「ワークアウトとアイコン」

テレワークをきっかけにウォーキングを始めた、そんな人はたくさんいるのだろう。かく言う自分もその1人だ。
 
コロナ騒ぎで在宅勤務もしばらくすると、運動不足と慣れない椅子でのデスクワークにより腰を中心に心身に不調の気配がしてきた。当初はストレッチなどで解決しようと考えたが、閉鎖空間による精神的な影響も大きいことに気がつき、散歩をすることに。
 
スマホで音楽を聴きながら近所の大きな公園内を早歩きしてみると、予想以上に気分転換になることがわかり、習慣として続けることになった。せっかくだからと、某スマートウォッチをeコマースで購入。煩わしかった歩数測定や音楽のためのスマホ持ち歩きからも解放され、無線ヘッドホンとのセットで、快適なウォーキング生活が始まった。
 
購入サイトの評判通り、近年稀に見る健康モードに入ったのであるが、 感心したのがワークアウト(自発的に行う主に身体的なトレーニング)を促す仕掛けが、ソフトとハード連携のUX(ユーザーエクスペリエンス=体験)デザインとしてうまく考えられていることである。同時に、ワークアウト型サービスのUI(ユーザーインターフェース=画面表示)には、何故アイコンが多用されるのか、自分自身が体験することであらためて理解することができ、今回のテレワーク期間の収穫の一つとなった。
 
言うまでもなく、歩行や運動中にスマートウォッチやスマホの画面で文字情報を見る事は困難であるが、アイコンと数字の組み合わせであれば、必要な身体データや操作が瞬時にわかる。単純な話であるが、自らも体験することによって価値の本質を理解することは、UXのデザインを検討する際の基本であることを再認識することとなった。おそらくはプロトタイプによって何度もテストを繰り返す中で、必要なUIデザインとセンシングを中心とした、ソフトとハードのあるべき連携といった作り込みが、相当なマンパワーと時間をかけて開発された結果なのであろう。
 
オンライン化が進むにつれ生活が高速化していく中で、ビジネスはもちろん、日々の生活であっても過剰な情報の取捨選択が要求されるシーンでは、アイコンのようなインフォグラフィックは今後ますます重要になっていくのだろう。それに携わるデザイナーとしても、日々腕を磨く必要があると思った次第である。

( CMFG動態デザイン部 デザインディレクター 坂亀 弘志 )
 

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