ray dalio principles - 人生の原則 読書録

なんのきっかけか忘れたけどなんか読み始めたら自分の弱いところをグイグイついてくるいい本があったのでレビューします。ray dalio氏はアメリカのヘッジファンドであるブリッジウォーター社の創業者である。投資や経済に関することは全く自分の専門外なのでわからないが本書では会社を経営すること、問題と対峙してそれに対処するということ、自分以外の人と協働して意思決定する術に関してものすごく基本的なところから体系的に説明しているので自分に何が足りていないのか自分がいかに基本を忘れて浮き足立っていたのかを冷静に見つめることができて今年読んだ中で最もいい本だと思ったのでここで紹介します。

principlesは大きく分けて3つのpartで構成されていてpart1ではray dalio自身の人生・仕事経験に関しての振り返りをしています。part2では少し抽象的で一般化された「人生の原則」、part3ではより具体的な「仕事の原則」に関する話がされています。どの章もとても本質的で素晴らしいのですが全て紹介するとかなりの量になってしまうので今回はpart2の「人生の原則」に絞って、特に印象に残っているray dalioのメッセージを一つづつ紹介します。

ray dalioの教え

徹底的に現実主義者になれ、徹底的にopenになれ

超現実主義者になるように  現実を理解し、受け入れ、現実とともに働くことは、実践的だし、美しいことだ。私は超現実主義者になったから、すべての現実、たとえどんなに厳しい現実でも、その美しさがわかるようになった。そして観念的な理想主義を見下すようになった
(中略)
徹底的にオープンになり、徹底的にさらけ出すことは、短時間に学び上手に変わるために不可欠だ。 決定をして、結果を見る。その結果、現実をよりよく理解するようになる。

すごく短い文章だけどすごく自分の失敗の本質をついた文章のような感じがした。何かしらの理想や自分の成功体験があった時にその時のやり方、その時の心地やすさに固執してしまい求められていない自分のやり方を貫いてしまうと必ず失敗する。調子いいからここには気を使わなくても大丈夫とか、理解してないけど大丈夫とか。何かがうまくいっていない時に学習したり方針を変える時間的・精神的余裕がないとそこが遠因となって少しづつ遅れをとってジリ貧かするというのはあまりにも典型的なパターンなのでちゃんと自分人のキャパシティ、メンタリティをメンテナンスして余裕を持った行動を心がけることはとても必要だなと感じた。

シェーパーになれ,細部と全体の両方を見て意思決定をせよ

シェーパーは比類のない貴重なビジョンを描き、見事に構築する人だ。たいていは周りの懐疑心と反対を乗り越えて築く。ジョブズは美しくデザインされた製品で、コンピュータ、音楽、通信、動画、写真に革命を巻き起こし、世界最大の大成功を収める会社を築いた。(中略)彼らには多くの共通点があった。彼らはみな自分の頭で考え、大胆な目標を達成するためには、何ごとも何ぴとも障害とはしなかった。どうすべきかがしっかりと頭に描かれていた。と同時に、それを現実世界でテストし、もっとよく機能するように変更することを潔しとした。彼らはものすごく立ち直りが早い。達成しようともがく苦しみよりも、ビジョンを達成したいという気持ちのほうが強いからだ。とても興味深いのは、普通の人よりも幅広いビジョンを持っている点だ。彼ら自身がビジョンを持っているからか、あるいは彼らは見られなくても、ビジョンを見ることができる周りの人からビジョンを得る方法を知っているからだろう。全員が大局と細部にわたる詳細の両方(そしてその中間にあるもの)を見る能力を持つ。そしてその異なるレベルから得る視点を体系化できる。普通の人はいずれかを見るだけだ。彼らは、創造的、体系的、そして実践的だ。前向きであると同時にオープンだ。何よりも、自分のしていることに情熱を持っている。彼らはエクセレントではない部下に我慢できない。世界に役立つ大きな影響を与えたいと考えている。
(中略)
1.すべてに複数のレベルがあることを覚えておく
2.与えられたテーマでどのレベルを検討しているのか、意識しておく
3.意識してレベルの間を移動するように。自由に動き回れる何の区別もない事実の山と見ないように

割と物事がうまくいってきた時に自分の成功体験に固執してしまって、自分のうまくいった時のやり方を再現しようとすると偏ったやり方になってしまうけど、そうすると全体が見えなくなってしまってその後に物事がうまくスケールできなくなってしまう時があるなと。特に自分の場合はそういう時に革新的な答えを探してしまう癖があるけれど、この本を読んで自分に足りていない考え方はちゃんと一回全てを整理して何が起きているのか、これから何ができるのか、全体を把握してから動くことなんだなということを自覚した。

可能性ではなく確率で考えろ

可能性と確率を間違えないように。何だって可能だ。問題は確率だ。すべてのことは、起こる確率はどうかで考え、優先順位をつけるべきだ。可能性と確率を正確に区別できる人は「実践的思考」に強い。可能性のなかで迷路に迷い込む「哲学者」タイプの対極だ。(本文より)

この本を読んで最も自分に見えていなかった自分の考え方の罠を指摘してくれた文。可能性があるかないかで考えると成功確率に目がいかなくなってしまい確証バイアスにつながってしまう。大事なのは可能性ではなくどれだけの確率で成功するか。自転車で世界一周することだって、無人島で一ヶ月過ごすことだって可能、大事なのは確率。自分はまんま哲学者の考え方のドツボにハマってしまっていた。大事なのは確率。

総括

往々にしてこれをやらずに成功したいという考えに囚われてトリッキーな方、難しい方に進んでしまって袋小路に入ってしまうことが自分の場合は特によくあるなと...その点ray dalioは圧倒的な高所から見下ろして徹底的に真実を突きつけてくれたのですごくスッキリした。そして往々にして完成度が高い経営書は全て当たり前のことをいっているように思えてしまうが、うまくいっていないときは錯乱する情報に埋もれて何が正しいのかわからなくなってしまう時があるから、そういった時に戻ってくる場所としてとてもいい本だなと思った。いまいちうまくこの本を紹介できたかわからないが、最後にこの本で一番僕の心臓を直接貫いてきて、一番気に入っている分を引用してこのnoteを締めたいと思う。一通り書いて痛いところをつくだけの記事になってしまったことに気づきましたが失敗を糧に何度でも立ち上がり、何度でも果敢に挑んで圧倒的改善を重ねて行きたい所存です。

すべてを諦め、市場の歴史と背景を余すところなく勉強し、全上場主要企業について医学部の学生が解剖をするかのごとく注意深く研究する。これらすべてのことができて、さらにギャンブラーの冷徹な神経を持ち、透視能力者の第六感を持ち、ライオンのような勇気を持っているのなら、わずかながらチャンスを得ることができるだろう

P.S. 

この記事はadvent calender 「本棚の本を紹介する」の20日目の記事です。(自分はいまいち他の記事はあまり理解できなかったのですが)多方面の個性豊かな本が紹介されているので是非ご一読ください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?