縄文版『ジュマンジ』、の夢(2022.7.17)

 考古学の研究施設。
 遺跡から発掘された、「すごろく」のようなもの。クリーニング作業が終わってきれいになったので、これで遊んでみようということになった。
 土器の製法で作られた板のうえに、マス目が引いてある。マスは無地だったり、何か模様が描いてあったりする。シンプルすぎる人生ゲームといった見た目だ。
 板の近くで、ちょうどマスに収まるくらいの小ささで形が何種類かある土器も見つかった。丸や四角、星形もある。これがコマだろう。
 何マス進むかを、古代の人はどうやって決めていたのだろうか。サイコロのようにひとつの物でいくつかの数を示す道具があったのか、数個の石を放り投げて決められた範囲に入った個数かもしれない。仮説はいくらでも思い付くが、それらしい物は発見されなかった。なので、とりあえず、現代のサイコロを使うことにする。
 正式なルールは不明だが、サイコロの出た目の数だけコマを進めるだけでも良かろうと、ともかく始めてみることにした。
 何人かでコマを選んで、スタート地点らしき場所に置く。一番手の者がサイコロを振り、コマを進める。何を意味するのかは分からない、模様の描いてあるマスに止まる。すると、我々から少し離れた辺りで、何も無かった空間に黒い煙のようなものが現れた。
 煙の中から、怪物が出てきた。二足歩行の両生類っぽいものが、湿った肌に蛍光灯の光を反射しながら、ぺたぺたと歩いてくる。
 もちろん我々はみんな、腰を抜かしそうになるほど驚いたのだが、そこは考古学者。ある者は、すかさず怪物の姿をスケッチする。また、ある者は、祭祀に使ったらしき土器の破片を怪物に向かって投げつけてみる。怪物がややひるんだのをヒントに、ある者が発掘品の中から桃の種を選んでぶつけてみる。すると、まるで空気が抜けるように縮んで、消えてしまった。
 これはアレだ。ゲームの内容が現実になる、あの映画だ。このすごろくは、縄文版『ジュマンジ』だ。

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