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【読書メモ】機嫌のデザイン/秋田道夫

なぜ読もうと思ったか

なにかに追われると気持ちに余裕がなくなる、そうすると周りにもキツく当たってしまう。もしくは、言葉にしなくても所作や表情で不機嫌さが漂ってしまう。いい大人なんだから感情はコントロールできないとと思ったとき、Twitterで見かけて気になったので手に取りました。


ポイント

1)何事につけ「期待するな」

機嫌をよく保つには、周りや自分に対しても「期待するな」。自分自身に期待をしなければ、失望したり余計に傷つくことはない。周囲に対して劣等感を抱くのは、「(自分は)優秀だろう」という目算があるから。

2)判断の基準は「心が穏やかでいられるか」

人生の満足度を決めるのは、気持ちの豊かさを保てるかどうか。自分を柔らかく保つためには、あまり決め込み過ぎないことが大切。「向上心」というプレッシャーに対しては、「誰のために向上するのか」を見直すこと。誰もそれを要求していないので、冷静に今の状態の「豊かさ」を確認する作業が必要。

3)感性は日常のなかで育まれる。観察はデザインに勝る。

デザインは観察力とその応用がポイント。たとえば、汎用に特殊を代入(または置換)することで、新しい答えが導き出せる。


要約

機嫌を保つための心の在り方と、氏のデザインに対する意識を感じられる本です。

機嫌をよく保つには

いつも機嫌よくいることは難しいかもしれない。ただ、そんな欠点や負の感情もやんわり受け入れて、それを観察することで、自分の状態を理解できます。そして、いくつかの対処をすることができます。

たとえば、行動の面では「人は環境に左右されるので、嫌だな、疲れるなと感じたらそこから離れる」「(論破するなど)必要ない摩擦を生まない。ただし、デザイナーとして知識と見識眼で説得力を持たせることは必要」などです。

心の在り方としては、自分を「こういう人だ」と決めつけることには誰も関心はなく、自分自身を不自由にするだけです。そのため、自分自身の捉え方を固定化せず、また自分に期待しないことで余裕を持って過ごすことができます。

デザイン

実力が備わっていたら、どこにどう置かれても迫力のような何かを発揮できるという考え方です。デザイナーが負けてはいけないのは「目」、つまり知識と見識眼。まずは日々、観察を通して素直な気持ちで様々なものに触れる。そうして日々蓄えた「ものを見る目」を仕事に活かすことが大切です。

好きなことば

シンプルでありながら、過不足なく気が効いている。いつの間にか、今日も誰かが助かっている。わたしが考える豊かなデザインとはそういうものです。

ロングセラーとは、「研ぎ澄まされた普通」でないといけない。

機能を増やすには技術がいるが、機能を減らすには哲学がいる

どう活かそう?

「自分に期待をしない」意識でいることが重要と思いました。実力を謙虚に受け止めることで、傷つくことも減るし、「分からないので教えてください」という姿勢から学びの機会を得られるためです。

柔らかい文体でホッとするので、考え方やデザインについて悩んだら読み直したい一冊です。

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