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わいせつ教員を教育現場からキックアウトするために必要なこと~官報閲覧40年に大幅拡大&「わいせつ」明記も、現場運用に課題〜

保育や教育現場での地位を利用して「先生から子どもへ」犯行におよぶわいせつ事件が後を絶ちません。

読売新聞(リンクはこちら)によると、2019年度までの5年間にわいせつ・セクハラ 行為で懲戒処分を受けた公立小中高校などの教員が1,030人に上り、このうち約半数の496人が、 自らが勤務する学校の児童生徒(卒業生を含む)を対象としていたことがわかったそうです。


また、犯歴を詐称し現場に戻り再犯している例や、小児わいせつは再犯率が高いこともあり、文部科学省は対策をとりました。


私の住む江東区でも先日2件立て続けに教員による盗撮、わいせつ事件がありました。
教育委員会からは、2名とも懲戒免職の処分とした報告がありました。


知人のお子さんの通う小学校の教員による事件でもあり、保護者からも不安な声が届きました。


私にとっても子どもの頃から性犯罪はすぐ身近にありました。

誰もが自分ごとと捉える必要があると思っています。


今も保育教育現場で苦しんでいる子どもがいるかもしれない、我が子が被害にあったら…と思うと居てもたってもいられません。

何としても、子どもたちを守らなければならないと考えています。

文部科学省の取り組み


今回は1歩前進のあった文部科学省「教育現場」の取り組みと、課題について解説します。


文部科学省は、昨年(2020年)9月、都道府県や政令市の教育委員会が全国の教員の懲戒免職処分歴を閲覧できるシステムを見直し、 閲覧期間を現行の3年から40年に延ばすと発表しました。

わいせつ行為などで懲戒免職となった教員がそれを隠して採用されることを防ぐのが狙いです。

昨年11月に閲覧情報を過去5年分に拡大し、 2月から本格運用が開始されています。閲覧期間の3→40年の延長だけでなく、懲戒免職・解雇された理由に関しても掲載されるようになりました。


一方で免許が失効しても3年経てば再取得できるため、再度応募することができるようになっています。
また、自治体に対し、新規に採用予定や、現職の教員に犯歴がないか確認する「義務」は課せられていません

システムを「活用してね」というだけです。

参考:官報情報検索ツールの改善及びその適切な活用について(依頼)
2教教人第28号令和2年10月30日
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/koushin/012/1420067_00003.htm


この問題に尽力して下さる、NPO法人フローレンスの前田晃平氏によると、

依頼を受けた埼玉県の教育委員会では、全教員を調べ、2人に犯歴を確認したそうです。

この2人の教員は、過去に小児わいせつで懲戒免職になっていたことを詐称していたことが判明しました。

その後懲戒免職の処分となりました。


本当にいるんですね…怖すぎます。


疑問に思うこと


そこで、私には疑問(懸念)が残ることがありました。


✅東京都教育委員会始め、全国の教育委員会は、チェックしているのか?

✅わいせつ教員にそもそも「免職」の処分がきちんと出ているのか?

✅官報検索ツールに掲載される処分は「免職」だけか?
(もし、免職以外の処分だったら犯歴を確認できない…)


前述の通り、江東区でも教員の盗撮やわいせつ事件があり、東京都教育委員会の処分のページをチェックしていたんです。

参考:教職員の服務について
https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/staff/personnel/duties/infringement.html

お時間ある方はチェックしてみて頂きたいんですが、報告件数が多くて驚きです…


その中で、盗撮をした(本来免職となるはず)教員の処分が「停職」と軽くなっている事例が見つかりました。

この事例、事故後に退職願を出したため、依願退職とし処分が軽くなっていると思われます。


〇東京都教育委員会の規定では免職となっている

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〇今回の事例はこちら

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そこで、埼玉県教育委員会の取り組みを共有してくれた前田氏にご相談させていただきました。


①こういった場合でも官報にわいせつ教員として掲載されるべきと考えるが、免職以外の処分も掲載されるのか?
②退職願の有無で処分が軽くなることは許容されるのか?という疑問です。

前田氏のご協力で、とある文部科学省職員さんへ上記2点お問い合わせ致しました。


返答のあった内容(一部抜粋)は

公立学校の教員への懲戒処分について:各教育委員会の定める懲戒処分基準を踏まえ、任命権者である教育委員会の権限と責任において判断・対応がなされるものであり、文科省としては処分の経緯等の詳細を把握しているものではありません。
なお、児童生徒に対するわいせつ行為は原則として懲戒免職とするなど引き続き厳正な処分を徹底することや、児童生徒に対するわいせつ行為があったにも関わらず、懲戒処分を行わずに依願退職等を許すようなことは決してあってはならないこと等について、最近発出しました以下の通知において示しているところです。
https://www.mext.go.jp/content/20210409-mxt_syoto01-000011607_01.pdf

官報情報検索ツールに登録される情報について:「免許法に基づき官報に公告された教員免許状の失効情報」です。
現行法上、懲戒免職処分を受けるなどすると、教員免許状は失効することとなっており、官報に公告され、それが、官報ツールにもそのまま登録されることとなっています。
一方で、停職処分では、免許状が失効することとはなっておりません。したがって、停職処分を受けた旨が、官報に公告されることはありません。


つまり、文部科学省としては依願退職はあってはならず、懲戒免職とすべきと示しています。


また、停職処分では官報検索ツールには掲載されず、教育現場からキックアウトできないということが明らかになりました。

やはり、文部科学省の行った取り組みだけでは不十分であり、現場レベルの課題があることが分かりました。


つまり、
✅各自治体が「懲戒処分基準」に則り、厳正に処分を行うこと

✅教員に対する研修や意識啓発の取組など予防的な取組等の推進

採用時の経歴確認官報検察ツールの確認

・採用時に文部科学省作成の採用関係書類(新たに作成された)を用い、経歴等を十分に確認し、適切な採用判断を行うこと
・教員の自己申告の内容等に疑義が生じた場合、退職理由や懲戒処分事案の概要等の情報を適宜照会すること


また、私や前田氏は各都道府県・政令市の教育委員会が全教員の官報検索ツールの確認を徹底することが必要と考えています。


そうでないと、残念ながら埼玉県に2人いたように、経歴を詐称し働き続ける教員がいるかもしれないのです…。

保護者や議員が変わってできることでもありません。


終わりに


これは全ての子ども、保護者、教育関係者、そして全国の自治体議員に共有しなければならないと感じ、筆をとりました。

今も苦しんでいる子どもがいるかもしれない。

子どもを守るためには、大人が解決しなければならない重大な問題だと考えます。


これを読み、理解を深めて下さった方が1つでも行動して下さることを、心よりお願い申し上げます。

何か不明な点があれば、遠慮なくお問い合わせください。

みんなで動けば、変わると信じています。



今回一部ご紹介しましたが、読売新聞は保育教育現場の性犯罪について、独自の調査や記事をあげ、度々この問題に取り組んで下さっています。
こちらを読めば被害の深刻さがわかります。

【独自】教え子に「わいせつ」半数…公立小中高の懲戒教員1030人、口止めの例も
https://www.yomiuri.co.jp/national/20200925-OYT1T50008/

被害生徒を見逃すな…各地の教委が実態調査、スマホで申告も
https://www.yomiuri.co.jp/national/20210216-OYT1T50150/



最後までお読み下さり誠にありがとうございました。


江東区議会議員 酒井なつみ

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