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2222日に幕を下ろすのは彼女

欅坂46一期生として加入し、グループの改名を経ても尚櫻坂46の一員として活動してきた尾関梨香が先日2022年9月11日に最終活動日を迎え、9月30日を以ってメッセージ配信を終え、卒業・引退をした。
彼女に魅了されグループを推してきた日常、アイドルを追うという自分の日常の終わりは、意外にも同時に迎える。意外にも、自分でも驚くほど余りにも意外なのだ。
(※この雑記は自己を客観的に見つめる為の謂わば記録であり、他者が読むに値する文章には到底足り得ないものである。この雑記を読むのであれば、その点をご理解頂きたい。)

1.欅坂46との出逢い

幼少の頃から音楽を聴くことが好きだった。家系がそういう類とかではなく、自分が音楽に携わりたいからというのでもなく、シンプルに音楽を聴いて生きてきた。しかも他の人と比べてより聴いてきたという訳でもない。どこにでもいるただ音楽をよく聴く人間である。テレビっ子だったので、ドラマやアニメの主題歌など流行りの音楽は粗方聴いていたし、今でも歌えるものも多い。そんな幼少期に出逢った音楽で、今現在自分の生きる指針でもあるのがBUMP OF CHICKENである。彼此10数年もの間自分の中心である。BUMPに出逢った後、邦ロックに傾倒していった。中でもASIAN  KUNG-FU GENERATIONは、今でも追うバンドであり、BUMPと同じく自分の軸的な立ち位置に存在している。この傾倒をきっかけに、自分の音楽観は狭小になり、邦ロック以外は聴かないように無意識になっていたのだが、そんな狭小な世界をぶっ壊してくれたのが欅坂46であった。始まりは、友人との些細な会話である。

「この間のMステ見た?」
「いや、見てないけど。なんで?」
「欅坂?だっけな、なんかそんな名前のアイドルが出てたんだけど、センターの平手って子が凄かったからさ。」
「へー、アイドルね。帰ったら調べてみるわ。」

友人は一緒にライブに行く間柄で、人生初のライブとなるBUMPのGGT公演に誘ってくれた、人生が変わるきっかけをくれた人でもある。アジカンの素晴らしさを教えてくれたのも彼だった。そんな彼から勧められたので、見ようかなという気にもなったのだ。幾日か経過した、日付まで覚えている2016年8月30日、そんな会話をしたことをふと思い出し、“欅坂46”と検索をかけた。メンバーのプロフィール写真をぼーっと眺めた後、『サイレントマジョリティー』のMVを観る。当時の感想として、映像の衝撃は正直にいうとそこまでなかっただけでなく、友人の語っていたセンターの子にも然程引かれることもなかったし、寧ろ鈴本美愉の方が印象的であった。しかし、それも強いて言えばのレベルだった。では何に心を奪われたのか、無論音楽そのもので有った、歌詞でも映像でもメンバーでもなく、音だった。邦ロック界隈で育ってきた自分は、アイドルソングというものに途轍もなく強い偏見を抱いていた。ポップで明るくて、軽くて、耳馴染みのいい音楽(今ではそんな音楽のみな筈がないのは当然理解しているが、当時は本当にそう思っていた)を引っさげてダンスするジャンルという認識である。しかし、耳に飛び込んできた音は、そんな偏見を吹き飛ばすような強いものだった。それからというもの、自分は欅坂の音楽に心惹かれ、メンバーの顔も覚えずに、ひたすらに音源を聴く生活を始める。

そんな日々を過ごす中で、とある秋の日、音楽だけで構築された“私の中にある欅坂”はメンバーという色味を帯びる。YouTubeのおすすめに上がった『欅って、書けない?』、通称けやかけが目に飛び込んできた。アイドルのバラエティ番組を見るのは無論初めてのもので、数回分の視聴だけですっかりハマってしまった。目新しさ故のものだったのか、メンバーの魅力だったのか、番組自体の面白さだったのか、今となってはよく分からないが、あの時けやかけを見たことが欅坂にのめり込んだきっかけだということは確信を持って言える。年末あたりには、リアルタイムで番組を視聴するようにもなり、欅坂のファンへの拍車をかけた。

