成人式に遊女のコスプレは絶対してはいけません。
来年の成人の日
おじさんは心から願っております。
「来年こそは、女郎の格好で公の式典(成人式)に出席する哀れな女の子が一人もいませんように!!」
写真のような着方を『花魁(おいらん)風』と言っているそうですが、そもそも花魁は肌を露わにして着物を着たりません。花魁はもっと上品です。
この写真のように肌を露出するような着姿で客を引いたのはずっと格下の一晩に何人も客をとらされていた女郎達です。
つまりこのコスプレの元となったのは、江戸時代、吉原遊廓などで体を売らされていた哀れな遊女達です。
それらの多くは飢饉などで金に困った地方の親が女衒に我が娘を売った悲しい歴史の被害者です。
格下の遊女達の平均寿命は22歳ぐらいだったと云われています。
死因は、性病、栄養失調、過労、過度のストレスなどの複合要因です。
脱走を試みた者は見せしめとして、拷問され、殺されたものも少なくありません。だから、自ら望んで遊郭に身を投じた女性は一人もいません。
遊女達は、日本の女性の暗黒の歴史の一つなのです。
そんな彼女達の姿を面白がってカッコいいからと、真似るのは彼女達に失礼極まりないのです。
さらに、前結帯は既婚女性の象徴で、花魁などが前結帯にしたのは「一夜妻」という意味です。しかも金で買われた一夜妻です。
大切に20年間親に育ててもらって、成人式という式典(公の場)でこの様な格好をすることが、相応しいかどうかは、賢明な皆様ならお分かりいただけると思います。よりによってこの仮装は、絶対してはいけない仮装なのです。
振袖を着る娘さん達は、無知です。
日本の歴史やしきたりを教えるのは、親や大人達、そして和装に関わるプロ達だと思います。
美容院やレンタル業者はこの様な姿で女の子を成人式に送り出さないでください。無知な女の子を煽って面白がっているあなた達の罪は大罪です。
日本中で成人式に振袖を着る女の子達の多くは、まともに着ています。
親や祖父母にお金を出してもらい揃えている子もいれば、私の知っている母子家庭の子は高校時代にアルバイトしたお金でレンタル費用を貯めて着ていました。
そんな人達にとっても遊女コスプレで同席されるのは迷惑であり失礼です。
成人式には、それぞれの家庭の事情に合わせた特別な思いを持って振袖をその日の為に揃えて当日に望むのです。
それは、一人一人、一生に一度の大切な思い出となります。
どうしても、こんな格好がしたいのなら、プライベートな場所で、同じ趣味の人だけが集まって仮装パーティーをしてください。
公の場所とブライベート場所の区別とTPOをわきまえることが、成人への第一歩なのですから。
和文化デザイン思考講師
伝統美研究家
成願 義夫 プロフィール
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