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★おまけ★ 国境の街、丹東

「あとがき」まで書いてしまって
いちおうは「おわった」はずなんですが、
なんだかちょっぴり寂しいので(苦笑)、
ま、ついでにちょっとこちらにも触れておこうかと。

このブログの最初の方で登場した

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北朝鮮への入り口の街、丹東です。

川を挟んですぐ向こうに北朝鮮が見えると有名で
2019年2月に金正恩委員長が米朝会談をするために
ベトナムまで延々と列車で出かける際には
ココを必ず通るということでマスコミが詰めかけました。

北朝鮮よりは誰でも安心(?)して行けそうですし
とりあえず「さらっと」北朝鮮を見てみたい人にはお勧め。
ただ、中国とは言っても東北部の地方都市なので
北京や上海のような気軽さでは行けませんけどねw

●北朝鮮が見えるホテル

ワタシは無事に(←w)北朝鮮から戻って来たときに
せっかくだからとこの街にも滞在してみました。
やっぱりなかなか来ることはない街なので。

で、どうせ泊まるならとフンパツして
国境に架かる橋が見渡せるおっきなホテルを予約。

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中聯大酒店。
ツォンリエン(ジョンリエン?)ホテルと読むらしいですが
中国語の読み方はようわからん。
我々ニッポン人は漢字のままの方がわかりやすいですね。
これ、ほんとに橋のすぐそばに建ってます。
例の金委員長特別列車が通過する日にニュースで
「国境近くのホテルの予約が停止され…」と言われてたのは
このホテルです。

客室の窓からは国境の橋が目の前に!

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おお、なんかちょっとマスコミ気分ですww
確かにこれだと狙撃ですら可能なので(←まさか)
警備上は誰も宿泊させたくはないでしょうね。

2本見える橋のうち
右側の橋は「鴨緑江断橋」といって
朝鮮戦争の時に米軍の爆撃で破壊された古い橋。
途中から先はなくなっていて
いまでは展望台を兼ねた観光スポットです。

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いつも観光客で賑わってますよ。
下には観光遊覧船も通っていますね。
このあと川のまん中あたりまで対岸に近寄って
北朝鮮を近くから見られるので
これも観光客には人気です。

そして左側が本命の国境越えの橋。

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「中朝友誼橋」というカタい名前がついてます。
手前には中国国旗がはためいてますね。
単線1本の鉄道線路と並んで1車線の車道が通ってます。
なので列車だけではなくクルマでの往来も可能なんです。

国境線は川のまん中を通っていて
この橋もちょうど真ん中で中朝が分かれます。
管理主体が別々だからか
あからさまに橋の形が違うので境目がよくわかりますよ。

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手前のアーチもついた大きめの橋が中国管理。
その先のちょっと小さめの橋が北朝鮮管理です。
中国側の橋は架け替えや補修が何度か行われてますが
北朝鮮側の橋はもう70年近くそのままらしい。
おカネ出し合って一緒に直せばいいのにね。
ま、いろいろオトナの事情もあるのでしょうが。

ちなみにこのホテルは
まさにその「北朝鮮が見える」をウリにしてるので
国境側の各部屋にはご親切に

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双眼鏡が備え付けられてます。

あ、もし「オレも予約しよ!」と思った方は
必ず「リバーサイド」の部屋を予約してくださいね。
そうではない安めのお部屋は川とは反対側です。

部屋にはこのほかに丹東市内の観光パンフも。

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「北朝鮮国境」はやはり重要な観光資源のようです。

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橋については見開きページで詳しく紹介されてるほか、

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なんと北朝鮮のみどころまで!