一つ一つを語っていくとキリがないので次の転機を綴る。それは、欅坂46の1stアルバム『真っ白なものは汚したくなる』のリリースである。本日9/12までの約6年のなかで最も大きな出会いの一つがこのアルバムだ。というのも、私は欅坂というアーティストにはハマったものの、コンテンツそのものにはハマりきっていなかった。その中で顕著に疑問を抱いていたのが、ビジネスの側面である。CDのタイプ別商法という施策が受け付けず、なぜ同じCDを何枚も買わなければ楽曲を揃えることができないのかとモヤモヤした気持ちを抱えていた。そんな中この作品は、1st~4thシングルまでの楽曲ほぼ全て(未収録は3曲のみ)を収録し、新規曲の数は16曲という新規から既存のファンまで全員の購買意欲を駆り立てるものであった。発売日、予約したアルバムをCDショップに受け取りに行き、家に帰るまでのワクワク感は何度経験しても良いもので、当然欅坂でも同じように感じた、あの日のことは、今でも容易に思い出せるほどだ。家に帰り、CDを流す。耳に飛び込んできたのは、多彩さの中にしっかりと“欅坂46”という核が備わった楽曲群で、素直に感動した。この辺りの時期からメンバーの発言に変化が帯び始めたのも欅坂にハマる要因であったのだが、それこそが次の思考であった。

"楽曲を伝える"

自分は、このコンセプトに心底驚いた。自分が昔から敬愛するBUMPと同じことを言っているから、それもアイドルが…

アイドルはそもそも歌詞を書いていない、曲も作っていない(例外はあるかもしれないが)。提供された楽曲を歌って踊って披露する。楽曲を伝えるということは、その曲に自分の意思が乗っからなければ出来ないことは至極当然にも関わらず、提供された歌詞は、自分の又は自分たちの言葉ではない。どんなに歌詞を解釈し、理解して自分たちの中に落とし込もうとしても、他者の意図と思考とは必ず隔たりが生じる。努力ではどうにもならない不変の事実である。つまり、ここで言う楽曲表現は、演技と同質のもので、一朝一夕で身につくものでは到底なく、況してや成長を示す目に見える指標はなく、漸近はしても決して完成しないものである。女性のアイドル生命は短い、長くやっても30歳くらいだろうか。そんな短い期間で成し遂げるコンセプトとしては余りにもコスパが悪い。それ故にダンススキルや歌唱力、ビジュアルの磨きに力を入れるのがセオリーであり、ある種正解の道と言えるだろう。しかし、彼女たちは楽曲表現という茨の道を選択し、突き進むと答えた(無論、前者に挙げた項目も努力した上であり、その上で何に最も重きを置いているかという話である)。この欅坂のコンセプトを知った時、只管にワクワクしたのを今でも鮮明に覚えている。
そんな変化を帯びたタイミングでリリースされたアルバムをきっかけに、ライブに足を運ぼうと決意した。残念なことに、欅共和国2017は個人的なスケジュールの都合上行くことが叶わず、初のライブは『真っ白なものは汚したくなる』を提げた2017年全国ツアーの千秋楽になった。

8/30幕張、天気は快晴、他のアーティストのライブで何度か足を運んだことのある会場は馴染みが深く、ワクワクも然程なかったのを覚えている。これは、深層心理で“所詮はアイドル”という気持ちが抜けていなかったのもあっただろう。しかし、そんな考えは一瞬にして崩れ去る。アルバムリード曲『月曜日の朝、スカートを切られた』を軸に作り上げられた世界観を、パフォーマンスは勿論のこと、ライティングや映像、特効を介して、綿密に組み立てていくその数時間は心を掴んで離さなかった。開幕のエキセントリックから終幕の不協和音までに紡がれた世界は、端的に示せば“衝撃”以外の何物でもなかったのだ。欅坂46との物理的な出逢いは2016年の8月である。しかし、真に出逢ったと言えるのはこの日だと、自分はそう痛感した。

2.尾関梨香を推すということ

そんな衝撃の出逢いから程なくして、5thシングル『風に吹かれても』の選抜発表がなされた。そこで初フロントに選ばれた一人が尾関梨香だった。その後放送された新フロントを掘り下げる企画で、尾関が台上前転を披露し、澤部とハイタッチをするシーンで完全に惚れてしまったのが推し始めたきっかけである。元々性格に惚れていたことも大きな要因ではあるが、ここまで、音楽がー、パフォーマンスがーと語ってきたにも関わらず、結局推すきっかけが“可愛い”という余りにも単純明快な点が、アイドルというものの本質を捉えているのかもしれないとは少し思ったりもする。
この時点から箱推しという前提のもと、個人も推すことを意識的にし始めたのだが、推すという行為を自分の中に落とし込み、確と解せたのは9th選抜にまで時が進む。

