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はち子の一日
はち子の1日は馬達の餌やりで始まる。
朝日を浴びながら、はち子は思う。
「わたしこのまま年を重ねるのかしら」
ふと空を仰ぎ、木々の間に木漏れぶ太陽の光に目を細め再び思う。
「まぁ悪くはないわね」
はち子はすべてを知っている。
そして欲がない。
でも女の子として生まれてきたはち子はまた次の日も思う。
「わたしこのまま年を重ねるのかしら」
馬達はそんなはち子を見て思う。
「そろそろこの鉢から出ていって、ついでにこの子も連れていってあげようか。
せっかく生まれたのなら、この鉢から出てみた方がいいんじゃないか」
と。
今日も天気がいい。
馬達ははち子よりも早くこの鉢に生まれ出ているから、この鉢の生活についてははち子よりもよく知っていた。
そしてその楽しみ方も。
はち子の1日にはまだまだ無限の広がりがある。
そんな日の光に鉢の淵はキラキラと輝き、誘っているかのようだった。
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