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実はこの丹東からは「北朝鮮ツアー」が出てるんです。
街の旅行代理店には募集チラシがありました。
半日日帰りから4泊5日までバラエティ豊か。

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これはもしやもう一回北朝鮮へ行けるのでは!と思い(笑)
窓口へ飛び込んで尋ねてみましたが
日本人は残念ながら参加できないそうです。

●鴨緑江断橋

ではさっき部屋の窓から見えた
鴨緑江断橋へ行ってみましょう。

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いまや「戦争遺構」というよりは
もうすっかりただの観光スポットです。
入り口前にはお客さんが大勢たむろ。
ワタシも窓口で入場券を購入します。

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屋根には「紅色旅游経典景区」。
中国語は残念ながらわかんないので
正確な意味は分かりませんが、雰囲気的に
どうやら国としても認めた「おススメ観光地」のようですね。
入場料は大人30元(約500円)。

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良心的なお値段です。

階段を上がると橋の入り口へ

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中国国旗がすげぇな。
柱1本ごとにずらりと並んでます。

中朝友誼橋を横に見ながら先端部へ。
途中の柱にはいろいろな説明板も掲げられてますが
中国語わかんない…

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通路はよく整備されてて広々。歩きやすいです。
ゆっくり歩いても10分かからず先端へ到着。

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みなさん記念撮影に興じておられます。

そして向こう岸は北朝鮮。
有名な「動かない観覧車」(笑)が見えますね。

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すぐ目の前を北朝鮮の運搬船が通ったりもします。

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あれ?こっち側は中国領では…(笑)

また、この先端部には
米軍の爆撃で破壊された断面が
そのまま残されてます。

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まさに「断橋」の名前の由来でもあるんですが
ペンキで何度も塗りなおされているので
ちょっとリアリティ不足かな。妙にきれいすぎて。
塗料の層が厚くなってゴテゴテしちゃってるし。

横には落とされた爆弾も。

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展示の仕方がどうにも雑だなぁ…
柵にグルグル巻きかよ。説明も何にもないし。

ところで、どうして橋の破壊断面が
やたらとメカニックにごちゃごちゃしてるのかというと

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この橋はその昔、可動橋(旋回橋)で
大きな船を通すために橋の中央部が
横に90度回転するようになってたんです。
だからその装置の歯車とかが残ってるわけ。

基本的に見るところはここだけなので
じっくりといろいろ見るのでなければ
30分もあれば観光可能ですね。

●遊覧観光船

次に観光船にも乗ってみましょう。

観光船の乗り場も橋の近くに。

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乗り場近くのキップ売り場へ向かいます。

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大人60元(約1000円)ですね。
まぁそんなものか、観光地だし。

こういう船に乗り込みますよ。

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さっそく船内へ。
空調も効いた快適な座席室。

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でもココでくつろぐのが目的じゃないし、
中央ブロックでは外もよく見えません。
2階が展望エリアになってるのでそちらへ上がります。

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まもなく出航。

近づいてくる北朝鮮の景色に皆さん興味津々です。

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船には双眼鏡を有料で貸し出すおばちゃんや
北朝鮮のタバコや紙幣などの売り子も乗ってます。
確かに川の中ほどまで行くとは言ってもまだ遠いので
双眼鏡でよりハッキリ見たくなりますもんね。

ワタシはカメラのズームを使って。

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うん、かなり間近に見ることができますよ。

係留されてる船なんかもよく見える。

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船の煙突に北朝鮮国旗が描かれてるのもわかります。

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時には小型船とすれ違うことも。

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例の観覧車はやっぱり止まってますww

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国境の橋をくぐった向こう側には
ステージやパラソルの並ぶ施設。
昨日見たときはパラソル開いてて
たくさんの人がいたんですけどね。今日は静か。

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ん。左側の建物になんか書いてある…

がんばって読んでみると
「チュチェ朝鮮の太陽 金正恩将軍万歳!」でした。
なんだ、建物の名前じゃなかったのかww

その右手のちょっと大きめの建物も気になる。
撮った写真をあとで拡大してみると

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「鴨緑江観光食堂」とのことでした。
店員さんらしき人もいますね。
写真では見づらいですが、入り口のドアに
「歓迎光臨」という漢字表記もあります。
中国人観光客も受け入れる観光施設なんでしょうね。

別の場所では上陸するような勢いで岸に迫るボート!
おいおい、いいのか?

