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J2第10節 大分vs町田の雑感

4月16日 大分vs町田を町田GIONスタジアムにて生観戦。
序盤戦最大の山場と言える首位攻防戦。

結果的に町田の完勝と言っていい内容。
ネットニュースでもセットプレーを中心に町田アゲの記事が散見される祭り状態になっている。まあ…これは…しょうがない。

ただ……ただ……
これはトリサポだから感じただけなのかもしれないし、負け惜しみかもしれないが、個人的に現地で観ていた感覚と、現状の町田強しの論調に結構ズレを感じている。

初めに言っておくと前半が終わった時点で「これは6失点ぐらいしちゃうんじゃないのか?」と、暗澹たる気持ちで呆然としていた。
正直この時点でもうこの試合は負けると思っていたし、ここから大分が巻き返す姿が全くイメージが出来なかった。

だけど、高畑の投入で後半4バックにしてからの展開を見て、怪我の功名とは言いたくないが今後の大分の戦い方に大きな可能性を感じながら観ていた。

もちろん3点リードした町田の出力が落ちて、大分がボールを持たされていた感はあるが、それでも大宮戦の敗戦を乗り越えた試合を観ている気分にはさせてくれた。

4バックは下平監督が即興で決めた変更みたいだが、安藤・ペレイラのほぼ2バック状態になり保田が投入された辺りから、4バックでも大分はこういう戦い方ができるのかと思うようになった。
特に安藤のパフォーマンスが非常に良くて、上夷も決して悪くないがベストコンディションであれば安藤がスタメン起用されるんだろうな。
と開幕戦での起用が納得できる出来だと感じた。

高畑が脳震盪で居なくなるまでは、野村を絡めた藤本との左サイドの縦関係は町田も対応に難しさを感じていたように見えたし、高畑が最後までプレーしていればもう1点獲れたように感じた。
右サイドの茂と宇津元の縦関係ももっと機能すれば良かったのだが、まあ、なかなかそう上手くはいかないよな、そりゃあ。

前半でほぼ勝負が決まった試合と言っていい中で、後半の大分は即興4バックでかなり押し込んだ状態を作れたのは収穫だと思う。後半も大分が前掛かりになっているがゆえに町田のカウンターが発動した場面が何度もあったが、現地観戦の肌感覚では4点目が獲られる気配のようなものを感じなかった。

少し話は逸れるが、この試合で高畑が脳震盪で交代したため、ベンチ登録7人のうちGK以外のFP6人すべて交代出場した。
脳震盪での交代が交代回数に含まれないのであれば、5人交代制になったのだからベンチ登録は9人にした方が良いのではないのだろうか?
予算面や公平性など考慮しなければいけないことがあるのだろうが、戦術的な幅を持たせて試合を面白くするためには9人登録の方が絶対良い。
9人登録であれば香川がベンチにいた可能性は高く、高畑との交代で使用できたと思う。
大分だけではなく、どのチームにとってもメリットがあると思うのだが。


町田視点で見たこの大分戦はこれ以上ないほどの手ごたえを感じる勝利だったと思う。

でも個人的には絶賛されているほど町田が良いとは感じなった。
この試合に関しては、怪我人が多い町田が今ある中で用意できる最善の策が噛み合わせの妙でバチコンッとハマっただけという感じしかしなかった。

何というか平たく言うと
「強いとは思ったが、怖いとは思わなかった」

見事としか言いようがないセットプレーだったが、この試合で町田がみせたのはカップ戦を勝ち上がる時の勝負強さで、リーグ戦を勝ち抜くための勝負強さとは違うもののような気がした。

もちろん首位攻防戦の大一番なので、この試合を勝ち切る勝負強さは重要なのだが、これがカップ戦ならここで大分は敗退だが、実際にはリーグ戦の1/4が消化した状態でしかない。
正直この試合で観たのは黒田町田サッカーの天井のような気がして、これ以上の内容のサッカーが今後具現化できるのか?と思ってしまった。

怪我人が多くいる町田が、今後ベストメンバーが揃ったときに新たなサッカーを見せてくれるのかもしれないが、この試合でこのサッカーをしてしまったが故に、今後のベストが逆にぼやけてしまったのではないかと感じた。

