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Guest Talk 04: 菅原睦子 [アーティスト]

繰り返していくことで、それは巡り合わせになる

自分が何者であるか、それを伝えるのは言葉ではなく行動。新しい役割には肩書きが無い。その新しさを示す的確な言葉が無い。菅原さんはイラストレーターであり、デザイナーであり、映画の人であり、その他いろいろ。一言で説明できないのが菅原さん。夜空の光を繋いだ時に「星座」という意味がそこに生まれるように、菅原さんが描く点を結んでいくことで、誰かに伝え繋ぎたいメッセージが現れるのでは無いでしょうか。


菅原 睦子さんのプロフィール
Mutsuko Sugawara
岩手県北上市生まれ。イラストレーター・デザイナーとして企業に所属しながらクライアントワークを行う一方、イラスト作品を発表するアーティストとしても活動。同時に映画イベントの企画人として、仙台短篇映画祭の実行委員や、「幕の人」名義で映画講座を主催するなど、仙台の映画業界に関わり続けている。


2023.10.30+11.06放送

揺らぎを描いて、真っ直ぐ進む

酒井:今回の「新しい酒井3」ゲストはこの方です。こんにちは。

菅原:こんにちは。

酒井:アーティストの菅原睦子さんです!!
って、急にラジオっぽい雰囲気出しちゃいましたが、菅原さんと僕は同じ会社で働いていて、この収録も会社の一室で、これってもう、打ち合わせですね笑。くすぐったい感じですが、よろしくお願いします。菅原さんは色々な顔をお持ちですが、本日は アーティストの菅原さんとしてお迎えいたしました。前半は絵のお話を中心に、後半では長く関わられている映画に関すること、そして11月に開催される映画のイベントについてお伺いしていきます。

菅原:はいはい、よろしくお願いしますしますー

酒井:まずは、この収録の前日までイラスト作品の個展を開催されてたということで、お疲れのところありがとうございます。

菅原:今年はちょっと色々な事がありすぎて、毎年5月に開催していたのですが、もうめちゃめちゃな状態で予定時期に開催できず、ギャラリーに泣きを入れて秋まで伸ばしてもらったんです。。。それでもギリギリでしたね。やっぱり。

Gallery TURNAROUND『雑記録2303-2310 菅原睦子作品展2023』 展示風景より ©️Mutsuko Sugawara
Gallery TURNAROUND『雑記録2303-2310 菅原睦子作品展2023』 フライヤーと展示作品 ©️Mutsuko Sugawara

酒井:年1回の個展はパワフルです。

菅原:そうですね。これもまぁ、ルーティーンみたいなもので、これをサボると多分人間として終わるんじゃないかって。自らに課してるようなところはあります。

酒井:作品はすべて新作ですか?

菅原:そうですそうです。このスタイルは震災以後ですが、やっぱり3月11日に何かを描いて残そうという想いもあり、毎年新作で個展を開いています。特に大きなテーマは掲げず、その年その年で感じたもの、会った人など、頭によぎるものを起点に描いています。大きくはずっと、草原に立つ人みたいな感じ。そこは変わらない。

酒井:なるほど。その時の気持ちが強く反映されているのですね。

菅原:例えば、知り合いが癌になり髪の毛が抜けてカツラを作ったのだという話を聞いた時、私はすごく切なくなって、頭に何かを被せてあげたいっていう気持ちが湧いてきて、それが絵の中に「何かを頭に乗せている人の絵」として表現されたりとか。いろいろなものを描いて乗せました。絵のきっかけはいろいろあるけれど、綺麗なものばかりじゃないんです。まあ、なんか、その時々のちょっとしたきっかけから、自分の中で世界を広げていく感じ。

酒井:面白いですね。菅原さんの心の揺れ方がそこにあるのですね。

菅原睦子《秋の気配(仮)》2023 ©️Mutsuko Sugawara

アンリ・ルソーからもらった色

酒井:そう、刺激といえばこの番組からも出しました。ここは「ラジオ3と酒井で新しいことを考え始める」というコンセプト番組なので、ゲストの方も巻き込んで新しいことにチャレンジしてもらおうと。僕から菅原さんへの無茶ぶりな宿題は「7色」というお題。色。

