「 13mmレンチ 」

ボルトやナットを締めたり緩めたりする工具にレンチというのがあります。写真はボックスレンチとコンビネーションレンチ。メーカーによってデザインが異なりそのあたりの話も面白いのですが、今回のポイントはサイズが13という事。
 
レンチは六角形になっているボルトの頭の、面と面の距離(2面幅)でサイズを選びます。M6(ネジ部の径が6mm)のボルトなら10mmのレンチ、M8なら12mmのレンチというように頭のサイズと使う工具のサイズが決まってるので、車やモーターサイクルを整備する人は8,10,12,14,17,19mmのレンチを持っていれば大抵事足ります。
 
「大抵」と書いたのは例外があって、欧州車にはM8のボルトに13mmの頭が使われてます。そこで、欧州車をいじる時に13mmのレンチ類を買い足して写真のようになった次第。
 
推測ですが欧州では1/2inch(12.7mm)の工具で使えるように13mmを使い出し、日本ではより小さい12mmにした。12mmだと工具を入れるスペース(ツールパス)分も小さくなるので、トータルで小型軽量化が出来たでしょう。今はグローバル化が進んで欧州車は12mmと13mmが混在しています。
 
車とモーターサイクル視点で書いてますが、DIYショップで売っている一般的なボルトの頭はJIS規格の13mm。日本車用の12mmのほうが特別な寸法で、小型ボルト、小型ナットと呼ぶそうです。
 
ミリとインチの関係性が気になって他工具も調べてみると、、、
 
プラグレンチには16mm と5/8と併記されて刻印されていました。5/8in=15.8mm。プラグレンチの16mmや18mm(11/16in)は他の部品には使わないサイズです。プラグメーカーがメートル法化の時にインチサイズを継承したのでしょう。
 
一方、タイヤ径やブレーキ関係は今もインチをそのまま使ってます。19世紀にメトリック化が進んだ時には工業界はいろいろと悩んだのでしょうね。車メーカーと部品メーカーの力関係、フランスとイギリスの思惑とか当時を色々と想像してしまいます。
 
13mmレンチから想いが膨らんでしまいましたが、皆さんも工具箱を覗いてみてはいかがでしょうか?
 


( プロダクト動態デザイン部 デザインディレクター 麦倉 毅美 )
 

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