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「初仕事」監督・監督:小山駿助

2022年9月某日

「初仕事」
監督・監督:小山駿助

監督の小山駿助さん、
初の長編監督とのこと、素晴らしく面白かった。
人々、景色、音、光、夢中で時間が過ぎた。
上映館が少ないみたいなのに、地方なのに観られてラッキー。
すごい感性、今後の作品も楽しみにしたいです。

小山監督、俳優としても凄くよくて、引き込まれた。
演技していないようなドロンとした目と
ボソボソと早口で聞き取れない感じ(でも聞き取れたけど)
で話すトーンの気持ち悪さ、(sns時代の顔のないアカウントの様な存在をイメージした!)
絶望のためなのか「安斎」のキャラなのか、
だらんと力の抜けた浮遊感のある身体。
表情が動かなくとも手や足が先に意志を現して動く。
身体がまるごと役者、ま、それが役者ってもんなんだろうけど。でもなんだか特にそう見えた。

酔って車に乗れず崩れるところなんて(←まだ書くw)
監督&脚本が表現したい「ここで酔って崩れる」という文字が頭に浮かぶ様な、
説明的な演技、のようでもありながら逆説的(?)に自然で鮮やか。
(書いてて意味分かんないけど。語彙がバカなのよw)

主演の山下役の澤田栄一さんのスゲー眼差しと不思議な存在感、
カメラマン、アシスタントらしい「現場」っぽい立ち居振る舞いと受け答え、存在がリアル。

それでいてみなが同じ夢の中の世界にいる様な…
「間」のある演技…演出…
うーんうまく言えない。その…器用な俳優じゃない、汚れてないピュアな演技というか。下手という事じゃ無い。全員リアルだった。
専門的なこと分からないけども。

それがこの作品の特徴的な雰囲気になっていて、
時間が経つにつれ、次第にそれがそのまま、
どんなベテラン俳優よりも役そのものになっていたのを見せつけられる。

あと北館役の武田知久さん、オーラすごいですね笑
宿に帰って彼がいた時、脳内で「で、おまえさん、どうだったんだい?」とかいう、落語のおかみさんの声が聞こえて来た。
この人が落語やったらずっとみてられそう。
なんで落語か分かんないけど、ふとそんなイメージが湧いたw
存在が天才ですね。
よかった。

あと、
山下と安斎の、続く対面。
会話が独特で、私すきだった。
#山田太一 とか思い出した。
青っぽいセリフ劇を観る楽しさ。
近代日本文学の読み過ぎか #小津安二郎 の見過ぎみたいな日本語で話す山下、
言い切り系、現代のSNSから飛び出して来た様に冷ややかで気難しく早口な安斎、

「生真面目」が気味悪い感じになっちゃう世の中の話かしら、
生真面目を共有する話かしら、
この2人はどんな時間を紡ぐのかな、と思いつつ

スイッチが入ってからの圧力の逆転にドキドキし、

鈍感な私は言葉にされるまで気付かず。

帰りの車、ハンドルを握る手、
うずくまる山下の足元にそっと側に佇む安斎の、
垂れ下がった手や足が切なく見えた。
感情が、ある状態になっている時の詩的に見える世界が、
そのまま田舎の美しい景色が盛り上げる。

映像は全てが美しくリアルで、
襖の部屋や、その出入りなんて小津映画を彷彿とさせる。

あと、赤ん坊のシーン、あの長さが素晴らしかった。

あとあと、「何そのサングラス」に笑った。
似合ってました。
2人の女性もよかった。
足痺れた感じ最高。
俳優さんの身体性がここでも鮮やか。

結局悪い人がいなくてよかった。
居酒屋の店員さんもよかったです。

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