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『ファンタジーとミステリーと私』

●『折れた竜骨』(著者 米澤穂信) を完読!!

本書は2013年に刊行されたファンタジーとミステリーが融合された小説です。

北海に存在するソロン諸島を舞台に、王族、騎士、魔術師、呪われたデーン人、という多種多様な登場人物が出て来るファンタジー要素に、うまくミステリーが絡まった非常に凝った作品でした。

完全ネタバレするので、物語のオチは語れませんが、、(笑)

これまでファンタジー物語に距離を置いていた私ですが、大好きな米澤さん作品というのと、趣味趣向の合う読書仲間からの勧めで、ようやく読んでみたものの、、、


上下巻合わせて600頁弱ある本作をほぼ1日で完読するくらい、ハマってしまいました!!!

う〜ん、、、面白かった!!!

●『理性と論理は魔術をも打ち破る』

主人公が物語中盤で語る非常に重要な1言。
この信念で一貫してミステリーが解決出来たと言っても過言では無いくらい、私のようにファンタジーを敬遠していたミステリー好きにお勧めしたい作品でした。

そうなんです、そうなんです、、

ファンタジー要素が幾ら絡んでいたとしても(魔法を使われちゃ何でも有りでしょ!?という思想ではなく)、それを前提に論理を組み立ててさえいれば、解決出来ない事は無い、と謎解きを愛する作者からの重要なメッセージと受け取りました。

人間模様が絡むミステリーは必ずしもロジックが必要なんですね、
今作品で師匠が弟子に託した「迷わず義務を果たせ!」という1言も「観察力と論理」を重要視して問題解決をする大切さを訴えているんだ、と感じ取ったのです。

●読後のビター感が堪らない米澤作品!!

米澤さんの作品は本作以外、下記も読んでるですが、、いつもの堪らないのは『読後のビター感』なんです。

①『氷菓』などの古典部シリーズ
②『春期限定いちごタルト事件』などの小市民シリーズ
③『王とサーカス』などの大刀洗万智シリーズ
④『追想五断章』、『本と鍵の季節』などの単作品

登場人物の相関関係が、スッキリというより、ホロ苦いビター感で終るのが多いんですよね。。

問題が解決したからと言っても、一件落着&爽快!!というより、解決したは良いけど、、、何だか切ない、、でも、明らかにせざるを得なかったし、、、相手の辛い背景も分かる、、というような感じ。

現実の世界って、いつも綺麗事で終るのは少なくて、立場が違うお互いの正義はあるといつも思っているんです。
その両方の視点を米澤さん独自の表現力でうまく導いてくれる、心に訴えかけてくれる、、
そんな世の中で、『あなたが1番大事にしていて譲れない信念は何ですか?』と問われているような気がするんですよね、いつも。。
理論というロジックを前面に出しつつも、このような人の心情のグレー感も一緒に味合わせてくれるんです。
このコントラストの見せ方、文章力、物語の組立て方が実に素晴らしい!!!

だから、私は米澤作品に魅了されている読者の1人で居続けてるのだと思います。

(朝の散歩時に見掛けた近所の河川で悠々自適に泳ぐカルガモ達。コロナがどうだー、とジタバタしているのは人間社会だけなんだなー、と思わされた風景でした。私も穏やかな心持ちで過ごせるようにしたい。)

◆ロケジョの呟き
ちょうど先週末の12/6、『はやぶさ2』が小惑星リュウグウからのカプセル帰還&回収に日本中が湧き上がった偉業が成し遂げられました。https://www3.nhk.or.jp/news/special/hayabusa2/はやぶさ2を打上げたのは2014年でのH-IIAロケット26号機。
私も種子島でオペレーションに係わっていたので、戻って来るのは6年後かぁー、と思っていたのが、実現したとは。。
素晴らしい成果です!!

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