消化不良のもどきちゃん

名前くらいしか知らない君の
後ろ姿が可愛くて
話しかけてみようかと
口を開いてみるけれど
開いたそこから漏れるのは
いつまでたってもため息ばかり

おしゃべりなあの子の舌を食べたら
君と上手にお話できるかな
自信満々なあの子の瞳を食べたら
君と上手に目が合わせられるかな
おしゃれなあの子の足を食べたら
君の目をひくことができるかな
小説好きのあの子の脳みそ食べたなら
君と気の利いた会話の一つでもできるかな

借り物だらけの言動を
繰り返す僕はつぎはぎだらけ
そんなんだからいつまでたっても
僕の中身は空っぽで
ひとりぼっちで
何にもなれず
何にも触れず
ふらつく足とぼやけた輪郭で
今日もひっそり目を閉じる
夢なんて見れないって、わかってるのにね

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