見出し画像

同じテーマを別々の視点で眺めることの大切さを再確認した話

マッサージやネイルなどのサロンといわれるタイプのお店の典型的なマーケティング手法として「回数券を売る」というのがあるそうです。

先日、そんなマーケティング本を読みました。
ざっと内容をまとめますと・・・

広告宣伝費をかけたり割引キャンペーンを行ったりして新規顧客を獲得しても、リピーターになってくれるかどうかはわかりません。

リピーターになってもらえなければ、引き続き売上のために広告費をかけ続ける必要があります。

その点、一度リピーターになってくれれば広告費をかける必要がなくなり、更に高いメニューを購入してくれる可能性が高くなる。

そこで回数券の出番です。

回数券なら先に現金が入ってきてキャッシュフローが安定しやすいし、再度来てもらえることが確定するので、上述のようなより高いメニューを提案しやすくなるというプラスのスパイラルを生む効果があります。

・・・というような話でした。

なるほどなぁ・・・そういう考え方も大事だな〜と素直に感心しました。
私の仕事の中で使うようなスキームではないのですが、お金の流れを考えるととても納得のいく話だと感じました。


で、それを踏まえて今日の話。

企業分析ハックさんのVoicyで、このサロンの回数券販売が悪手である、という話がありました。

なんというタイミングでしょうか。


先ほどの本とは真逆の主張をされています。
この本を否定されているわけではありません、念のため。

一体どういうことかまとめますと・・・

企業分析ハックさんは最近、リピートしてでも通いたいカイロプラクティック店に出会えたそうで、通いたくならなかったこれまでの他の店との違いを考えてみたそうです。

すると施術が良いのはもちろんですが、それよりも他の店で常々提案される回数券を全く提案されないことだと気づいたそうです。

商売っ気が前面に出ていない、それでいて施術が良く生活習慣の改善まで提案してくれるそうで、他にないサービスに惹かれたのだといいます。

回数券というのは確かに経営する側の視点に立てば有効な手立てではありますし、お店を気にいり信頼してくれたお客様にとっては更なるメリットを提供できる良い手段ですが、初回来店のお客様に回数券を提案するのが本当に良いことなのかと疑問を呈しておられました。

初回に回数券を売るということは、顧客から信頼を得る前に顧客より優位な立場に立ってしまっている(優位な契約を結んでいる)ということになります。

お金だけ先に回収して来店を強制的に促す、という観点で捉えれば確かにその通りです。

また回数券は往々にして高額であるため、サービスに対する顧客の期待値が非常に高まってしまい、その期待値を超えるサービスを提供しづらくなるとともに顧客側の不満も高まりやすい土壌が形成されてしまう、ということもあるようです。

例えば1回5,000円の施術×11回を50,000円の回数券で販売したとすると、顧客は50,000円を払ったことで1回5,000円ではなく50,000円の期待値(見返り)を求めだす、というものです。


なるほどなぁ~と思いました。


先述の本では経営者の立場から、利益を上げることに終始したノウハウ重視の内容でした。

それはそれで一理ありますし間違いというわけでもありません。

それに対し企業分析ハックさんの意見では、客側の立場から回数券サービスというものを見たときに、先に顧客満足がないとそもそも回数券なんて買ってもらえないだろうということを主張されていました。

顧客満足が高まったからこそ、リピートしようと思うのではないか?

つまり、誰のためにサービスを提供しているのかを忘れてはいけないということですね。


ここではこの回数券の売り方について白黒つけるのが目的ではありません。
回数券という同じテーマを取り扱いながら、視点や主張が違うことでここまで真逆の意見がでるのだ、ということを忘れてはいけないというのが今回の話の趣旨です。

人はその時々で立場や状況、背景などが違ってくるものです。

しかし物事に対し何か意見を持つときはつい、今の自分が置かれた状況や立場でしか物事を把握・判断しない傾向があるなと感じています。

本当は相手の立場で物事を考えてみたり、第三者目線で俯瞰してみたりといった優しい気持ちが必要だと思うのです。

相手の行動が理解できない場合は、私は「自分の情報不足だ」と思うようにしています。

こちらの意図が100%相手に伝わらなくてモヤモヤすることがあるように、当然相手の意図していることも100%こちらに伝わってきているわけではないのです。

そこには汲み取れなかった情報が必ずあり、情報の不足があるという前提で物事を捉えることができれば、軋轢がなくお互い気持ちの良い世界を作ることもできるのではないでしょうか。


そんなことを考えさせられたエピソードでした。


そのお気持ちに感謝いたします! 頂いたサポートは勉強のための書籍代や活動費など自己研鑽に充てさせていただいています。ありがとうございます。 面白い、役に立った、考えさせられるな・・・など、立ち寄って頂いた方になにかお返しできるような記事を書いていきたいと思います。