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おいしい食べ物、たのしい食べ方

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おいしく食べてやろう。 たのしんでやろうと思うと、いつもの料理、いつものお店も違ってみえる。 飲食店を嫌いになるのはもったいない。
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2019年3月の記事一覧

エスプレッソ・マキアート・カプチーノ

エスプレッソ完璧な飲み物だ…、と思っています。 甘み。 苦味。 渋みに酸味。 しっかりとした旨味があって、豆の状態、作り手の気持ちでまるで違った味に整う。 広くて深い。 ひと舐め。 口が苦くなる。 そこで水をちょっと含むと、たちまち口の中がおいしいコーヒーの味であふれる。 ことにフルーティーな酸味はあたかも柑橘ジュースを飲んでるみたいでおどろかされる。 砂糖を溶かす。 小さなカップの底がザラザラするほど入れて飲む。 甘い。 なのに甘さに舌が疲れることなく、そのまま飲んだとき

カツレツの夢

分厚いとんかつ。 薄いとんかつ。 どちらもそれぞれおいしく、どちらが好きとかいいとか決められない。 力強い歯ごたえに、噛みごたえ。 滲んででてくるおいしい肉汁。 分厚いとんかつは肉そのもののおいしさを心おきなく味わう料理。 一方、薄いとんかつはサクサクとしたパン粉衣が前歯をくすぐる感じがおいしい。 肉とパン粉がひとつになって分かれるようにも分かれることができなくなった、のっぴきならない関係性を味わう料理。 昔、家で作って食べていたとんかつはみんなそういう薄いとんかつ。 定

たちかま

たらきく。 冬の美味のひとつです。 たらの白子をたらきくと呼ぶ。 噂には聞いていました。 けれど生まれてはじめてその実物に遭遇したのはボクが社会人になってからのこと。 仙台に出張に行きました。 時は冬。 地元でも名の通ったお店のカウンターで、体をあたためてください…、と、蓋つきの上等なお椀が登場。 蓋をあけるとすましの汁の中でユラユラ、白い物体が揺れていました。 おぉ、キクか! 地元の紳士が声をあげます。 あぁ、なるほどこれが「たらきく」。 「タラのお腹の中に収まった白

育てた網で肉をおいしく焼いてみる…。

焼肉屋さんにおける良いサービスの代表といえば、「網の交換を頻繁にしてくれること」じゃないかと思う。 サービスの良い焼肉店を目指す人たちは、一様に網の交換のタイミングを見図る工夫を一生懸命しているし、ニッコリしながら「網の交換をいたしましょうか?」と近づいてきてくれるのはなにかとうれしい。 でも、交換されるべき網っていったいどういう状態なんだろう。 考えると結構悩む。 新しい網に肉をおくと肉がくっつき上手に焼けない。 だからロースターに網をおき火をつけると同時に牛脂の塊を押