その他、この試合で町田に感じたことを列挙していくと

1.ファールの質が低い
町田サポーターからすると大分寄りのジャッジに見えたかもしれないが、剥がされた時にすぐに手を使って止めるのが目立つ。
おそらく1on1で負けないというのが絶対の基本なのだろうが、その反動でカバーリングが間に合っている場面でもファールで止めている状況判断の悪さを感じた。
累積警告などシーズン終盤に顕在化するリスクを抱えているように感じた。

2.J1昇格争いに対する経験不足
前半で大量リードしているが故なのだろうが、後半の戦い方が淡白に感じた。黒田監督が試合終了後のコメントで「できるだけ3-0で終わらせるプランを描いて、ただ最悪1点は取られても、2点、3点を取られることはないようにと、ハーフタイムに3バックへ切り替えるプランも伝えた」と語っていたが、選手がゲームプランを遂行することばかり意識していて、この試合のことしか考えていない様に感じた。

先述後半カウンターで4点目が獲られる気がしなかったと書いたが、悪い意味で余裕があるように感じた。
リードしているとは言え後半の町田の選手はシュートが決まらなかった時に悔しがる感じが見えなかったり、選手交代の場面でただ時間を浪費することばかりで、交代の際にこの試合に掛ける気持ちの交換のような場面が見られなかった。

この辺りは本気でJ1昇格を目指すためには結構大事な部分だと思うのだが。

3.スタジアムに熱気が無い
町田GIONスタジアムの来訪は初めてだったが、天空の城と名乗るだけあってダンジョン感満載の演出で非常にワクワク感のあるスタジアムだなと思った。メインスタンドとバックスタンドの急傾斜具合もキャッスル感強めで、子供の動員が多かったが、確かに子供は楽しいだろうなと感じる雰囲気づくりが行われていた。

しかし、何故か町田のウルトラスがホーム側のバックスタンド低層エリアに集結していた。
はっきり言ってこれが意味不明過ぎる。
何故こんなことになっているのだろうか?

試合終盤に入場者数が6215人だと発表された際に歓声が上がった。
おそらく首位攻防戦で沢山の観客が集まったことに対する反応だと思うが、私は「?」が頭に浮かんだ。
何故なら主催者発表は嘘で6000人も観客が居ると思えなかったからだ。

私はピッチ中央から少しアウェイ寄りのバックスタンド低層エリアに座っていた。
そこから見えている景色を説明すると、

・アウェイ側ゴール裏大分サポーター席はトリサポでぎっしり
・メインスタンドはスカスカ
・ホーム側ゴール裏町田サポーター席はスカスカ
・ホーム側バックスタンド低層エリアはぎっしり

正直、視界に入っている景色からは6000人も入っているとは思えない。
私の席からは見えなかったがバックスタンド高層エリアは、それなりに埋まっていたのだろう。
でも、これまでのサッカー観戦で感じたことがない空虚さを感じた。


この試合ではアウェイの大分サポーターが1000人以上集まったらしい。
選手を鼓舞するためにゴール裏から統率の取れた見事な熱い応援をしていた。
もちろん町田のサポーターも熱い応援はしている。

しかし…である。

選手は試合中にピッチ上で正面からぶつかり合って戦っている。
大分サポーターはゴール裏からピッチ上の選手に熱い声援を送っている。
町田サポーターはバックスタンドからピッチ上の選手に熱い声援を送っている。

本来、選手と同じようにサポーターの声援もピッチ上で正面からぶつかり合う。
しかし町田サポーターの声援はゴール裏から送られていないので、声援はぶつかり合うことなく空転して、ぶつかり合うことで生み出されて、膨らんで、伝播していくはずの熱気が生まれることなく試合が行われていた。

正直こんなホームスタジアムで試合をする町田の選手が可哀そうだなと思った。

大分戦でなければ、二度と行くことはないと思う。
町田はクラブとして一体このスタジアムの状況をどう思っているのだろうか?


町田はこの首位攻防戦で会心の試合をした。
見事としか言いようがない。

しかし、現地観戦したからこそ感じたのは、町田がこのまま順調に昇格を決めきるクラブだとは全く思わなかった。

ピッチと客席がこんなに離れているクラブを見たことがない。
こんなクラブがJ1に昇格するとはとても思えない。


試合以上に気になることがあり過ぎた一戦でした。


(文中敬称略)


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