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【闇祓】人の闇(病み)の描き方がエグい


先日、コロナに感染してしまいました。

楽しみにしていた色んな予定をキャンセルし、家に引きこもらざるを得なくなってしまった週末。

なにか有意義なことをしたかったので、ずっと積読していた本のひとつを読破したい、と思って選んだのがこちら。

闇祓/辻村深月


あらすじ
高校生の女の子・澪のクラスに、転校生の男の子・白石要(しらいしかなめ)がやってきた。不気味に距離を詰め、エスカレートしていく彼の言動に耐えかねた澪は、友達の沙穂と花果、そして密かに想いを寄せる神原先輩に助けを求めるが…。


以下、感想です(ネタバレなし)

もう、辻村先生、
人の闇(病み)の描き方がほんとうにエグい!!


この小説のジャンルは「ホラー」で、
確かに人智を越えた生き物や現象が出てくるという点ではそういう位置づけになると思うのですが、
それよりも「人が病んでいく過程」がすごく緻密に描かれています。


描き方がすごくリアルなので、ホラーなのにものすごくリアリティがあるし、
実際こういう人っているよな、こういう集団心理ってあるよな、と、生身の人間を見せられるからこそ余計に怖い。


ほんとうに怖いのって、得体の知れない怪異ではなく人間だよね、と思わざるを得ない。


登場人物の1人・白石要は、キャラクターとしてすごく特徴的なので、
彼を中心にした物語にしててもおかしくないし、それはそれで面白い話にはなっていそうだと思います。

でも、そこをあくまで人の闇(病み)を中心に置いたストーリー、人物描写になっているところが、さすが辻村先生…。


一章から四章まではまったく別の人物の視点で描かれますが、この点がじわじわと線になっていく過程がすごく気持ち悪いんです。笑(褒め言葉)


そして、謎が明かされていく気持ちよさ、辻村先生おなじみの叙述トリック、最後にはただでは終わらせてくれない薄気味悪い読後感などなど、
辻村先生のダークサイドを存分に味わうことができました。


こういう世界観を見せてくれるから、やっぱりこの人の世界からは抜け出せないなあと感じます。


すごく印象的だったパワーワードは
「たけやぶやいた?」

「めんしきあるでしょう」
ですね笑

読んだ人にはわかると思います笑


また、「闇祓」の人物描写が好きだと思った方にはぜひ「噛み合わない会話と、ある過去について」を読んでほしい。


これはホラー作品じゃないですが、生身の人間のなんとも言えない黒い部分、暗い記憶をリアリティをもって見せつけられます。しかもそのエピソードに覚えがある気がしてしまうあたり、かなりホラー。

頭の中をぐりぐりほじくられて「これ、見覚えあるでしょ?」って見たくなかったものを目の前に出されるような笑


人間の負の感情に浸りたい!という方、ぜひ読んでみてください。

おまけ

この本を積読していた理由の一つに、コレがあります。

辻村先生の可愛らしい字!!

はい。サイン入り本です。
先着100人のみ買えた、名前入りサインです。
敬愛する辻村先生の直筆でわたしの名前が書いてあります。宝物です。

自慢かよ!って?自慢ですけど!?

〜終〜

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