残り2週間の共通テストに向けて何をすべきか(歴史編)
問題分析
正しい選択肢を選ぶ問題
正しい選択肢を選ぶ問題の間違いの選択肢を見てみると、
選択肢の文章自体は正しいものも多い。
内容自体は嘘ではないけど問題文とは整合していないパターンの場合、問題文をちゃんと読まずに選択肢だけみて、「あ、言ってること間違ってない」と的外れな選択肢にマークすることになります。
例えば、2022年の共通テスト世界史B第3問の問1がそのパターンです。
正解は③ですが、①②④の選択肢の内容自体に間違いはありません。
ア(諸国民の春)の時期に一番近いのが③なので、正解が③になっています。
焦って「確か、青年トルコ革命はオスマン帝国起きたな」と、選択肢の内容の正しさだけでマークすると間違いになってしまいます。
知識の内容でいうと、深い知識というよりも、浅くてもいいので広い知識が必要になっています。
上の例だと、それぞれの深い内容の知識までは要らないけど、起きた大体の時期は覚えておく必要があります。
「人物の名前や出来事のような固有名詞」よりも、「いつ、どこで、誰が、どのようなことをしたか」が問われることが多いです。
単純な1つ1つの知識として覚えていくのではなく、他の出来事や人物などとのつながりを覚えていきましょう。
資料読み取り問題
まず資料を読み取ってから、それに適した選択肢を選ぶ問題が多いです。
この形式の問題に時間のほとんどを持っていかれるので、資料の読み取りをどれだけ早くできるかで時間内に間に合うかどうか左右されます。
解けるだけの知識はあっても資料の内容と連動させないと解けないので、慣れが必要になります。
言い換えると、どこまで知っていれば解けるかが一目で分からなくなっています。
ぱっと見、知識不足で解けなさそうな問題でも、資料をよく読むと解けたりすることもあります。
例)2022年の共通テスト世界史B第1問の問1
この問題は知識がなくてもギリ勘で解ける問題です。
それぞれの書籍の名前を見ると、植物学が関係しそうなのは①のみです。
②『資治通鑑』:資=物資?、通鑑=図鑑?
③『天工開物』:工=工事?
④『文選』:文学集?
ただ、これくらいの推理を何問もしているようだと、仮に解けるにしても時間が足りなくなってしまいます。
知識がなくても粘る、でも、時間はかけすぎない
というバランスをとるのが難しい印象を受けました。
2.ここから点を伸ばすには?(失点の原因)
知識を増やす(減らさない)
当たり前ですが、知識が多いほど点数は上がります。
共通テストでは、それほど難しい知識は問われないですが、物事の関係性を問われることが多いです。
なので、既に知っているつもりの物事でも、他との関係性をみると知らなかったことが見つかるかもしれません。
資料読み取りのスピードを上げる
時間的に余裕が欲しいので、資料読み取りのスピードを上げたいです。
時間に余裕ができれば、落ち着いて考えることができますし、余った時間で見直しもできます。
3.残り2週間で何をするか
教科書の読み直し
大半の問題は教科書レベルの知識で解けそうなので、とりあえず教科書を重点的に読み直していきます。
気を付けるのは、「物事の関係性」と「浅く広く」の2点です。
物事の関係性をみるために、ただ教科書を順番に読んでいくのではなく、視点を固定して読んでいくのがよいでしょう。
例えば、『1つの国(イギリス、フランス、イタリア、アメリカなどの大国)の視点を追いかける』『1つの土地(東南アジア、アフリカなどの植民地)の視点を追いかける』とかですね。
参考書などで分かりやすくまとめられている資料があれば、それをなぞっていくのもよいですね。
時間があれば自分でノートにまとめていきたいですが、そこまでの時間的余裕はないので、そこまでやる必要はないかなと思います。
「浅く広く」については、どこまで覚えて何を覚えるのを諦めるかを選ぶことと同じです。
覚える量をできるだけ最小限にして、勉強の時短を狙っていきます。
大体どれくらいの時期のことか、どこの国が関係するか、どのようなことが起きたかをざっくりと把握しておけば、あまり詳しいところ(例えば、何年に起きたか)まで覚えなくてもよさそうです。
資料読み取り問題の練習をする
共通テストの問題は独特の形式なので、形式自体に慣れる必要があります。
もしかすると、今度はまた違う方式の問題も出るかもしれないので、なるべくこれまでの形式の問題はスムーズに取り掛かれるようになりたいです。
例)2022年の共通テスト世界史B第2問の問1
ア:「スペインと連合国の障壁」とか「スペインとの間に共感は芽生えようがない」とか書かれていますが、「ナポレオンの侵略」というワードだけで『フランス』と特定することができます。
ナポレオン→フランスを一瞬で特定できれば大幅な時間削減になって、他の問題に割ける時間が増えます。
とはいえ、共通テストの過去問自体がほとんどないので、
1つの問題を何度か擦ることになります。
答え自体は覚えてしまっても、解き方をいろいろ試してみるとアドリブ力がつきます。
例えば、「できるだけ早く解く」「できるだけ少ない知識で解く」とかです。
「少ない知識で解く」というのは資料部分の記載や推理で解くということです。
日本史Bからの問題を例として紹介しましょう。
この問題は資料の情報量が莫大で、すべてに目を通していたらかなり時間を使います。
ですが、うまく資料を見ればほぼ知識を使わずに1分以内に解けます。
まず、選択肢a,bのどちらが正しいかですが、
2つの選択肢で違うのは「和風化」or「唐風化」のみです。
で、ここで「和風化」とは何かですが、最初のほうの問題で「小野妹子は姓と名の間に『の』が入る」と話題になっており、自然と「和風化=姓と名の間に『の』が入ること」というのが分かる仕組みになっています。
飛鳥時代ほどの昔には間に「の」が入っていたのが入らなくなった(というか漢字をそのまま読むようになった)=唐風化したということでbが正しいとたどり着けます。
c,dについては前半部分についてはどちらも資料で確認ができるので、あとは後半部分の怪しさ次第です。
dの「皇位継承の順番が明確になった」というのは正直ピンときません。
cの「天皇の子どもであっても臣下となるものが現れた」は逆に間違いだと証明するのが難しいです。(悪魔の証明というやつです)
cが間違いだと仮定したら、もしかしたら資料が残ってないだけで臣下となった人がいるかもしれない、という曖昧さが残ります。
さすがにこんな下手くそな問題の作りをしていないはずなので、cも正しいと推測できます。
ということで歴史の知識をほとんど使わずに答えは③という結論にたどり着けました。
これを知識を使って解こうとすると、「嵯峨天皇の時代で名前が唐風化した」「皇位継承の順番は名前から明確になっていない」というマニアックな知識が必要になります。
おそらく本番でも、まともに知識で解けない問題と出会うと思います。
そのときにすぐ諦めるのではなく、資料から情報を集めて少しでも正解の可能性が高い選択肢を選ぶのです。
そうするには時間が必要なので、知識のパワーで解けるところはなるべく時間をかけずに解けるようにスピードを意識した練習も一度くらいはしておいた方が良いでしょう。
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