【いちばんすきな花】第6話 ~人それぞれ~

いちばんすきな花の第6話。
椿が引っ越しを決断、ゆくえが移籍するかもしれない、夜々は椿に告白するのか、などこの後のストーリーが大きく動き出しそうな予感をさせる回。

人付き合いって難しいですよね。
多様性の時代といっても、みんなそれぞれ自分の主張というのがあって、それを他人に押しつけてしまうこともある。
でも、言った本人としてはそんなつもりはなくても言われた側はその人に干渉されたと思ってしまう。かといって全く自己主張をしないのも、それはそれでコミュニケーションにならない。
要は主張をしてもいい場面か引くべき場面かの見極めなんですよね。

冒頭の春木家。
ゴミ箱にセッティングするゴミ袋で一悶着。ゆくえは最後の1枚のゴミ袋を残し、ゴミ袋を包装している袋をゴミ箱にセッティングしていた。
見た感じで10cm×30cm×45cmくらいのサイズ感のゴミ箱には小さすぎる袋が入れられていた。
椿はゴミ袋の袋をゴミ袋にするのはいいが、サイズ感が合っていないのは悪意だと主張する。ゆくえは、物にも感情移入してしまう性格や環境への配慮からそうしたと主張。
実際にゆくえの家ではコンパクトなゴミ箱にゴミ袋の袋がゴミ袋としてセッティングされていたから、ゆくえにとってはごく普通のことなのだろう。
結局はゆくえが折れて次回ゴミ袋を買ってくることになった(春木家のルールという意味では当然のことなのだが)。

ゆくえとしては悪意などなく(新しい袋を買うのが面倒というのはあったが)、自分の常識と他人の常識が違っていた。最初は自分の考えを主張はしたが、引くべき場面と判断し折れたのだ。

こんなスケールの小さい話で冒頭の3分を使い、でも笑って見ていられる。
個人的には自分は、ゆくえのようにゴミ袋の袋をゴミ袋として使うタイプの人間なので、ゆくえの言い分はものすごく共感できた。


前回の放送の次回予告で流れていた、春木家での赤田との修羅場。
サブタイトルの「修羅場…友情にも嫉妬はある」にあるように修羅場ではあった。椿がこのシーンのことを紅葉と夜々に伝える際にも「修羅場」と表現していたが、視聴者としては一般的なドラマにおける修羅場とは異なり、ここも笑える、コメディ要素もある修羅場だったなと思った。

保険の営業で偶然椿の家を訪ねた赤田。
椿は初対面の赤田に、純恋との婚約破棄など色々なことを話していた。営業が終わったタイミングでゆくえがパン屋のパンとゴミ袋を抱えて入ってきて、赤田と鉢合わせる。
椿の事情を知っている赤田はゆくえと椿の関係を勘違いして、ゆくえと言い合いになる。
かつては自分たちも男女の友達だったのに、男女が一緒にいると恋愛と決めつけるのかというゆくえからの指摘と、前回家具屋で再会したときにゆくえが買っていた4つのマグカップを見て冷静になる赤田。その時にピザを一緒に食べる友達ができたという話をしていて、それを思い出したのだろうか。

去り際に赤田が椿に対して、「潮の恋愛遍歴すべて知ってますけど、春木さん、全然タイプじゃないですよ」という捨て台詞を残して去って行く。

ここでの赤田は、椿の事情も知っていたことから本当にゆくえのことを心配していたのだとは思う。だが、夜々が言っていたように嫉妬という感情も交ざっていたのだろう。潮の男友達は自分しかいないと思っていたから。
あと、ゆくえの態度に寂しさを感じたのもあるかもしれない。
前回は、家具屋で今まで通り友達として接していたのに、椿の家では「お仕事お疲れ様です。玄関はあちらです」と言って事務的な対応をされて戸惑っていた。
前回との温度差から、2人が交際していることを疑っても仕方ないとも個人的には思えた。

仕事で来たのにここまでかき回して帰って行く赤田に思わず笑ってしまった。その後の2人のやりとりも含めて、修羅場なのに笑えて重くならないという、このドラマがいかに平和なドラマかが分かるシーンでもあったと思う。


恋愛も友情もゴミ袋も人それぞれ。
自分の価値観で判断してそれを押しつけるのは良くない。だけど、無意識に押しつけたり否定したりしてしまっている。
冒頭のゴミ袋のシーンでは、誰もゆくえの価値観を否定はしていない。ただ、椿の家だから「春木家のルールにのっとって」ゴミ袋の袋はゴミ袋に捨てる。ただそれだけ。

他人の価値観を否定しない。他人には他人の価値観があることを知って、干渉しない。
それができるのが、居心地のいい人間関係なのかもしれない。

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