも麹菌の一種が用いられています。
このように麹は調味料やお酒など、さまざまな日本の伝統的な発酵食品に利用されているとても身近な菌です。
そのため、麹菌は日本を代表する菌、国菌(こっきん)として指定されています。

一麹、二酛、三造りと言われますが、美味しい日本酒造りに欠かせないだけでなく、日本人の生活にも欠かせない麹について詳しく解説してきました。
日本酒における製法については製法編の動画で詳しく解説しているので、そちらもご覧ください!

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