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後部に中国国旗を掲げてますね。実はこれも「観光船」。
実は個別に地元のボートをチャーターする方法もあって、
これだと船長の判断でかなりギリギリまで寄せていきます。
合法なのか非合法なのかはわかりませんが。
いやたぶんあそこまで行っちゃダメでしょね、ほんとはw

さて我々の観光船はかなり下流までやってきました。

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国境の橋が遠くに見えますね。

左岸の中国、右岸の北朝鮮、

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やはりどうしても発展の差は明らかと言わざるを得ない。
中国側は最近周辺の開発が特に進んでるそうです。
いわゆる「リバーサイド」としてマンション人気が高いそう。

おおよそ50分間のクルーズを終え、
ぼちぼちともとの乗り場へと戻っていきます。
観光船は川の中ほどまで行くので、
橋の国境部分の「つなぎ目」も間近で見えますよ。

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よく見ると、ここにもちゃんと国境表示。

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おお、まさに国境!って感じですね。
中国の国章を中心に
左は中国語、右には朝鮮語で
ここまでが「中国 丹東」だと表示されています。
でもニッポン的な感覚だとむしろ逆に
「ここから北朝鮮」的な表示の方が自然なんですが。
中国側に向けて「ここが中国!」と主張されてもね…w
反対側にもこんな表示があるのかどうかは不明。

●対岸の北朝鮮を見る

ホテルからは対岸がよく見えます。
ここは北朝鮮の新義州(シニジュ)市。

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ここのアパートにも太陽電池パネルがたくさん。
手前にはなんかプールみたいなのもありますね。

日本統治時代には王子製紙の工場もあった工業都市です。
数年前にただの「市」から
「行政特別区域」になったらしいんですが
何がどう違うのか詳細不明。

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遠くには今も稼働する工場が見えます。

アパートなどもたくさん建ってますよ。

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こちらではさらに建設中。

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これはこのあと
上に丸いのをのっけた特徴的な外観の建物になるんですよ。
このときはまったく想像もできませんでした。

ここも20年くらい前に来たことがあるんですが
当時よりかなり建物が増えている様子。

ここも以前から「中国と張り合うためのハリボテ」で
人が住んでいないとか言われてきてますが、
夜に見てみるとけっこう灯がともってますよ。

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窓の明かりもいろいろで
それなりに生活感はあります。

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ちゃんと人が住んでると思うんですけどね。

ま、それでも中国側に比べるとやっぱりずいぶん暗いけど。

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橋の灯も途中で切れちゃってますしね。

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向こう側からはこちらをどう見てるのかなぁと
ちょっと気にはなります。

●国境の往来も活発に

そして近年は物流も活発化しているようで、
荷物満載のトラックもよく見るようになりました。

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ただ最近は例のコロナ禍で
北朝鮮側が厳しく国境を閉じているため
この橋での往来はほとんど見られないそうですが
このころはほんと通行量も多くあったんですよ。

こちらは建設資材でしょうか

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荷物のカバーに「建築板」とか
「木業有限公司」とかの文字が見えるので
たぶん建材パネルのようなものでしょうね。

こいつは食糧?いや、セメントかな。

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他のトラックもなんかいろいろ満載です。

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「経済制裁」がどうなってんのかな、とは思いますが。

空車のトラックも列をなして北へと向かいます。

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何かを積んでまた戻ってくるんでしょうか。

郵便車も見かけました。

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国際郵便で送られる荷物も多いんでしょうね。

数は少ないですが乗用車も通ります。

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これは中国のナンバープレートですね。

そしてこちらは北朝鮮のナンバープレート。

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人の行き来もふつうにあるようです。

あと、最近増えたのが中国からの観光客で
朝、管理事務所が開くのをバスが列をなして待ってます。

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バスはすべて北朝鮮ナンバー、
車体には「妙香山旅行社」とペイントされてます。
中国の観光客をお迎えに来てるんですね。

ほどなくお客を満載して北朝鮮側へ。

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最初の方で紹介したツアーのひとつでしょうか。
みんな期待が膨らんで前のめり(笑)

一方、国際列車の本数そのものは変わりませんが

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連結する車両数が以前に比べて増えたようです。
乗客もほぼいつも満員ですし。

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これは緑色で中国側の車両ですね。
北朝鮮車両と交互に運行されていますよ。

