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村上隆さんは現代のラスプーチン

村上隆さんの個展がいよいよ2月3日から、京都、京セラ美術館で開催される。

色んな意味で私は彼を『怪物』だと思っている。

彼の著書『芸術起業論』を読めば「芸術における純粋さ」が、いかに虚しい絵空事であるかと思わされそうになる。

そういえば、劇作家のバーナードショーは「真の芸術家を目指す者は、妻と子供を飢えさせ、年老いた母に労苦を強いることになる」と語っていた。(笑)

しかし、村上隆さんは「金儲け」の為に芸術を最大限利用すると公言している。

つまり、1個千円の物を十万個売って1億円稼ぐより、1個1億円の物を作り1個売る方が簡単だという発想だ。

ひとつの物に1億円の価値を持たせる方法はただひとつ。

「芸術品にしてしまうことだ」と彼は言う。

そして、彼は過去、現在、未来のアート市場を研究し、分析し、方法論を編み出し、実行し、それを立証してしまった。

ところで、私は村上隆さんとルイ・ヴィトンがコラボした商品(写真)を初めて見た時、『村上隆は現代の ラスプーチン』だと思った。

これは、彼の実験であり、彼の魔術にかかっている人々が実在しているかどうかの確認作業だったと言っても良いだろう。

そして彼の思惑通り、ルイ・ヴィトンのオーナーをはじめとして多くの人が彼の魔術にかかってしまった。
権威のある人が魔術にかかると、その周囲の人々は魔術にかかったふりをすることでお金儲けができることにいち早く気づき、結果、市場が生まれる。

私は彼を天才的な起業家(魔術師)として認め、彼の成功は尊敬に値すると思っている。
しかし、彼のこの一連の作品は大嫌いだ。(笑)

ともあれ、ルイ・ヴィトンの歴史にこれを刻んだのは愉快だ。

ところで、村上隆さんを魔術師と言うならば、現代の魔女も日本にいましたね。草間彌生さんもスペシャルな魔術を使う魔女ですね。(笑)



ラスプーチンは、1872年から1916年まで生きたロシアの修道僧。
ラスプーチンは、シベリヤ出身の修道僧で、ロマノフ朝最後の皇帝ニコライ2世の皇太子アリョーシャの難病を不思議な祈祷療法で癒した。
その後の皇后の彼への寵愛は常軌を逸しており、宮廷内で権力をほしいままにしたラスプーチンは、妖しい魅力で貴婦人たちを淫楽に誘い、人々を思いの儘に操り、高官の任命権をも掌中にした。

成願義夫

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