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169. 最近よく聴いている暗くて静かな曲 後編・alternative 4/Desiderii Marginis

昨日に引き続き、最近聴いていてオススメの、暗くて静かな曲を作るアーティスト。後編ではイギリスの男性ボーカルバンドのalternative 4と、スウェーデンのダーク・アンビエントプロジェクトDesiderii Marginisをご紹介します。

前編


・alternative 4「The Obscurants」
イギリスのバンドANATHEMAとANTIMATTERでベースやキーボードを担当していたDuncan Pattersonが2011年に始めたバンドで、こちらは2014年に出たセカンドアルバムです。

ディスクユニオンとザビエルレコードの商品紹介くらいしか日本語の情報がなく、それによるとディプレッシヴ・ロックでありゴシック・メタルでありプログレッシヴ・ロックであるようです……? よく分からん。

ちなみにザビエルレコードはヨーロッパのインディーズなどマイナーなバンドを多数扱う通販サイトで、Darkherも扱っているし、次にご紹介するDesiderii Marginisも何作かあります。
Bandcampやsoundcloudで容易にマイナーアーティストを見つけられるのは分かっているのですが、好きな楽曲はCDを買いたい派のわたしはこちらのサイトもダーク・アンビエント系の楽曲を探すのに使っています。基礎情報も分かるし、取り扱いジャンルも広いのでおすすめです。

わたし自身はむしろダーク・アンビエント系統の曲として聴いています。大きな盛り上がりはなく、一貫してダウナーで陰鬱(最後の「Closure」はアップテンポですが)だし、囁くような憂いを帯びたボーカルも微睡みへ誘います。

ピアノの旋律がわりと前面に押し出されているのもアンビエントぽく聴かせているのかな。
冒頭も、蝿の飛ぶ音とピアノが掛け合うようにして始まります。

蝿の音、最初小さい音で聴いた時は分からなかったのですが、イヤホンで爆音で聴いたりすると本当にその辺を飛んでいるみたいでけっこう不快です(笑)
そういえばジャケットにも大量の蝿が飛び回っている。(ANTIMATTERのアルバム「Planetary Confinement」でも灰色の空をバックにした写真をジャケットに使っているし、こういう雰囲気が好きなんだろうなあ。)
なぜ蝿なのかはもしかすると歌詞を読み解くと分かったりするのかもしれないのですが、今のところこだわらず楽しんでいます。(英歌詞を解釈するのが面倒臭いというのもある←)

正直言って全体的な音数が少なく深みがないと感じる部分もあります。
でもこれをかけてぼんやりしているととても落ち着いた気分になれるし、似た系統の音楽で気に入ったのを見つけるのは結構難しい(というか労力がいる)ので重宝してます。

あと、この記事でalternative 4に興味を持たれた方に注意していただきたいのは、ファーストの「The Brink」は大分印象が違うこと。
あちらはシャウトを始め声を張り上げる歌い方をしていたり分かりやすくデスっぽい重低音が使われていたりと激しめの曲調です。
セカンドでは動きが抑制されてよりメランコリックな仕上がりになっています。
聴いている時の感覚はシューゲイザーのThe Jesus and Mary Chaiinとかに近いかも。

以前在籍していたゴシック・メタルのANATHEMAもゴシック・ロック、ダーク・アンビエントAntimatter(いずれもDuncan Patterson在籍当時)もダークな印象の楽曲はあるものの、もっと一般受けしそうというか、希望と爽快感が垣間見えるので、すごーくざっくり言うとダーク寄りポップ→激しめダーク→静かでダーク、みたいな……。
何となく、Duncan Patterson自身は最初からわりと「The Obscurants」的な音楽が好きだったんじゃないかな、とか勝手に思っています。

ちょっと困るのは、ANATHEMAが「alternative4」というタイトルのアルバムを出していて、検索するとこちらの方が先に引っ掛かってくること。最近は全然動きがないようですが、それにしたって検索しづらいのは困ります。


・Desiderii Marginis「SONGS OVER RUINS」
スウェーデンのダーク・アンビエントプロジェクトのファーストアルバムで、1997年にcold Meat Industryというレーベルから1997年にリリースされた後、2017年にリマスター版が再発されました。
最初のレーベルCMIは2010年代に活動を停止したため一時は廃盤だったそうですが、再発してくれて&見つけられて嬉しい…!
CMIはダークなアンビエントやノイズを中心に出していたマニアックなレーベルとのことなので、こちらもじっくり掘り下げていきたいと思っています。

Desiderii Marginisもほとんど日本語の情報が、というより海外の紹介ブログみたいなものもざっと見たところなさそうな……twitterではちょこちょこ好きな人の呟きが散見されるのですが。

肝心な音はと言うと、まさしくダーク・アンビエント、これぞダーク・アンビエント。骨太かつ寂寥感漂うサウンドで、目を瞑ると退廃的な末世が眼に浮かぶようです。

全体にインダストリアルな音作りで、そこに加えて軍隊の行進を思わせる精神を追い詰めにくるドラムや、廃墟の街に響き渡るかのごとく物悲しい鐘の音、たまに入る教会音楽を思わせる歌声……これでもかと“暗黒”を押し出してきます。
深淵へ落ちていくような、とことん暗い曲ばかりですが、わりとメロディアスでもあり、聴きやすいのが特徴です。
アンビエントだけど曲を覚えられるし、メロディーがあるからこそ背景に物語を垣間見られる。ダーク・アンビエントとインダストリアルが美しく融合しているのも面白いです。

個人的にはちょっと気分が下がっている時に爆音で聴いて、ますます鬱屈とするのが好き。

なぜか公式インスタグラムは非公開ですが、facebookでは近況報告をまめにしていて、さらには今年の5月にもデジタルアルバムを出している(作風も変わらずダーク・アンビエント路線)など、今後の活動も要チェックです。
セカンド以後の曲もまだ全ては聴けていないので、そちらも確認しなくては。

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