また、貨物列車も往復します。

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何を積んでるんでしょうね。
ハッキリとは判別できないんですが
形の特徴がどうも北朝鮮車両っぽいです。

ちなみに、この橋を渡る列車を引くのは
行きも帰りも中国の機関車でした。

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「東風」号という小型ディーゼル機関車。
いつ見てもこの2002号機だったので、
丹東と新義州の間をひたすら往復するためだけに
専用に配置されてる機関車なんでしょうか。
1両だけで向こうへ「お迎え」に行く姿も見ましたよ。

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ただ北朝鮮の機関車がこの橋を渡ってやって来ることはありません。
理由はわかりませんが鉄ちゃん的にはとても残念です。
国内で撮れなかった分バッチリ狙いたかったのになぁ。

●鴨緑江公園

さて国境の橋を中心とする川沿い一帯は
鴨緑江公園として整備されていて
手軽な観光スポット&市民の憩いの場所となってます。

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デートスポットでもあるようですね。

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ここからでも対岸の北朝鮮がよく見えるので

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記念写真を撮る人たちでいっぱいです。

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ちなみに、この「石碑」はプラスチック製。
中国ではこういうのよくありますw

こちらに見えるのは旧王子製紙の工場。

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今も何かの工場として使われているようです。

チョゴリを記念写真用に貸し出す商売もけっこう繁盛。

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確かに華やかでかわいいですよね。

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やはり女子に人気です。

公園のあちこちには北朝鮮グッズを売る露天商。

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おもに貨幣セットやタバコなどを売ってます。
道路沿いにはたくさんの本格的な土産物店や
朝鮮レストランなどが軒を連ねていて
そこでもたくさんの商品を売っていますので
こちらは値段で勝負かけてるようです。

例えばこの北朝鮮貨幣セットだと
道路沿いの土産物店だと30元くらい。
こちらの露天では20元くらいです。

このフリマ的に売ってるおばちゃんは

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交渉したら15元になりました(笑)
ま、なかには複製した紙幣を混ぜるような
粗悪品もあるのでよくチェックしたほうがいいですよ。

ここの公園、
夜は夜でいろんな露店が出て楽しいです。

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北朝鮮土産以外にも
衣類や雑貨、おもちゃ、屋台メシ…

川とは反対側の大通り沿いには
大きな土産物屋や朝鮮料理店も並んでます。
なかには「朝鮮美女」のショーがある店も。

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ただ、一時期話題になった
北朝鮮直営の「朝鮮レストラン」は
経済制裁の影響で現在は閉店のようです。

●その他周辺

丹東にはこの鴨緑江公園だけではなく
中心部では錦江山公園や抗美援朝記念館など、
郊外に行けば風凰山や大狐山古建築群、五龍背温泉などの
見どころがあるんですが、
さすがに今回はそこまで回る時間がありません。

まぁでも駅周辺を散策するだけでも

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「ピョンヤンへの荷物」を扱う店を見つけたり、

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なんだか北朝鮮っぽいアパートを見つけたりと
それなりに楽しめそうです。

あと、やはり中朝国境の街だけあって
「高麗街」という朝鮮系のお店が集まる通りもあります。

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ここにも朝鮮料理を食べられるお店がありますよ。

ただ、おひとりさまの節約旅行にはどこもちとお高いので
ふつうの中国家庭料理店へ。

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でもちゃんと冷麺がありましたよ。さすが。

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肉炒めと一緒にオーダーし、
つい日本の感覚で「ごはん」も付けたら多い多いww
がんばって完食しましたが、おナカが割れそうです。
これだけ食べても40元(約700円)なり。
冷麺は、本場ピョンヤンよりスープが甘めでした。
やっぱりピョンヤンが一番ですね(笑)

ところで丹東の郊外には
さっき挙げた場所以外にもう一つの見どころ、
もっと間近で国境を見られる場所があります。

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それが「虎山長城」。
観光パンフレットにも大きく紹介されてますよ。

やはりここはぜひ押さえておきたいところ。

ということで、この記事もうちょと続きますwww

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