エスティローダーが米国で提訴されている「古くて広い、バーチャル試着」特許
夏到来前の梅雨時ですが、アパレル業界では「夏物セール」始まっています。聞くところによると、外出自粛の影響で店頭にも倉庫にも、かなり在庫が残っているそうで「秋口に活躍しそうな色目の春物」を買うのもおすすめ、なのだとか。
とはいえ「混んでいるセール会場であれこれ物色するのも、ね・・・?」という懸念もあって、オンラインのセールを狙う方も増えているよう。私も週末、オンラインショップのセールを見て回ったばかりです。
セール時に限らず「オンラインショップってサイズが不安」って話もありますが、マルイでは「過去に買ったアイテムのサイズ感と比較する」とか
東芝はコーディネイト試着アプリも出しています。
感染症予防の観点からも「手持ち服からフィット感推定」「オンラインで試着」「バーチャル試着」などのサービス、普及が進みそうに思えます。
そんな中
1) 「バーチャル試着」の特許で提訴(Willful Patent Infringement)の情報
今朝、知財系の情報源を見ていて目に留まったのがこちら。
提訴されている エスティローダーグループといえば
多くの化粧品ブランドがあり、ファッション部門でもトミー・ヒルフィガー、マイケル・コースなどが傘下にある企業グループです。
2.対象の特許は「顧客画像のキャプチャ」
提訴側の社名が「Lennon Image Technologies」とあるのが気になって、ちょっと該当特許をチェックしてみました。
「顧客画像のキャプチャーおよび小売システムでの使用」
以下、請求項1の機械翻訳です。(太字は筆者編集による)
1.顧客に対応する顧客画像を操作するための装置であって、
コントローラ;
コントローラに結合された、画像キャプチャシステムは、顧客の顧客画像を取り込み、顧客画像をコントローラに提供する。
コントローラに結合された、潜在的な購入アイテムに対応する顧客画像および少なくとも1つのアパレルスタイル画像を格納するためのデータベース。そして
コントローラに結合された、顧客画像と少なくとも1つのアパレルスタイル画像のいずれか1つとを含む合成画像を表示する画像表示システム
これにより、顧客は潜在的な購入品を試着することなく評価できる。
簡単に整理すると
キャプチャシステム:顧客の画像を取り込む
データベース:顧客の画像とアパレルスタイル画像を格納
コントローラ:顧客画像とアパレルスタイルを結合
画像表示:合成画像を表示
という構成になるかな、と思います。
ものすごく単純、かつ基本的なバーチャル試着に見えますが・・・
3.出願時期と権利残存期間(+PTA)
この特許「出願時期が古い」のがポイントで、だからこそシンプルで広い権利になっているのかな、と思いました。
仮出願が1999年。出願が2000年です。
そして「2000年出願なら、もうすぐ(今年の末)に権利切れるよね?」と思いがちですが、画像内で青のマーカーの箇所に「384days」とあります。
ここは「権利満了日が384日延びた」という意味なので、計算上のプラス1年とちょっと、2021-12-27 になります。
以前書いた関連記事↓
というわけで、権利残存期間は残り1年半ほど。
最近は感染症対策のため、バーチャル試着の普及もグッと進みそうな気がします。
この特許の権利者にとっては、ある意味「今が稼ぎ時」かも。権利行使の機会を窺ってたりするのかな・・・?と、色々な想像が捗ってしまいます。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?