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【ADVゲームレビュー】G-MODEアーカイブス+ 探偵・癸生川凌介事件譚 Vol.4、Vol.5/Nintendo Switch(2021)

G-MODEアーカイブス+ 探偵・癸生川凌介事件譚Vol.4「白鷺に紅の羽」

G-MODEアーカイブス+ 探偵・癸生川凌介事件譚Vol.5「昏い匣の上」

「探偵・癸生川凌介事件譚」シリーズをNintendo Switchに再現したシリーズの第四弾、第五弾。



内容紹介


『私は…どこに行こうとしてたんだっけ?』

今回の物語は、記憶を失った主人公が、紅葉栄える山林で目覚める所から始まります。
主人公は「大鳳院伊綱」と名乗る女子高校生に助けられ、ここがA県の山奥にある小さな村、百白村であることを知らされます。

自分は何者なのか。何のためにこんな辺境の村に来たのか。何故記憶を失ったのか。
主人公は伊綱と共に記憶を紐解いていく中で、村に渦巻く遺産相続問題に巻き込まれていく…。

これは、彼女が探偵の道を歩むきっかけとなる、哀しく切ない事件。

G-MODEアーカイブス+ 探偵・癸生川凌介事件譚Vol.4「白鷺に紅の羽」


解説/感想(ネタバレなし)



フィーチャーフォンアプリゲームを忠実に復刻するプロジェクト、「G-MODEアーカイブス」。
安価で「探偵・癸生川凌介事件譚」シリーズが楽しめるということで、第4弾、第5弾もプレイしてみた。

ここまでの3作は、このゲームのシナリオライターである生王正生が自ら体験した話として視点人物を担っていたが、この2作においては少し変則的。
癸生川の助手・白鷺洲伊綱の過去に迫る「白鷺に紅の羽」については、女子高生時代の伊綱に助けられた記憶喪失の女性が視点人物となり、村で発生する殺人事件に巻き込まれていく。
「昏い匣の上」は、生王の友人であるオカルト系フリーライター・弥勒院蓮児が主人公。
冒頭だけ生王でプレイすることになるが、メインパートは弥勒院を操作することに。

「白鷺に紅の羽」が、前後半に分かれた相応のボリュームがある作品となっているので、続けてプレイした「昏い匣の上」がコンパクトに感じてしまうが、どちらもミステリーとしてしっかりと成立するシナリオ。
メインキャラクターの設定に立体感を与える前者のインパクトが強かっただけに、どうしても薄まりがちな後者に新キャラを登場させて新章に入ったように見せる工夫は、なかなか効いていたのでは。
マンネリ化が叫ばれる前に、見せ方を変えることで息の長いシリーズした戦略眼には驚かされる。



総評(ネタバレ注意)


最初に、第四弾である「白鷺に紅の羽」から。
思ったよりも早く過去編に入ったな、といったところで、探偵助手の白鷺洲伊綱が巻き込まれる最初の事件となる。
といっても、彼女は現在のような探偵側の立場ではなく、資産家の跡取り娘という立ち位置。
主人公は、崖から落ちた影響で記憶喪失となっていた女性、という複雑な設定だ。

序盤から伊綱は登場してくるものの、名字が白鷺洲ではなく大鳳院となっているので、自身が探偵助手の伊綱であるという可能性も残される。
ただし、行方知れずの姉がいるという設定も知らされ、こちらも選択肢に入ってくる。
むしろ、ガラケー用の古いゲームだし、どうせこの辺が"意外な事実"となるのだろう、という侮りもあったのだが、結果としては、これにまんまと騙された。
真犯人は誰か、どうして伊綱の名字が変わったのか、というふたつの衝撃に加えて、主人公の正体というみっつめの衝撃。
示唆するだけに留め、最後まで正体が明言されない演出はニクいとしか言いようがない。

第五弾「昏い匣の上」は、都市伝説「赤いエレベーター」の取材をするため、弥勒院は発祥地とされる寂れたマンションに向かう。
序盤こそ、生王を主人公に不気味なメールを巡ってのやりとりがあるのだが、それはあくまで弥勒院の紹介パート。
厄介事に巻き込まれやすい弥勒院の体質と、相応に洞察力があることを示すと、案の定、面倒な事件に巻き込まれていく。

怪談や都市伝説×ミステリーというのは鉄板ネタ。
8年前の事件との関係が見えてきたタイミングで、それを取材していた女性ライターが殺される。
しかも、「赤いエレベーター」になぞらえて。
シンプルだが、ホラー要素が新たなテイストを加えていて、引き出しを増やした形。
過去編を終えた伊綱がまったく登場しないため、なんだか焦らされている感がないわけでもないが、過去作品からの流れを知らなくても特に影響はないため、気が向いたときにサクっとプレイするにはちょうど良さそうだ。

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