菅原:これです。

酒井:おお!!!!!こういう感じの色のセレクトなんですねー。
これまたラジオで伝えられない企画なのですが、菅原さんの7色、こういう感じの色のセレクトなんですね。なるほどなー。

菅原睦子さんの宿題 ©️Mutsuko Sugawara

 →→→ 菅原睦子さんの宿題作品の詳細はメンバーシップページで紹介しています。

菅原:やってるうちに自分がくすんだ色が好きだってことにも気がついて、多分その理由は画家のアンリ・ルソーという作家が好きだからかな。多分、相当影響は受けてる。

酒井:菅原さんの作品は普段はモノクロームがメインだから、どんなカラーパレットになるか楽しみでした。これは新鮮。菅原さんが映像作品を撮ったら、こんな画面が広がるんですかね。

菅原:夕暮れが似合うような色が好きですね。今から暗くなるよっていうタイミングの色がすごい好きだな。

映画の人

酒井:仙台の映画シーンにおける菅原さんの活動を教えていただけますか。

菅原:話せば長いことになるのですが。。。かいつまんで言うと、世界で自主映画が盛んだった頃に日本にも幾つか団体がありまして、私もそこにちょっと入ったりしていたんです。当時の仙台って、若い日本の監督の映画をやることも少なかった。今でいう単館映画。そして、現在の短篇映画祭もその前身があったことが影響していて、せんだいメディアテークがシアターを作るに際も、どういった映画がいいかどうかとか、自分たちの団体に声がかかることもありまして、そんなこんなで、普段あまり観る機会がないような作品を扱おうということで、2001年から関わり続けている感じ。

加えて、若い人にその場所は引き渡したい気持ちもあって、何か自分ならではの楽しみを作りたいなと思い、6年くらい前から「映画のみかた」といった場を立ち上げて、監督さんに声をかけて、年に3回くらい、お客様と15人〜20人集まって、監督さんとともに好きな映画の内容や演出について話し合う会をはじめました。

酒井:規模感が絶妙にいいですね。

菅原:大人数でやるわけではないので、割と自由に内輪の話とか。今回の浜口隆介さんとか、三宅庄さん、塩田明彦さん、そういった若手の監督さんに声をかけて開催してます。

酒井:東北でこのような活動を続けるのは、かなり難しいですよね。

菅原:仙台ってどうしても学生が外に出てしまう街なんですよね。東京じゃなくても仙台でも面白いことできるよっていうのを伝えたいし、そこに触れたことから自分もやりたいなって思う人が生まれてきたら嬉しい。仙台で完結しなくても、仙台に来てもらっちゃえばいい。東京じゃなきゃできないってこともあるけれど、仙台だからあえてできることもある。

酒井:そうですよねー。監督との距離感とか、東京で同じ企画をやっちゃうと集まりすぎちゃって、微妙。

菅原:私たちがやっているスタイルは、イベントやって、みんなで中華食べに行って、ダラダラっとするみたいな、そんな感じ。

酒井:最高◎

菅原:身近で監督たちの考えを感じてもらえると、若い方も刺激になるんじゃないかって。もちろん自分が1番楽しいんですけど、 やっぱり、そういうことに興味持って、自分もやりたいなって人が出てくることがいい。そうしたら、仙台はもうちょっと面白くなるんじゃないかなって。そんなことグルグルと思ったりしながらやってる感じですね。

2001年から関わっている仙台短篇映画祭 (Photo:Mutsuko Sugawara)
仙台短篇映画祭の会場 (Photo:Mutsuko Sugawara)

放送回はPodcastでも配信中

#13 Guest Talk 04: 菅原睦子[アーティスト]1/2
#14 Guest Talk 04: 菅原睦子[アーティスト]2/2(2023.11.06公開)

https://open.spotify.com/show/4Lwo8gyWxtxWYLzimj48rA?si=5b80d5fc96494b75


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