見出し画像

母との関係③母のせい

前回の続き。

芸術系私立中学に進学したものの、母はそれをよく思ってはいなかった。
「勉強できる子の集まる学校じゃないんだから、1番になって当たり前」
と私にプレッシャーをかけ続けた。
母に嫌われきるほどの覚悟はまだなかったので、私はまた勉学に励んだ。やりたいことをやるために選んだ学校なのに、何かおかしいと嫌悪感を抱きながらも、専門科目よりも5教科の勉強の方をがんばった。

中学では親友をつくろう!とはりきっていたのに、人間関係もイマイチうまくいかなかった。中学の授業をくそ真面目に受け、発言もして、先生に質問したりしている私は、今で言うところの陰キャ認定を早々にいただいた。誰も私によいイメージをもっていないことは自分でも気づいていた。

ある日の休み時間、クラスの半分くらいのメンバーでテストの順位の話題になり、自分の順位の暴露大会が始まった。その時の順位は1番だったのだが、当時の愚かな私は「1番ってことを言ったら自慢みたいだからやめておこう」という選択をした。私の番になり、順位をたずねられても笑ってごまかした。次の瞬間、教室の空気がサーっと冷たくなった。「このクラスに嘘つきがいる!」「なんで自分だけ順位隠すの?変な奴」「どーせ1番のくせに、はっきり言わないとか意味わからない」「私らのこと馬鹿にしてるよね」口々に言いたいことをぶつけられ、軽蔑の失笑をもらされた。

その日からいじめがはじまった。無視、悪口、目配せ、物隠し、落書き…。学校には辛いことだけしかなくなり、居場所もない。
次第に朝腹痛を起こすようになり、学校を休みがちになった。

誰にも相談せずにいたが、さすがに異変を感じた担任、そして母に事情を聞かれた。助けてほしいという気持ちで、ありのままを伝えた。

担任「あなたはクラスのみんなを傷つける発言を日常的にしてると聞いています。まずは自分を変えなさい」

母「いじめられる方に原因がある。あなたは優しい子じゃないからこうなった。もっと人に優しくしなさい。
妹ちゃんはあなたよりずっと優しかった。
とりあえずはちゃんと学校に行っていじめてくる子たちを、勉強で見返しなさい」

思いもよらない母の言葉。
味方になってくれないんだ。
いじめられるような子になった私が全部悪いんだ。
母はやっぱり妹の方が好きなんだ。
私が1番になることにこだわるくせに、私は一生母にとっての2番手。

今まで溜め込んできたものがはじけて、溢れた。

「あんたのために勉強して1番をとったからいじめられるんだ!全部あんたのせいだ。私は1番じゃなくていい、ガリ勉と思われるのもいや、学校も行きたくない」泣き叫びながら自分の思いを訴えた。確か暴れて壁に穴が開いた。

それでも、母は冷静に返してきた。
「それならば、今の学校をやめなさい。あんな学校に行くからいじめられるのよ。1番じゃなきゃあの学校にいる意味もないし。公立の学校に行って高校受験をしなさい。」

私の気持ちは届かないんだ。
私は母に共感してもらえないんだ。
母の思うような子どもにならない限り、きっと永遠にこのまま。
もう、どうしようもできない。

私は母に対して心を閉ざした。
本音は決して言わず、当たり障りのない態度で接し、母が機嫌を損ねそうなことはこっそり隠れてやれる範囲でやるようにした。
母にも、自分にも嘘ばかりついて思春期を通り抜けた。

あの時、母ときちんとぶつかっていれば何か変わったのかな。
母の行ってほしい学校に行ってたらよかったのかな。
大人になってからもずっと考えている。人生やり直せるとしたらどこからやり直したいって、中学受験から!と即答だ。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?