9th選抜が行われたのは、2019年の7月某日、ファン側がそれを認識したのは全国アリーナツアー終わりの2019年9月9日放送のけやかけであった。この件に関して細かに綴ると話が逸れるので、またの機会に書こうと思うが、端的に今回の主を話すと、尾関梨香が選抜から外されたという結果が生まれた。この決定を見た自分はTwitterで多くを呟いた。直前の欅共和国2019での活躍や、二期生との架け橋としてグループを繋ぐ役目を全うしていたこと、ラジオ冠番組である『こちら有楽町星空放送局』の3代目パーソナリティを一所懸命にやり遂げていたこと、数々の功績が堰を切ったように言葉として溢れ出した。箱推しだと思っていた自分が、一人のメンバーに対して“何故”という想いで押し潰されそうになる。そこから“推す”について悩み、尾関推しだと公言するのを憚っていた自分の思考と葛藤することになった。一人を推すという行為は、箱推しと齟齬が生まれるのではないか。推しだと公言するほど彼女のことを見ているのか、見てないとしたら烏滸がましいのではないか、そんな色んな葛藤ゆえに躊躇っていた気持ちに、相当悩んだのは今でも記憶に新しい。そんな時ふと、FFの方から「選抜とかが一番分かり易いと思っていて、あの呟きを見る限り、尾関推しだと思いますよ。」という言葉を投げかけられる。この言葉は自分の中でとても大きく、踏ん切りが付いた瞬間であった。ここから尾関梨香というアイドルを、人物を確と見届けていくことになった。

3.自分にとって“推し”とは

先述の通り、私は箱推しが主であって、その上で個人を推すという択を採っていたのだが、推すという行為の根源を言語化するとかなり難しい。突き詰めれば、単純な「好き」という感情に収束されるのであろうが、枝葉を考えると複雑である。

まず箱推しにフォーカスして話すと、第一義はグループの信条である。楽曲を届けるという核を見失わずに一心不乱に心を燃やす彼女たちに心底魅了された。故に、そこから外れた仕草を垣間見ると、モヤっとした気持ちが起こる。パフォーマンスは、この信条を体現したものであり、それ自体が重要なわけではなく、あくまで“心”が箱推しの原動力であった。その根幹の上に、メンバー一人一人への“好き”という感情が乗っかっている。グループ一個体の好きの上に個人に対する好きが存在しながら、個人がバラバラになると根幹さえも崩れてしまうという感じだった。つまり、全員選抜は自分にとってかなり重要なピースであるというのが、箱推しという言葉に内包されている。

次に個人を推す、ここでは尾関梨香を推すということだが、これは為人を敬愛していることとほぼ同義である。ビジュアルやパフォーマンス、延いてはアイドルの公的要素全般に至るまでの諸々の観点は余り重要性を待たない。ファン側から見える部分が一部であるだけに、パーソナリティに関わる部分も公的な部分であると捉えられることに異論はないが、表出されるパーソナリティな要素が少なからず為人と共有部分を有すると考えられることも同様に異論はないだろう。つまり私にとっての個人を推すと言う行為は、生き様に惚れて、それを敬愛し、憧れを抱くことだと言語化出来た。

推すという言葉には、推す側である自分と推される側である対象の他に、第三者という立ち位置が存在し、その第三者にも薦めることを内包しているというのが辞書的な意味である。使われ始めた当初は、その意味合いが強かっただろうが、昨今では形骸化し、好きという言葉の代替品としての性質が主である。“好き”と同様にその範囲は広く、フランクなものから、愛に匹敵するものまで存在する。故に、人それぞれに推しの定義が存在し、そのどれもが正しい推しであることを理解していたいとは常々思う次第である。

4.尾関梨香とは

仰々しい見出しにしたものの、大して深い内容ではない。単純に尾関梨香の魅力を語りたい、その一心である。

・愛おしい


まずはこの要素から。彼女は何をやっても愛おしかった。有名な走り方から、一つ一つのリアクション、ラジオパーソナリティを務める冠番組に於いて度々見せる緩いポンコツ加減、バラエティに於いて失敗しても成功しても満面の笑みをこぼす様は、愛おしさで溢れていた。個人的に印象的なシーンで言えば、櫻坂1stシングル選抜発表時の驚き方、パインパーソナリティや春雨よといった言い間違えなどがある。この他にも綴ろうと思えば無数に出てくる愛おしさは紛れもなく彼女の魅力である。同期からはグループのマスコット的立ち位置と見做され、後輩から赤ちゃんのようだと称される彼女の愛おしさは、癒しという言葉の具現化であったと思う。

