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「観察評価」私はどうしてきたか

5月もあっという間に最終日ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか?

私はめっちゃ久しぶりに春フェスなるものに参加しておりました。

感染対策をあまり気にせず、春フェスが行われるのは5年ぶりくらいじゃないでしょうか。

すっかり抜け殻な私です。5月病になりそうだ…。

さて、A-ONEについての意見交換?みたいなものをする機会があったため、「観察評価」並びに「作業遂行分析」に対する立ち位置を一度整理するためにこのnoteを書き始めました。

私自身は一応AMPS、ESI、A-ONEの認定評価者ですので、時折…

「観察評価は煩雑過ぎて使えなくないですか?」
「実際、評価法のマニュアル通りに実施するのは難しくないですか?」

などなど、質問されるのですが…。

「いやーそうですよねー」とかいつも適当に答えてしまっているので、そのあたりの話題についてもたまには整理しておこうかと思います。

ちなみに評価方法の説明ではなく私の考えとか現場では実際どうしている、みたいなお話です。

観察評価の評価法を知る意味

臨床でクライエントと接している時間はおそらく何かしら観察をすることが出来ます。

どのくらい大変そうか、効率良くできているか、どんなコミュニケーションをとっているのか…

観察評価は自分の目の前で起きていることを何に注意して評価するかの視点を与えてくれるものです。

観察技術を補うためには,知識を増やすこと,観察事項を意識することと指摘している.したがって,効率的,効果的に観察や分析を行うためには,クライエントが抱える医学的背景を理解し,作業遂行技能の特徴を知識や観察視点として持っていることが必要である.

作業療法評価学 第2版

知識を持ったうえで、注意を向けることで観察が可能となり、評価・判断が可能になり対応可能になるという流れになります。

まずは知識がないと何を評価しているか、何を評価したらいいかわからなくなってしまうので学ぶ意味はあると思います。

研修会に参加する意味はある?

今はAMPSは研修が受けられなくなってしまいましたが、研修が開催されていた時は確か8万円前後だったと思います。

A-ONEは現在も開催されており、5日で7万円のようです。

それなりの費用は掛かりますので、やはり…

「研修ってどうですか?」
「研修って参加する意味ありますか?」

は時折質問されます。

個人的には経済的、時間的に余力があれば、おススメです。

やはり、ある程度の時間をかけて講師から学び、動画や実際に観察を行って評価を行う経験は代えが効かないと思います。

一方で文献をあたって学ぶという方法でも、概要や大まかな評価方法はわかりますのでそれでも問題ないとは思います。

どのような形で学ぶにしても自分の実践に活かせればよいのではないでしょうか。

現場では実際どう使ってる?

観察評価は基本的には見たものを評価するというのが鉄則です。

一方で現場では…

・その作業をするタイミングに支援を行う時間が合わない(例えば夜のトイレの問題や早朝の身だしなみを整えるなど)

・実際に作業を行って評価するような支援はクライエントが求めていない

・病院や外来などで実際に課題として上がっている作業を行える環境がない

などなど、実際に作業を行って評価をするということが出来ない状況も多々あると感じています。

そんな時は観察評価を学んだことは意味がないのか?

というとそんなことはないと思います。

観察評価のエッセンスを使うには…

「柔軟に使う」ことと「会話や面接で評価項目を意識する」ことだと考えています。

「柔軟に使う」:先ほども書いたようにクライエントに接している時間は、何かしらを観察できます。クライエントが行った一つ一つの作業は何かしらの技能を使って行われているのでどんな技能が強みなのか、エラーが出やすいかを観察することはできると思います。

「会話や面接で評価項目を意識する」:課題に挙がった作業が実際に観察できない場合は、面接の中や、支援をしている際の会話で聴取するようにしています。聴取の際に観察評価の項目を意識するようにしています。またできれば本人以外の方の話も聴取するようにしています。(三角測量)

三角測量は人間作業モデルの中にも標準化されていない評価法を用いる際の信頼性を確実にするという文脈で紹介されているのですが、結構しっくり来ている考え方です。

三角測量とは,その情報をもう一つの情報源と比較することで,正確さを確実にすることを支援する方法である(Denzin & Lincoln,1994).これは,例えば,クライアントが「自分ができる」と言ったことと,遂行の観察や配偶者や養育者がその人ができると語るかどうかとを比べることである.

人間作業モデル 改訂第5版

私はこれらを広義の「観察評価」もしくは「作業遂行分析」とすることで臨床の中に観察評価のエッセンスを取り入れています。

観察評価は医学との窓口

私が観察評価を行う時のもう一つの意味として、作業モデルと医学を繋いでくれるイメージをもっています。

A-ONEはADLを観察したのちに高次脳機能障害などと結び付けて評価をします。

作業遂行分析を行ったのちに技能のエラーを心身機能について解釈していくことを課題分析と言いますが、それを様々な項目で行っていくイメージです。

課題分析を行っていく中で他職種と共通言語、医学モデルの言葉を使って話せるようになるので、連携しやすくなると思います。

観察評価では心身機能の精査はできないので精査したい場合は他の検査をするか、他職種と協業が必要です。

まとめ

以上が「観察評価」や「作業遂行分析」を現場で使う時に私が考えていることでした。

AMPSの講習会が無くなり、以前よりも「観察評価」や「作業遂行分析」についての話は少し話題になることが減った気もしますが、身に着けると便利な技術、知識だとは思っています。

皆さんもぜひ一緒に学んでいきましょう…!ではまた!

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