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検索ポータルを起点にステータス調査

こんにちは! 特許調査の仕事をしてます、酒井といいます。
この記事では「EspacenetでINPADOCリーガルステータスを見るのも、もちろん便利なんだけど、権利状況を正確に把握したい時は各国特許庁で確認するとよいですよ」「各国特許庁にアクセスするには、PATENT SCOPEやEspacenetから飛ぶのが便利です」って話を書きます。

はじめに

今週の「WIPO(世界知的所有権機関)からのお知らせ」によると・・・

PATENTSCOPEの検索結果から、ワンクリックで各国特許庁に飛べるようになりました。(ありがたい!) 2021/06/25時点で対応している国は

オーストラリア、カナダ、チェコ共和国、デンマーク、ドミニカ共和国、エジプト、ユーラシア特許庁、欧州特許庁、フィンランド、フランス、ドイツ、イギリス、ギリシャ、イスラエル、韓国、リトアニア、ラトビア、モロッコ、メキシコ、オランダ、 パナマ、フィリピン、ポルトガル、セルビア、ルーマニア、南アフリカ、スウェーデン、スロバキア、米国

約30カ国です。使い方はWIPOのお知らせ内の画像の通りなのですが・・・
そのまま日本語でも書きますと・・・検索結果の「National bibliographic data」タブ内、左側に「Office」のリンクがあれば、該当国のレコードに飛べます。下図はセルビア特許庁へのリンク。試したい方はここからどうぞ

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ジャンプ先のセルビア特許庁です。

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セルビア特許庁、私も接続したの初めてだったんですけど
なんか・・・紋章がカッコよくないですか!?
(あ!失礼しました。見どころはそこじゃないですよね😅)

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WIPO | PATENTSCOPE でできること

PATENTSCOPE、面白くて便利な機能がたくさんあるのですが
この記事では「各国特許庁にジャンプする機能」周辺について書きます。
実物で確認したい方は出願国多めのこちらをどうぞ→ WO2011098971

私なりに「これが便利」と思ったポイントは3つ。

各国特許庁にジャンプできて、かつ
1)ファミリー収録がある
2)ファミリー出願の時間軸がわかりやすい
3)PCT出願ならば各国移行状況が確認できる。
  (国によってはEspacenetより早く移行がわかります)

下図、囲みの箇所にファミリー情報があるので、PATENTSCOPEを起点にしてしらみつぶしに各国特許庁サイトに行く、という使い方ができます。

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また、ファミリーが巨大化している場合などには「Patent Family」タブから
時系列を見るのもわかりやすいです。

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「National Phase」タブは国内移行の有無と、簡単な状況が載ってます。
ちなみにこのタブは国内移行後「WIPOに国内番号の通知が届いた時点」で情報更新されます。Espacenetだと「EPOに国内公報の発行情報が届いた時点」の収録なので、ちょっとだけですがPATENTSCOPEの方が収録が早かったりします。

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EPO | Espacenet の類似機能 Global Dossier

Espacenetの確認用リンクです。 → WO2011098971

Espacenetで各国の審査状況を確認するには、経過書類閲覧用のGlobal Dossierリンクを使います。

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Global Dossierは「包袋システムの相互接続」的なもので、
比較的規模の大きい特許庁がこれに対応しています

Global Dossierを利用できる国
カナダ特許庁(CIPO)、中国特許庁(SIPO)、欧州特許庁(EPO)、日本特許庁(JPO)、韓国知的財産庁(KIPO)、米国特許商標庁(USPTO)、世界知的所有権機関(WIPO)

小規模特許庁は、前出のPATENTSCOPE経由でアクセスするのがお勧めです。

Espacenetで権利状況等がわかる、といえば、他には「Legal events」タブ。
記事冒頭でお伝えした

EspacenetでINPADOCリーガルステータスを見るのも、もちろん便利なんだけど、権利状況を正確に把握したい時は各国特許庁で確認するとよいですよ

↑ここ、Legal eventsタブの事を書いてます。 
情報が標準化されているのはとても良いんですが

国によって情報が豊富だったり、ロクに収録されていなかったりと差があります。情報更新も早かったり遅かったりです。

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正確に把握したい時は「上記のLegal events欄以外」も見ましょうね!

EPO|EP Register の類似機能 Federated Register

EP Register の確認用リンクです。→ WO2011098971

EP Registerは

欧州特許登録の後、各国での権利維持状況を一気に確認できるページ

です。一目瞭然、こんな感じに。

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また、目立たないのですが画面の左端「国コード」は
各国の特許レコードへのリンクになっています。

どんな時・どんな風に使うとよい?

今回の検索例   WO2011098971 (PATENTSCOPE)のように、
かなり出願先が多い場合、私だったら・・・

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・・・という順番で探しそうです。

新興国等知財情報データバンク(INPIT)は
「色々な新興国・マイナー国の情報」がまとまっています。
調べ方も載ってます。

頑張って調べまくった際には・・・
出願毎に固定URL(Parmanent Link)のある特許庁も多いので、
一緒にURLを記録しておくと、年月が経過した後の再調査が楽になりそうですよね!😎

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