・優しい

何も言うことがない人を賞賛する時の代名詞“優しい”というワードであるが、彼女に対してはこれこそが核であり、これこそが推す動機だと強く思う。優しいという性格をファンという立場から捉えるにあたって重要になるのが、メンバー等彼女と関わりがある人からの具体的なエピソードである。メンバーの機微を察し、程よい距離感でその悩みの受け皿があることを伝えてくれる。そんな彼女についてのメンバー含む関係者からの評を幾つか引用したい。

増本綺良

(テンションが低かった日の翌日に)
“昨日元気なかったけど大丈夫?私で良かったら話聞くよとLINEで伝えてくれて、もしものことがあった時にそういう話を聞いてくれる先輩がいるってことを知れて嬉しかったです。”

(引用:増本綺良 SHOWROOM 2020/12/27) 

“人の見えない傷は把握はできても、理解し、その痛みに共感することは簡単では無いと思います。それでも、ご自身の経験や寄り添おうとする心をもって痛みに共感してもらえた時、人はすごく救われます。
それを実践で教えてくれたのは尾関さんでした。
尾関さんに救われた経験がないメンバーはいないと思います。
全員に行き渡る程の温もりの持ち主です。”

(引用:増本 綺良 公式ブログ|奇跡

山﨑天

(話すようになったきっかけについて)
“日向坂46さんと一緒の握手会が最後のときで、(上村)ひなのとバイバイしなきゃいけないのがツラくて泣いていたら、尾関さんが「おいで」と隣の席に誘ってくださったんです。”

(引用:欅坂46 尾関梨香&山崎天「1期生と2期生の意識の差を埋めてくれたTAKAHIRO先生」

“グループに入って親元をすぐ離れてしまったので、誰に頼ればいいか分からず、頭が真っ白になった時期があったんですけど、その時に一番側に居てくれて、支えてくださったのがおぜさんで。おぜさんみたいな先輩になりたいなって、あの時からずっと思っていて。
私が眠れなくなった時に、お家にすぐ呼んでくださって、入ったばっかりなのに、ご飯も作ってくれたり、お風呂にまで入れてくれて、一緒に寝てくださって、本当にお母さんみたいに凄い私のこと支えてくださって。
凄く救われています、今もずっと。”

(引用:そこ曲がったら、櫻坂?♯98)

小林由依

“おぜが居なかったら、多分私はここに居ないだろうなぁってくらい助けられて…。うん、なんか凄く沢山感謝しています。”

(引用: W-KEYAKI FES.2022 DAY2 卒業セレモニー)

志田愛佳

(「愛佳はストレス溜め込んじゃうから、私でよければストレス発散してね」という手紙に対して)
“私が落ち込んでる時、ダメになった時、私みんなに当たっちゃうから…。それでも尾関が話しかけにきてくれて…嬉しい。”

(引用:KEYAROOM EP02 尾関梨香からの手紙)

長濱ねる

長濱「おぜちゃんと葵ちゃんがスカイツリーに連れて行ってくれて、その時に敬語で話さんで良いよって言ってくれて。それ本当に私感激して、すぐにお母さんに連絡して。」
尾関「あったね、それでメッセージまで頂いたりして」
長濱「そう、長崎のチーズと長文のメッセージを」
尾関「でも、敬語で話さないでなんて私言ったっけ?」
長濱「言ってくれたんやで…優しいのよ」

(引用:欅坂46こちら有楽町星空放送局♯99)

田村保乃

“何度も何度も言いますが、本当に優しいのです。
私が言えない事を察してマネージャーさんに言ってくださったり、いつも二期生のことを気にしてくださっていて、尾関さんといると保乃はとっっても安心します。
優しいメールに励まされて泣いたり、、、、”

(引用:田村保乃 公式ブログ | さくら🧸田村保乃

大園玲

“大事な撮影の最中とか生放送の直前とかに、応援の連絡をくださって、それも凄い嬉しかったですし。
Nobody's faultの期間に自分の中で、本当に余裕がなくて…大変だなと思うことが多かったんですけど、とっても支えていただきました。
本当に…本当にめちゃくちゃ大好きです。”

(引用:そこ曲がったら、櫻坂?♯98)

平田真人(インタビュアー)

“人にはそれぞれ何らかの役割がある。彼女はさしづめ欅の幹と葉をつなぐ枝のような存在。天性の人懐っこさに、誰もがほだされる。”

(引用: blt graph. vol.51 “peace of mind”)

