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152. いつもより本が多い 【フリーペーパー】

2018年、京都の蔦屋書店でもらってきたまま、何かブックガイドらしいな、ということだけ把握して長らく放置していたのをようやく読みました。
筆者の金沢一志氏は、美術評論系の人らしい?

これはその金沢さんが何かイベントで(多分)書棚を出張させるに当たって選んだ約100冊の本+αのリストと、その内の任意のものをピックアップして解説や付随する思い出を呟くようにまとめた冊子です。

選書の基準は”コーヒーブック”。これは本来「インテリア用にディスプレイされるハードカバーの大型本、横積みになっている本。待合スペースに置かれたり、応接室の装飾として置かれたりする本を意味するアメリカ英語」なのだそうです。
でも著者がその言葉を聞いた時にイメージしたのは、コーヒーを飲みながらぱらぱら見るような、「気が利いた、小ぶりの本」。
だからこの冊子では、”自室がどこかに出張した状態”を作り出すような、著者にとって身近で気の置けない本が幾つも紹介されています。

本人曰く

こんな本知ってる? 的な本だって、長く生きているんだからすこしくらいは持っている。でもそういう本は一冊もいれなかった。いきおい要所はリスティングから外れて純国産に近くなる。美術だとかアートにかたむくのもいやらしい。もっと身近な本がいい。

とのことですが、知っている本なんてほんのわずかで、そのほとんどが知らないものばかり。浅学の身としては、知識をおすそ分けしていただいているようでその分新しい発見が多く、ワクワク読みました。
それに解説文を読んでいるとどれも気になってくるので、そういう「まだ知らない、でも素敵な本」がずらっと並んでいる様を想像すると楽しくてなりません。
装丁にこだわっている見目麗しい本も多そうです。

ま、とは言えSF文庫の挿画の話で、内田善美の回で触れた「ゲイルズバーグの春を愛す」に言及されていたのは、数少ない分かる話で嬉しかったです。

本の紹介については、著者の軽妙な文章で読んだ方が良いように思うので特にここでは触れませんが……例えばPARCO発行の「現代美術小辞典」とか、オールディスの小説なんかが特に印象深く、実物を手にしてみたいと思わされました。

ところで昨日ブックオフで見掛けた北園克衛の本「カバンのなかの月夜」の著者が、この金沢さんでした。買っとけばよかったかな。

ではまた。

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