見出し画像

大切にするその気持ちまで譲り受けてもらえる気がして嬉しかった話

長年使ってきた本棚を人に譲ることにしました。
その本棚は、結婚してしばらくして買った、
だからもう15年のおつきあいになるもの。
白木の枠や棚板にオイルを塗って日に当てて、
どんどん飴色になっていくのを家族で
楽しんで育ててきたのです。

棚や部品を色々組み合わせて形が変えられるので、
最初に住んだ家のリビングでは、
絵本や、積木や、機関車なんかを。
主人の転勤で住んだ大阪の広い子供部屋では、
娘の幼稚園の制服やピアノの楽譜なんかが収められ。
逗子に引っ越してきて小さくなった子供部屋でも
子供二人の本や宝物がギュッギュっと詰め込まれていました。

ずっと私たち家族を見守ってきてくれたものでした。
だけど、新しい家に引っ越して、収まるところがなくなり、
ついに、手放すことになったのです。

もう必要じゃない。それはわかっているけれども。
本棚の前で離乳食を食べる息子の姿や、
引き出しに入って遊ぶ魔の二歳児の娘の姿が、
なんだかセットになって浮かんできて。
本当に手放していいんだろうか、と
寂しい気持ちになっていました。

だけど、
今日、本棚を受け取りにきてくださった方は、
なんだかちょっと私たちの家族に重なるような雰囲気の方で。
「いい色ですねぇ。新品はサイトで見ると白すぎるから気になっていて。
 変わるんですね、いい感じに。」
と、私たちの気持ちまで一緒に連れてってくれるようなお言葉。
「組み合わせて、子供の机にしようと思って。」
と暖かい本棚の第二の人生まで見ることができて、
こころがほんわり。

ああ、手放していいんだな。
本棚を手放しても、私たちの塗ったオイルや、当ててきた日差しは
そのまま連れて行ってもらえて、
私たち家族の中には本棚の前で過ごした暖かい時間が
ちゃんと残っているなぁ。
そう思えました。

本棚が新しいご家族の役に立てますように。
もらってくれてありがとうございました。

この記事が参加している募集

おうち時間を工夫で楽しく

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?