オテンキのり

“レコメンに来てもらった時とかのを見てるとさ、凄いさ、一番欲しい時に一番欲しいことを言ってくれるというか…。人のことを見ていて凄いよね。それで本当にチームを支えてきた人なんだろうなって。”

(引用:レコメン! (2022年6月20日放送回))

小池美波

“休業期間中もずっと気にかけてくれていて、連絡でたくさん頑張れる言葉をくれたりして、優しさをたくさん貰っていました。
本当に頑張れたよ、ありがとう。
いつも優しさを貰ってばかり、私もいっぱいの愛情で返したい。”

(引用:小池美波 公式ブログ | ☺️

森田ひかる

“尾関さんは、私は良いよ〜って先に全部譲ってくれる優しさとか、二期生が加入した時も、優しく話しかけてくれたのが、本当に嬉しかったです。たくさんの優しさをありがとうございました。大好きです。”

(引用:W-KEYAKI FES.2022 DAY2 卒業セレモニー)

井上梨名

“お姉ちゃんでもあるし、お母さんみたいに安心できる存在でもあるというか。些細なことでも連絡をくれて、いつも甘えちゃってます。もし厳しいことを言われても、絶対について行きたくなる先輩です。一番印象的だったのは、新二期生が入ってきた時にかけてくれた言葉。私たちの方が少し活動期間が長かったので、独特の緊張感があったんですけど、尾関さんは「先輩らしくしなきゃとか考えなくても良い、これからも後輩として甘えて良いんだからね」って言ってくれて。二期生みんなで「このままでいいのか」「無理に頑張らなくていいんだね」って落ち着いたんです。”

“収録のことだけじゃなくて色々あって落ち込んでいたら、尾関さんがジュースを買ってきてくれて、私のほっぺにピタってしながら「大丈夫だよ」って。先輩たちって自分の弱さを見せないので、自分のことは語らずに後輩の悩みを聞いてくれる方が多いんですけど、尾関さんは「私もこんな失敗したよ」って弱さも見せてくれるので、すごく話しやすいんです。”

(引用:尾関梨香×井上梨名 “次はどこまで飛んでいこうか?”(BRODY 2021年4月号))

武元唯衣

“本当にお姉ちゃんのような存在で。私が他のお仕事とかで落ち込んで帰ってきても、尾関さんと会ったら「その顔はどうした?」みたいにすぐバレちゃうんですよ(笑)。特に二期生は不安をあまり口に出さないメンバーが多いんですが、そこに気づいて気にかけてくださる先輩の一人が尾関さん。二期生みんな、尾関さんのそういう優しさに何度も救われてきました。”

(引用:僕たちの嘘と真実 Documentary of 欅坂46 パンフレット SPECIAL TALK 尾関梨香×武元唯衣)

“誰にでも分け隔てなく大きい優しさをくれる尾関さんを人として尊敬して憧れています。これからも幸せでいてください。大好きです。”

(引用:W-KEYAKI FES.2022 DAY2 卒業セレモニー)

渡邉理佐

“グループ活動をしていく上で必要な存在で、助けてもらう場面が多かった気がします。気持ちが落ちてしまったり、心が折れそうな時、毎回支えてくれたのがおぜちゃんでした。”

“相手を立ててくれるのもおぜちゃんの優しいところなんですよ。おぜちゃんがいるだけで場がほっこり温かくなるのは、きっと私だけじゃなくて、他のメンバーも感じていると思いますし、スタッフさんもそれに助けられていると思います。みんなから愛されている理由って、そういうところなんだろうな。”

(引用:渡邉理佐  卒業メモリアルブック “抱きしめたくなる瞬間”)

上村莉菜

(欅坂46の2ndシングル選抜発表で前に行けず悔しかったことに関して)
“自分の名前が呼ばれてからすごく泣いてしまって。
他のメンバーがどのポジションになったのかぜんぜんわからなかったのですが、収録が終わった後、楽屋のすみっこでひとりで泣いてたら、おぜきがわたしのところに来て、「りな!うちらシンメだよ!いっしょにがんばろ!」って言ってくれて。
おぜきもすごい泣いていて辛いはずなのに、励ましてくれたことがすごく嬉しかったです。
やっぱりわたしの相方はおぜきだな〜と思いました。
まじめで、頑張り屋さんで、わたしが落ち込んでいるときは、全力でふざけて笑わせてくれるおぜきが大好きです。”

