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【ヴィジュアル系】2024年上半期ベストトラック大賞(前編)

サブスクで聴けるヴィジュアル系バンドのおススメ楽曲をランキング形式で発表する半年に1度の企画。
完全主観で選んでいるので、自分がめちゃくちゃ聴いたあのバンドがないとか、聴いてみたけどそんなに好きじゃなかったとか、当然出てくるとは思うのだけれど何卒ご容赦いただけると幸い。

① 2024年1月~6月に発表された楽曲であること
② 2024年6月現在時点でサブスクリプションサービスで配信されていること
③ V系シーンをメインフィールドとして活動しているアーティストの作品であること

サブスク解禁は2024年だけど、CDは2023年の時点でリリースされていた、みたいケースは対象外。
日増しに色々なパターンが増えて、判断が難しくなってきていると感じる今日この頃だ。


第20位 FAKE GRACE / ルインフィア(「刻音」より)

クラシカルで耽美なアレンジと、コテコテ感を強めたアグレッション。
ルインフィアに求めていた音像が、この「FAKE GRACE」に込められていたな、と。
メロディに既視感がないわけではないものの、すべてをベタに帰結するのではなく、あえてギャップを示す構成は上手い。
シャウトパートでは様式美を忘れるほどに激しさを強く押し出すことで、耽美歌謡的なサビのメロディが際立っていた。
ラストに据えられていたこともあり、この楽曲のためのアルバムと思ってしまったほど。


第19位 さよならの終着駅 / 吐き溜め(「さよならの終着駅」より)

最近ではオプション的なサブジャンルになりつつある、昭和歌謡系。
その中でバンカラでアングラな世界観を強調したバンドが登場したというだけで注目したくなるのだけれど、初のデジタルシングルは、その期待に十分応える哀愁がたっぷり。
そのうえで、この手のバンドが大事にしがちな文学性を、"クソボケカス死ね"というサビのフレーズで黒く塗りつぶしてしまうナンセンスっぷりが、個性となっていきそうな予感。
かの賛美歌とマッシュアップできるのでは、と思ってしまった古のV系フリークもいるのでは。


第18位 The Devil In Me / DIR EN GREY(「The Devil In Me」より)

圧巻の音像、濃厚な世界観。
あえて紹介しなくても、という側面はあるのだけれど、初期シングルの再構築に話題が持っていかれた感もあって、やや地味な位置づけになってしまった表題曲。
ただし、その内容は聴けば聴くほどコクを増す現在進行形のDIR EN GREYだった。
複雑な世界観の楽曲を、リスナーに届けるために咀嚼。
唯一無二のオリジナリティやスキルの高さも魅力だが、壮大なストーリーをコンパクトにまとめきるセンスも物凄い。


第17位 Voice / wyse(「Voice」より)

手塚プロダクションとのパイプが出来た感のあるwyse。
同時リリースの「Drawing」とともに、シングル「ヒカリ」以来6年ぶりのコラボレーションとなった。
"ブラックジャック"仕様となった本作は、近未来的なサウンドワークとポップでキャッチーなメロディが前面に押し出されていて、作品の世界観と彼らの個性が噛み合っていたのが印象的。
サビからスタートするインパクトも絶大で、コラボレーションがなかったとしてもシングルカットは必然と言えそうなキラーチューンだ。


第16位 孤独少年ゼットマン / 黑猫(「孤独少年ゼットマン」より)

曲調は、タイトルから想像できるようでできないようで。
ヘヴィーでダーク、アングラな楽曲として聴くこともできるのだけれど、サビだけを切り出せばキャッチーなメロディアスチューン。
捉えどころはないものの、どうしても気になってしまう中毒性になっていた。
鬱々とした環境をヒーローになって切り開く、といったドラマ性と呼ぶにも急展開すぎる構成は、かえって子供の妄想をリアルに再現していたと言えるかもしれない。
Vo.コウのあどけなさの残る歌声が、彼らの音楽性には不可欠だっただけに、彼の脱退をどう乗り越えるかにも注目したい。


第15位 BEAUTIFUL NIGHTMARE / THE DEVIL INSIDE(「BEAUTIFUL NIGHTMARE」より)

ex-MORRIGANのVo.ARYUによるソロプロジェクトの3rdデジタルシングル。
壮大なスケールと、ポップさすらあるメロディが、ひとつ殻を破ったな、と感じさせる眩さを放っている。
ヘヴィネスを意識したラウドナンバーを得意とし、激しい楽曲に強みを持つからこそ、クリアに突き抜ける楽曲は新鮮だったのでは。
デジタルラウドな質感を失ったわけではなく、ブラッシュアップの過程で見出した新境地。
ポテンシャル込みで、聴いておきたいアーティストだろう。


第14位 Lunaris/ / Verde/(「Lunaris/」より)

こちらは、アリス九號.のVo.Shouによるソロプロジェクト。
4thデジタルシングルとなる「Lunaris/」は、ギター、プログラミング、アレンジに[ kei ]が参加。
アリス九號.とバロックのメンバーがタッグを組んだ形で、ゼロ年代を経由したリスナーにとってはたまらないだろう。
もちろん、話題性だけでなく楽曲クオリティも高い。
アート性を重視した[ kei ]のサウンドワークはそのままに、Shouが紡ぐキャッチーな歌メロが重なることによって、とっつきやすいが奥が深い立体的な楽曲に仕上がっていた。


第13位 蒼い孤独 / 生生世世(「蒼い孤独」より)

2日連続リリースというありそうでなかった展開を見せた生生世世。
第二弾の「寂寥」も捨てがたいのだが、好みの差で「蒼い孤独」をセレクトする。
なんといっても、ハードな演奏と哀愁のあるメロディのバランスが絶妙。
昭和レトロに寄せて歌謡曲チックにすれば聴きやすさは増す一方で、没個性でもあることを理解しており、ダークバンドとして哀愁を武器にすることでニッチなサウンドを実現しているのだ。
Vo.雅による表現方法の引き出しの多さも舌を巻くほどで、露出が増えれば、面白くなりそうなバンドのひとつ。


第12位 鎮魂歌-レクイエム- / みちのくダヴルドラゴン(「みちのくダヴルドラゴンの音源#3」より)

GOTCHAROCKAのVo.樹威、DIAURAのVo.yo-kaによるラジオ番組発のユニットの3rdデジタルシングル。
これまでは、それぞれが作曲した1曲ずつを収録していたのだが、本作では一曲入魂。
クラシカルでダークな、ザ・ヴィジュアル系ナンバーが完成した。
サビの切れ味などはDIAURAを彷彿とさせるが、作曲者は樹威。
企画色が強いと見せかけて、楽曲に関しては、GOTCHAROCKAやヴィドールよりも正統派だから面白い。


第11位 東京 / Jekyll(「東京/星屑のプラネタリウム」より)

シンギュラリティを結成したVo.Jekyllによるソロ作品。
昨今、ヒップホップやR&Bとの融合を図るバンド形態に寄らないプロジェクトも増えてきてはいるものの、ここまでチル系のダンスミュージックに振れるアーティストが遂にヴィジュアル系から登場したか、と驚かされた。
お洒落なデジタルサウンドに、囁くような歌声。
翳りはあるけれど、踊れてしまう万能感。
あくまで引き出しの一部ということではあるのだが、テンションが一定に保たれた楽曲とは裏腹、強烈な印象を残す結果となった。


前編は、20曲のうちの半分を紹介。
後編は後日公開するので、もう少しお待ちいただけますと。(記事の作成が間に合っておりません。)



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