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歌舞伎町の台湾、青葉の夜

日曜の夜の歌舞伎町。案外人が多くて、通りがにぎわっているのにビックリ。しかも若い人たちのグループ客やインバウンドの観光客。中にはファミリーなんかも混じってて、かつての「夜怖い街、歌舞伎町」ってイメージはすっかりなくなっちゃったのかもしれないムード。
台湾料理を食べましょう…、と「青葉」に来てみる。
かつてのコマ劇場の裏。今ではゴジラが一時間おきに吠えるビルの脇にある飲食店ビルの地下一階。入り口のムードはまるでパブとかクラブのような雰囲気。店の中もかなりパブ的。真っ赤なビロードの張地の椅子に絨毯、分厚い木のテーブル。
かつては歌舞伎町紳士がキレイなおねぇさんと早めの夕食や夜食を食べる店だった。それが今日は台湾、中国から働きに来ている人たちなんでしょう…、元気な若者グループがおひつをドンッと真ん中に置きご飯のおかずに台湾料理をつつく景色が和気あいあい。

ボクらは生ビールを片手に台湾料理をグイグイ食べます。
ここに来るとまず注文するのが、しじみの醤油漬け。ぷるんと大きな身質のしじみをただただ醤油と紹興酒、刻んだにんにくと一緒に漬け込んだもの。テーブルの上にやってきた途端ににんにくの匂いがガツンとやってきて、一瞬にして台湾になる。
今の時期だけという台湾筍。繊維がやわらかでふっかりしていて、まるでエリンギみたいな食感。甘い醤油につけパクリ。

それからじゃことピーナッツの炒めもの。実は若い頃、アメリカで台湾系の人たちと共同生活したことがあり、その時、口寂しくなると誰かが作りはじめる思い出料理。赤唐辛子と一緒にじゃこがザクザクになるまでいため、醤油をかけて焦がして仕上げる。ビールがおいしいオキニイリ。

台湾家庭料理の代表格といえば、切り干し大根の卵焼き。
水で戻さず乾いたままの切り干し大根を刻んで、豚ひき肉と一緒に甘辛醤油で下味つける。
それを溶かした玉子にたっぷり入れて、油を吸わせて揚げるように焼いていく。
表面サクサク。
中はふっくら、噛むとコツコツ、切り干し大根が奥歯を叩くやさしいゴチソウ。
ブリブリ、歯ごたえ楽しいイカ団子。
むっちりまったり、とろけるような味わいの大根餅と点心、いくつか。
ハチノスともやしと黄ニラの炒め物。
味は塩味。にんにくがたっぷりきいててクニュクニュとしたハチノスの食感、シャキシャキ野菜が引き立てとても軽快。
なにより黄ニラの香り豊かでおいしいこと。こういう内蔵モノと野菜を組み合わせ料理を作ることにおいて、台湾料理のレシピはスゴい。
春雨に旨辛味を吸わせながらネットリ炒めた四川春雨。青菜の炒めはシャキッと塩の風味が旨い。

そろそろお腹も満ちはじめ、ガツンと肉で〆の準備をしましょうか…、とそれでたのんだ豚の唐揚げ。骨付きの豚バラ肉を煮込んで味付け。肉がトロトロになったところで、骨付きのまま粉をまとわせさっくり揚げる。
表面サクサク。なのに中はむっちりとろける力強くてやさしいゴチソウ。

〆はちょっと変わったスープ。杏仁豆腐の香りのスープ。その熱々にニッキを落とし、そこに揚げたてのパンを浸して食べるというモノ。揚げパンの油の甘みが杏仁スープの甘み、風味で引き立てられてお腹がしっかり温まる。台湾気分を堪能しました。


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