日本の未来地図 ―何をしていくか②―

1.はじめに


 今回は、東京一極集中の流れがある現状から、今後何をしていけばについて考えていく。その際、東京圏と地方という大きな枠組みで考える。

2.東京一極集中


 河合(2019)は、東京一極集中は是正する必要があると考える。なぜなら、「東京圏に住む人々は食料もエネルギーも若き労働力までをも地方に依存しているから」である(河合, 2019:222)。しかし、少子化によって今後若者の数はどんどん減っていく。すると、若者を雇用できなくなるところがぽつぽつと出てきて、新規事業が生まれづらくなってくる。企業も人も東京に集まり、それがサイクルとして成り立っているのは、新たな商品やサービスを生み出し続け、発展しているからであろう。しかし、人に支えられて成立するこのような手法は今後通じなくなる。「少子高齢化が続く以上、東京圏がこれまでの手法にしがみ続けたとしても、いつの日か破綻を迎える」(河合, 2019:223)。
 ただ、厄介なのは、この破綻が目に見えて侵攻していないことである。これまでもみてきたように、東京一極集中は止まるどころか加速している。日本全体の流れを見てみると、「令和時代の日本列島では、東京圏の人口膨張と、人口が大きく減りゆく地方の拡大という二極化が進行していく」(河合, 2019:223)。そうであるとすると、破綻するまでに何をすればよいのか。河合(2019)は、この状況を逆手にとることを提案する。破綻が目に見えて進んでいないのは、これまで東京が発展してきたことによる「貯金」があるからである。ゆえに、貯金があるうちに、すなわち「拡大路線による過去の成功モデルで東京圏が日本の経済成長を何とか牽引しているうちに、人口減少が続く地方の社会基盤を、人口が減ってもやっていけるように根本から作り直す」ことが必要であると考える(河合, 2019:224)。

3.地方の共通課題


 地方は、市町村それぞれ直面している課題は異なる。前回までに述べた、横浜市と福岡市を比べても一目瞭然である。ただ、地方に共通する課題もある。それは、「新幹線や高速道路を延伸したり、大企業を誘致したり、宅地造成を進めたりといった従来の開発型発展モデルにしがみついている場合ではないということ」である(河合, 2019:224)。なぜなら、今後少子高齢化によって人口が減少していくことを前提とすると、そうした開発型による発展によって市街地を増やしても人口密度は低下するので、「広げすぎた街並みを畳んでいかない限り、政令指定都市であってもいつの日にか「賑わい」を維持することが難しくなる」からである(河合, 2019:225)。拡大・発展政策ではなく、コンパクト化・スマート化の政策を行うことが、地域の維持につながる。

4.東京圏と地方


 河合(2019)はとにかく東京にしても地方にしても、今後私たちはこれまでと同じような思考で社会課題を解決していけないことを強調したいことが分かる。そして、今後日本が置かれるだろう状況をほとんど認識されておらず、従来のやり方で政策に取り組んでいること、分かっているのかもしれないが過去のやり方に依存していることに危機感を覚え、警鐘を鳴らしているのだと思われる。

5.まとめ


 今回は、東京圏と地方の直面している課題と解決の方向性を見てきた。危機的状況を実感できないが、日本は今転換点にあることを認識し、過去の手法から変えて、思い切った戦略と政策を考えていく必要があることが分かった。

参考引用文献


河合 雅司(2019). 『未来の地図帳―人口減少日本で各地に起きること』講談社現代新書

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