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スッとできないからいい。

カセットテープを買ってみたのだけれど。

衝動買い

先日、特段音楽好きでもない私がカセットプレイヤーを衝動買い。
もちろんカセットテープは一本も持っていない。
だが、元々衝動買いをよくする方なので、周囲に驚かれはしなかった。
「あ、こいつまた買った」と心の中で思われていたであろう。

二つの理由

購入した理由は

①見た目が良かった。
なんとも衝動買いあるあるの代表的な理由で、これ以上言うことがない。

②便利さへの反抗心
仕事帰りに垂れ流しするYouTubeのリール。海外の成功者が家での効率的な生活を送る動画を見て、正直ゾッとした。帰るなり、電気は自動で点き、お風呂は沸き、ご飯は電化製品へ食材を入れるだけで完成する。肌のケアも髪の毛を乾かすのも座れば機械がやり、愛猫のご飯だって決まった時間に勝手に用意されていた。この動画が上に流れていく頃には、金持ちへの妬みも若干抱いていたが、それ以上に何だかターミネーターを初めて見た時のような恐ろしさがあった。
しかもその数日前には、上司から自炊の労力がその対価に見合っているのかを自慢げに説かれ、目が勝手に右の上のほうを向いてた。効率性を求めるのは仕事の中だけにしてくれ。

だから、A面B面を入れ替えなければいけなかったり、パッケージを決め手に知らない音楽と出会えたり、今の一瞬のフレーズもう一回聴きたいが簡単には叶わなかったりする「不便」と「未知」が混ざったようなカセットプレイヤーを購入したのだ。

4つのテープ

では、聴いてみようと、カセットテープは「waltz」という東京中目黒にある専門店で4つ購入した。
内3つは洋楽で、1つは山下達郎。
全てパッケージの見た目で選んだ。
(もちろん山下達郎も)
私は、普段洋楽はFM802で頻繁に流れるような楽曲しか聞いたことがなかったが、なぜかとってもしっくりきた。急に語彙力の乏しさを痛感したが、本当にただただ良かった。

しかも私は歌詞がない音楽は苦手で、3つの洋楽のうち1つはまさにそうだったのだが、その歌詞がない楽曲が一番好みだった。
最近はAIが勝手に好みのテイストを選んでくれるし、試し聞きだっていつでも無料でできる。今なんて言った?と1秒単位で戻ることも人差し指で容易くできる。

だからこそ、カセットプレイヤーを通じて、いくつものプロセスを経て、自分から選びにいくその行為自体が私を人間らしくしてくれると思えるような気がした。

と、まだ巻き戻しをやったことがないので、明日は鉛筆でくるくるとしてみようと思う。

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