(引用:上村莉菜 公式ブログ | 。.୨୧00245♡りな୨୧.。

ここに列挙したもの以外にも沢山の優しさが詰まったエピソードが存在する。彼女のその優しさは、自分にとってこんな人になりたいという憧れそのものだった。

・クソ真面目


真面目ではなくクソ真面目なのは、彼女自身が自分をそう評したからである。SAKURA BANASHIという櫻坂46の2ndシングルの特典映像にて、小林由依とツーショットトークをした際に放った言葉である。二人とも真面目だとよく言われるという話であったが、それを個人的に一番に感じたのが、黒い羊発売記念の欅坂46のANNでの尾関梨香であった。他のメンバーがわちゃわちゃと自由に楽しむ中、司会進行役に抜擢された彼女がスタッフさんと綿密に話し合う真剣な表情が何度も見受けられた。そんな真面目な彼女の為人はこんな所にも表れる。

“何かある度に気にかけて連絡を下さり、数え切れないほど救われました。
綺麗事だけでなく、向かないといけない方へ導いて下さる尾関さんの言葉が大好きです。”

(引用:増本綺良 公式ブログ | W-KEYAKI FES.2021

齋藤「尾関そもそもの到着時間がめっちゃ早いから」
尾関「とにかく迷ったりもすることも計算して、すっごい余裕持って家を出るので、集合時間の1時間前とかに着いちゃって、あ〜どうしよー何しよっかなぁみたいなことが活動を始めた初期の頃から…笑」

(引用:櫻坂46こちら有楽町星空放送局♯63)

井上「尾関さんって、集合場所とかにめっちゃ早く着いてるイメージがあるんで」
尾関「知ってんの、それ笑」
井上「いっつも一人でいるじゃないですか笑、待ち合わせ場所にポツンって笑」
尾関「そうなの、本当に早くから居るの笑」

(引用:櫻坂46こちら有楽町星空放送局♯85)

この頃
レッスンとかの集合時間よりも1時間半くらい早く着いてしまうっていう事件がありまして、、
事件というかもはや癖なのかな。今月だけでも本日で7回目です〜👟
余裕持って、お家🏠を出発するとなぜか早く着きすぎてしまう
かといってお家でのんびりだらだらするのはあまり好きではないので、準備が出来次第外に出てしまうみたいです
基本集合しても誰もいないので、困ったらふーちゃんに『助けてー』って連絡します笑
そうするとたまーにふーちゃんも早く来てくれます🤤
遅れて焦るのはやだからまあいっか〜

(引用:尾関梨香 公式ブログ | 477🍎


真面目であるがゆえに、発される言葉はとても真っ直ぐで、見せる姿勢はとても誠実であった。先述したSAKURA BANASHIで彼女が「真面目は良いことよ」と言っていたが、本当にその通りだと思う。自分自身が紛れもなくその姿勢に惚れた一人であるから。

・パフォーマンス

為人だとは言っても、パフォーマンスはやはり好きだった。彼女のパフォーマンスの根源とも言えるのが、楽曲解釈の言語化能力であると個人的に思っている。 BRODYの2021年6月号にて語った、偶然の答えの解釈論である。MVはこういう主軸であると伝えられたこと、その上で自分自身がこの曲はこういう感情を歌った曲だと捉えたこと、その軸を捉えつつも場面場面での感情の移ろいを意識したこと、そして、その感情をダンスにどのように反映させたかが丁寧に、そして綺麗に語られている。アウトプットが行えるということは、パフォーマンスをロジカルに創造できることであり、安定性に繋がる。それでいながらも、欅坂時代に培った感情の爆発も持ち合わせているのだから、魅了されるのは必然なのだと、櫻坂になってからはより一層そう感じる次第であった。
この解釈の力は天性のものではないことも綴りたい。『僕たちの嘘と真実 Documentary of 欅坂46』の特典であるインタビュー映像でこんなことを発言している。

「(4枚目までは)フロントに立つことしか頭に無くなってしまって、それこそパフォーマンスのこととかもあんまり考えられなかったから、5枚目シングルから本当に向き合うようになったなって思います。」

“実際フロントをやってみて、どうでしたか?”

「本当に変わりました。それこそパフォーマンスに入れる気持ちがやっぱり変わって、今まではやっぱりどうしてもメンバーに任せてしまっている部分があったんですけど、フロントに立つことでその楽曲を届けないとって常に思う心に本当に…思うようになって。歌番組とかでカメラ割りを意識するようになったりとか、1から活動を見直すチャンスになったかなって。」

“その後、心境はどうですか?”

