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寄り道 読後感想 -なみだの陸上部-

こんにちは。今日は寄り道して私の一押しスポーツ漫画の感想を書こうと思います。

なみだの陸上部  高橋由佳利


たくさんのスポーツ少女漫画を読んできましたが大人になっても何回も読み返したくなるのはこの漫画です。

小泉るう子、この春すすきの高校に入学した高校1年生。中学の時は陸上部で将来を嘱望された選手だったがあるレースでの接触事故をきっかけに陸上から遠ざかっていた。ひょんな事でこの高校ただ1人の陸上部員北別府慶秋と出会った事からるう子の未来が動き出す。

あたしはほめられたいから走っていただけよ
そうやって人にののしられたりいやな思いをしてまで走りたいなんて思わない

なみだの陸上部 1巻

そう言っていたるう子が自分が走りたい気持ちを少しずつ取り戻していく過程が3巻の中にきっちり収まっていてとても読み応えあります。

陸上でも恋でも絶対に負けたくないライバル有栖川しのぶとの出会い。

自分の気持ちに鈍く不器用なるう子と女の子にモテて扱いもスマートだけど好きな子に素直になれない慶秋との恋。
いい感じになる事(毎回邪魔が入るけど)は何回かあっても最後までお互い好きとか告白するっていう場面はないんですよね。
でもお互いに好意を持ってる事は読者にはわかる。こういうダイレクトでは無い恋の話は私は好きです。

そしてもうひとり”悟りし者”なるう子の親友、紺野夜貴子。彼女は運動神経以外はパーフェクトな女性。ものすごくモテるのに男の人に対し冷めた目をしています。なぜそうなったかは3巻に収録された”なみだの週番日誌”で触れる事ができます。
彼女はるう子と時にぶつかり時に励ましるう子の気づかなかった自分の気持ちに目を向けるきっかけの言葉かけます。

まあ気分のよいことしかしたくないって気持ちはわかるけど でもあなたがあそこにいたのってぜんぜんにあってなかったわよ

なみだの陸上部 1巻

あたしはあんたにあこがれているのよ
じぶんの足だけでだれよりはやく走れるあんたにあこがれているのよ(中略)
みんなあんたが走るのにどこか自分の夢みたいなものをかさねているのよ

なみだの陸上部 1巻

そしてるう子と慶秋のいいところで邪魔を入れてしまう不運に度々見舞われますが、自分の気持ちに整理がつかない慶秋にもこんな言葉をかけています。

北別府さんはきっと去年の秋そのトラックを退場するるう子を見た時から好きだったのよ

なみだの陸上部 3巻


私はずっと夜貴子のファンです。

スポーツ漫画としてやはり欠かせないのがレースシーン。号砲がなる前の緊張感や駆け引きや揺れる気持ち、ライバルと競り合うところ、息遣いが聞こえるようです。
この漫画で最大限に好きなのはゴールシーンです。

ゴールするるう子

るう子の無心のゴールをこんな表現で描いているのがたまらなく好きです。
決して王道ではない回り道ばかりのるう子の陸上。気づけば彼女をとても応援している事間違いなしです。

実は初版は1985年。今は2023年もうじき40年になります。
40年たってもみずみずしいこの漫画。一度お手にとってはいかがでしょうか?

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