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【ADVゲームレビュー】星のカケラ殺人事件 ースリルとサスペンスの本格謎解き推理ミステリーー / Nintendo Switch(2023)

星のカケラ殺人事件 ースリルとサスペンスの本格謎解き推理ミステリーー / Nintendo Switch

東京通信グループのMASK合同会社により制作されたテキストアドベンチャーゲーム。


あらすじ



進藤カケルは、半年前に捜査一課に配属された新人刑事。
平凡な事件ばかりの日常をこなしていたところ、とある教会にて十字架に磔にされた遺体が発見される。
同僚のリコや、後輩の小松らと事件の調査に向かう進藤。
しかし、それは宗教法人ダビデを巻き込んだ連続殺人事件の序章にすぎなかった。



概要/感想(ネタバレなし)


2021年にスマホアプリとして開発された本格ミステリーゲーム。
420円のところ、早期購入だと252円という価格設定につられて、この値段だったらハズレでもいいやと購入。
とにかく全部詰め込んだ"本格謎解き推理ミステリー"という副題には、やはり惹かれてしまうし、最初に起こるのが十字架に磔にされての殺人事件だ。
わくわくせずにはいられないでしょ、と。

ハードの移植に際して画面の縦横比を維持する目的か、Nintendo Switchを縦に持ってプレイするというのが特徴のひとつ。
Nintendo Switch Liteを使用している場合はJoy-Conを外すことができないので、めちゃくちゃ持ちにくい。
Nintendo Switchにて、TVモードでプレイするのが正解なのだろうか。
画面を直接タッチして操作することを踏まえれば、ゲーム性としてはDSのほうが適任だったかもしれない。

システムとしては、一枚絵に対して小刻みに問題が投げかけられ、選択肢から回答を選んだり、該当箇所をタッチしたりして次に進むという形式。
このあたりが完全にスマホゲームだった弊害で、数問解いたら課金するか広告を見ないと一定時間待たないといけない、等のギミックがあったのだろうなというのが想像できるテンポの悪さ。
問題数を稼ぐことに重点が置かれているので無駄な問題も多く、シナリオもぶつ切り。
シナリオを追体験しているというよりも、問題集をひたすら解いている感覚に近いのがもったいないというか。
それを許容したからこその低価格なのだとは思うものの、もう一歩踏み込んでの改良がほしかった。



総評(ネタバレ注意)


ゲームシステムは上記のとおり無駄が多くなってしまっていて、とにかく問題を解いて解いて解きまくるゲーム。
ほぼ詰まるところもない難易度で、ヒントはあるものの、多くの場合、当てずっぽうでも総当たりで解けてしまう。
分岐があるわけでもなく、間違うと唐突にゲームオーバーになる鬼判定ではあるものの、スマホアプリと違って広告を見たりする必要もないので、同じ問題からやり直すだけ。
仕様上、問題の濃淡もないので、やや作業チックだった。

謎の性質として、トリック系の謎はなく、ミッシングリンクやフーダニットが主体。
真犯人は、どんでん返しと言えばどんでん返しだが、そもそも登場人物が少なすぎて、生き残っている登場人物は警察関係者のみという状況下。
"身内が犯人でした!"にどれだけインパクトがあったかというのは疑問である。
同僚たちについても、同じ設定で第二話、第三話と続いていくシリーズだったらまだしも、個性化する前に事件が終わってしまった印象。
この事件だけで完結させるのであれば、もう少しサイドエピソードを挟んだり、個々の能力を活かしてトリックを解明する等のギミックがないと、個性を掘り下げるための道筋が作れないのも必然だろう。
愛着が生まれないまま終わってしまったので、感想もドライになってしまう。

結局、怪我をしている人物に罪をなすりつける偽装をしているにも関わらず、第一の殺人において十字架にくくりつけた意味もよくわからず。
怪我をしていた人物がこんな工作をできるはずない、と真犯人の存在を明るみに出すきっかけになってしまっている。
ニックネームの法則だけで最後のターゲットを導くのも短絡的すぎるし、小松は記憶力が良いから彼の証言に間違いはない、なんて推理が決定打になるなんて雑すぎるでしょ。
と、穴ばかりが目についてしまって、たった252円に経済的なダメージはないとはいえ、個人的にはのめり込むのは至らず。
設定が悪いわけではないので、はじめからコンシューマーゲームとしてシナリオを膨らませることができていれば。

#全力で推したいゲーム


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