「それこそ『ガラスを割れ!』から8枚目まで、今来てますけど、やっぱりそれからライブに対しての気持ちも違うし、作品を届けようという気持ちが大きくなりました。」

(引用:僕たちの嘘と真実 Documentary of 欅坂46 メンバーインタビューロングバージョン)

また欅坂9枚目シングルで選抜落ちした際のこち星では

“個人的な意見としては、私はダンスも元々やってたわけではなくて、欅坂の作品って、凄く表現力を本当に求められるので、それをどうやってみんなに追い付いていけば良いかっていうのを8枚目シングルまで一緒にやってきて、最近ちょっと未来が見えてきたかなって思っていた矢先だったので、凄く本当に悔しいんですけど。
ずーっと全員でやってきたので、初心の気持ちを忘れてしまったなって部分もちょこちょこあったりだとか、卒業するメンバーもいたし、二期の子も新しく入ってきてくれて、多分初期の頃から本当にどんどん今グループ的にも変化して、環境も変化してる中で、一期生もここでちゃんと変わるタイミングなのかなって、個人的には思っているので、みんなにとって、グループにとっては凄く良い機会なのかなと思っております。”

(引用:欅坂46こちら有楽町星空放送局♯182)

と語っている。立ち位置の変化、楽曲と向き合うようになってから経過した年月での変化、そんな変化によってパフォーマンスを磨き続けた結実がまさに楽曲解釈の言語化という力を得たのだと、流れを見てきた自分は痛感し、それとともにその努力に敬服せざるを得ない。櫻坂に於いて、その努力の結実が輝いたのを垣間見た時、心底嬉しかったのを鮮明に記憶している。
ここでもう一つ、欅坂46・櫻坂46のコレオグラファーであるTAKAHIRO氏のインタビューを引用したい。長文での引用になるが、ご容赦願いたい。

欅坂46は季節的だと思っているんです。1番最初は春、芽生え、どちらに行って良いのか分からず、とにかく無我夢中、がむしゃらに取り組む。表現で言うと、どんなことでもできた。「どう見られちゃうのかな」という自意識がまだないので、とにかくやってみる、というスタンス。テクニックに関しては拙いけれど、「どんなことが起きるんだろう!」とワクワクさせてくれるような状況が、何曲かの期間続いたわけです。
しばらく経って、夏になる。なんとなく自分の技術や感性が育ってきて、「今の私たちはこんなにできる。もっともっと表現したい」と、無双感を持って熱い時間を過ごしていきます。
続いて、秋。少し涼しくなって、自分が客観的に見えるようになってくる。照明がどう当たっているか、カメラはどんな向きだとお客さんは喜ぶだろう?お客さんは今どんなふうに思っているんだろう?私はここで振り向いた方が良いのか、と第三者目線が養われていくんですね。テクニックがさらに上がり、充実の時を迎えると。
そして、冬。一つの集大成です。技術的にも円熟期に入って、磨きの世界に入ります。利害損失から離れ、表現の追求の時代に入る。グループ全体から個へと目線が移っていく時期でもあります。
で、今、少しの時間を置いて、また新しい芽生えの春が訪れているのではないか、と感じてもいます。それは新しい二期生という存在が象徴してもいます。少し先に入っていた二期生はシーズンが多少ずれていて、春から夏へと移ろう勢いの中、二巡目を迎えた一期生たちも新たな芽生えを感じることで、さらに次のシーズンが見えてくる。自分自身を客観視できた上で、「何をやってやろうか?」と秘めた思いを解き放つ、熱い季節がやってくるのではないだろうか…。そこへさらに6人の新規メンバーが。
(中略)
経験を積んだ分、表現の幅が広がりますし、もう一度スタートラインについたかのようなエネルギーを保有しているのではないか、とも感じています。冬の時は『黒い羊』という作品を一年かけて磨いて磨いて…という、ある意味一つの極みのゾーンに入って、最後に生放送の『Mステ』でワンカットでやりきるという高みへ持って行けたのは、ある種の到達点とも言える気がします。

(引用:interview for TAKAHIRO “欅坂46への思い。”(B.L.T. 2020年6月号)) 

試行錯誤を繰り返し、自分と楽曲、そしてメンバーと向き合い昇華させたパフォーマンスは唯一無二の輝きであった。最後に個人的に好きなパフォーマンスを羅列して、このパートを終える。

