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【ADVゲームレビュー】リアル脱出ゲーム×STEINS;GATE 繰り返す死の運命からの脱出 / リアル脱出ゲームオンライン (2021)

リアル脱出ゲーム×STEINS;GATE 繰り返す死の運命からの脱出

リアル脱出ゲームでおなじみのSCRAPが、STEINS;GATEとのコラボレーション企画としてスタートした、オンライン謎解きゲーム。

この手のゲームをADVゲームと呼んでいいのか、というのはよくわからないが、チケットを購入すれば自宅でプレイできるということで。
プレーヤーは、2人1組で参加。
ZOOMやLINE通話などを使って、パートナーとやりとりをしながら謎を解いていく、自宅にいながらリアル脱出ゲームらしい"体験"が可能なゲーム性となっている。
キットは不要なので、パートナーと約束した時間までにキットが届くかそわそわしなくて良いのはありがたかった。

未来ガジェット研究所の新しいメンバーとなったプレーヤーに、椎名まゆりと牧瀬紅莉栖が謎の組織のアジトに閉じ込められてしまったと、岡部から連絡が入る。
しかも、まゆりと紅莉栖は別々の部屋にいて、互いにコミュニケーションが取れないようだ。
プレーヤーは、それぞれまゆりか紅莉栖かを選択し、別々の部屋で待ち受ける死の運命から逃れるため、過去にメールを送信することで未来を改変する"Dメール"を駆使して、ふたりを脱出へと導くことになる。
死んだらゲームオーバーではなく、タイムリープして過去に戻ったうえで、未来を改変をしていくというギミックが、STEINS;GATEだからこそ可能な重要ファクターと言えるだろう。

内容としては、一般的な暗号や、発生する出来事をアイテムを使って未然に防ぐというスタンダードな謎解き要素からはじまり、徐々にリモートでのコミュニケーションを重要視するギミックが増えていく。
まゆりと紅莉栖、それぞれ別の部屋に閉じ込められており、取得できる情報も異なるため、どちらか片方だけが謎解きに慣れていても、コミュニケーションが十分でないと次に進めない場面も。
狙いがぴったりハマったときにタイムリープする爽快さは原作さながらで、オンラインゲームの特性と、STEINS;GATEの設定をうまく融合させていた。

ストーリーそのもの、というよりは謎解きがメイン。
その意味では、謎の組織の正体は最後までふわっとしたままで、あくまで脱出するまでの道筋を楽しむリアル脱出ゲームのスタンスではある。
岡部が終始シリアスモードで、鳳凰院凶真の活躍が少ない点に寂しさはあるが、エンディングを見ることで、どうしてシリアスモードでいたのかに説得力が増していた。
今回は紅莉栖側でプレイしたが、ほどよく問題を忘れたところで、まゆり側での景色も体験してみたいものである。

ゲームの特性上、Dメールの入力内容は用語選択式で、そこだけは設定に苦慮した部分でもあろうが、キャラクターを借りただけのコラボレーションではなく、STEINS;GATEにおける世界線のひとつとして納得できるクオリティの高さ。
難易度的にも、簡単すぎず、難しすぎずで、二人プレイとしてはちょうど良い塩梅か。
ヒントページも用意してあるので、途中で進めなくなってパートナーとの関係性が悪くなる、なんてこともなさそうである。
是非、大謎の前に訪れる岡部の台詞に、原作本編を重ねて興奮してほしい。

留意点としては、設定が複雑ではあるので、小ネタが全部拾えなくとも、STEINS;GATEの世界観をある程度認識しておく必要があること。
そのうえで、時間やコストに対する感覚が近いパートナーを探さなくてはいけない、というのが一番の難関だったかもしれない。

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