・欅共和国2018 『もう森へ帰ろうか?』『バスルームトラベル』
・うたコン『黒い羊』
・2019年以降に披露された『風に吹かれても』
・欅共和国2019全編
・3rd YEAR ANNIVERSARY LIVE 日本武道館『黒い羊』
・夏の全国アリーナツアー2019『Student Dance』
・欅坂46 LIVE at 東京ドーム 〜ARENA TOUR 2019 FINAL〜『太陽は見上げる人を選ばない』
・ベストヒット歌謡祭『避雷針』
・Live Online but with YOU『誰がその鐘を鳴らすのか?』
・THE LAST LIVE全編だが、特に『もう森へ帰ろうか?』『コンセントレーション』『砂塵』『サイレントマジョリティー』
・SONGS『太陽は見上げる人を選ばない』
・そこさくスタジオ披露『ブルームーンキス』
・MTV STORY TELLERS『最終の地下鉄に乗って』
・TGC2021 S/S『Nobody's fault』
・1st TOUR 2021『無言の宇宙』『最終の地下鉄に乗って』
・1st ANNIVERSARY LIVE『Nobody's fault』
・3rd Single BACKS LIVE!!『Buddies』『BAN』『Dead end』
・渡邉理佐卒コン 一期生パート、『僕のジレンマ』
・W-KEYAKI FES.2022全編

・可愛い

尾関梨香ちゃんは世界一可愛い。
私はこの理について気の済むまで綴ろうと思ったが、余りにも可愛すぎるので、ここに記すには余白が狭すぎる。

5.旅路の果てに

ここまで長々と書き上げてきたが、欅坂46・櫻坂46並びに尾関梨香には数え切れないほどの感動を貰い、抱え切れないほどの思い出を受け取ったということを様々な形でアウトプットすることで再確認したかったというのが執筆した経緯である。また、自分の中での一つの区切りとしても、このnoteを書き上げたかった。出逢いのきっかけとなったMステ放送日(2016/8/12)から最終活動日(2016/9/11)まで2222日、初めて欅坂の曲を聴いた日(2016/8/31)から最後のメッセージ(2022/9/30)まで2222日、少しこじつけかもしれないけれど、何処か縁を感じる日数である。冒頭で書き起こしたが、音楽に魅了され、グループに惚れてきた自分が一人のメンバーの卒業でグループを追わなくなるというのは、とても不思議な感覚だ。2016年の自分に伝えても恐らく鼻で笑って信じないだろう。しかし、実際そうなったのは意外という他ないのである。

人生には幾つかの転機がある。私にとって欅坂46との出逢いは紛れもなくそれだった。このnoteを読んでくれたそこの貴方が、少しでもこのグループの魅力を知ってくれて、そのグループに多大な貢献をした彼女のことを知ってくれたのなら、それ以上に嬉しいことはない。

櫻坂46は過渡期である。欅坂からグループの核を創り上げ、未来を切り開いてきた一期生が多数卒業し、これまでキャプテンを必死に務めてきた菅井友香も来月の東京ドーム公演をもって卒業する。一つの時代が終わり、変革をしようと踠いている最中だ。この未来を切り開くために羽化しようとする姿は、この一瞬しか見られない、正に刹那である。少しでも興味を持ってくれたのなら、少しだけでものぞいて見て欲しい。私もそうであったように、転機となる“きっかけ”は本当に些細なものだから。

そんな願いを込めて本文の結びとしたい。

6.あとがき

尾関梨香という最高のアイドルとの最後のミーグリで、私は勝負を持ちかけた。

「この先の人生、おぜちゃんにも幸せになって欲しいですし、自分もそれに負けないくらい幸せになります!」
「そうだね」
「これは勝負ですね!どっちが幸せになるか」
「勝負だねこれは!負けないようにしないと!」

この先の未来が幸せで溢れて欲しいと、世界一幸せになって欲しいと願う相手との負けが決まっている勝負である。
この言葉は受け売りだ。敬愛するアーティストが「どっちが格好良く生きれるか勝負しようぜ!」と放った言葉が大好きだったから。しかし、そこに嘘偽りはない。だからこそ勝負の約束をした。
また、彼女は去り際にこんな約束をした。

メンバー、Buddiesの皆さん、今ここに居る皆さん、配信で見てくれている皆さん、皆んな一人の人間です。
生きていく上で、たくさん色んなこともあると思いますが、どんな時も自分を大切にして、ずっと笑っていて下さい。
約束です。

(引用:W-KEYAKI FES.2022 DAY2 卒業セレモニー)

7年間お疲れ様でした。心からありがとうございました。
これから先の人生、笑って、幸せに生き抜こうと思います。

KEEP IT REAL

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