見出し画像

「燃ゆる女の肖像」

2022年10月某日鑑賞

「燃ゆる女の肖像」
監督:セリーヌ・シアマ

アマプラで観ました。
「秘密の森の、その向こう」(Petite Maman)の
セリーヌ・シアマ監督に恋しまして。

ちょっと本筋からズレた点からですが、
主役の2人の間に存在する、
メイドのソフィ、
彼女だけが最初っから完全にタメ語なのが好きでした笑。
フランス語の、元のニュアンスは全く私は分かりません。

昔、外国人の多く来店する店でウエイトレスをした時に、
慣れない間「コーヒー、オア、ティー?」
ってだけ言ってて(笑)
(次第に丁寧な言い方を多少学んだのですが笑)
あるとき外国料理の店で「お茶!あたかい?つめたい!?」て聞かれたとき、あ!私の英語、この感じだ😂
って思ったんです、
それを思い出して… 違うかな!
そういう、学のない田舎の素朴な子(わたし笑)みたいな口調なのかな、と想像してました。
どうなんでしょうか!
外国の言語、難しいです😌

Petite mamanでも思ったのですが、
こちらは益々、
女(あるいは子供)が笑わないのが好き。
(LOVE LIFEの主人公もそうだったな)

世界に溢れる「笑って♪」「笑顔を忘れずに!」
等々の雑な掛け声にウンザリ…
そりゃ、楽しい時はゲラゲラ笑うし、
あなたに会えて嬉しかったら笑顔を向けますわ。
てなことを思いながら彼女らを眺める私。

アデル・エネル演じるエロイーズなんて、
常に眉間に縦に皺がある。
そう、彼女らは「難しい女」♡

普通、目があったらせめて口角ぐらいあげないか?女なら。
と、思ったら大違いよ♡

そんなデフォルトがとても嬉しい映画。
自由を感じて、ああこの映画は味方だなぁと、
ゆったりした気持ちになれます。

会話でも、この人たち、思ったような返事をしない。
「1人で散歩に行った方が自由を感じるんじゃない?」
と言えば、
「1人なら自由なんですか?」
と聞き返してくる。

「うふふ、そうねえ、1人の方が自由かもねえ」
なんて適当な返事をしない(笑)

適当な返事を覚えないと、難しい女は、嫌われますよ〜♡
それをナチュラルにやってる彼女達が眩しい。

そもそも「女は結婚したいんでしょ?」という類いの価値観があるとしたら、
3人揃って「はぁ?誰が?」てな眼差しをしてる。

好きだったシーンが、
画家のマリアンがキッチンで、
パンを鷲掴みにちぎり、チーズを雑にカットし、
やって来たソフィに「ワインはあるか」と聞く。
“溺れていたのを拾われて急にこの家にやってきた海賊の男”
みたいでゾクゾクした(個人的な妄想ですw)

つまり「女性らしい」所作じゃない事にワクワク♡

ソフィもソフィで、メイドなのに上下関係とかを認識していない感じ、
それに自然に対応する2人のフラット感が、
ちょっとファンタジーですらある。
女は、上下で繋がる事に意味を見出さない、というユートピアを描いた?
ステレオタイプじゃない理想郷があの3人の姿だった。

ところで、ゲイって言葉、かなりカジュアルに浸透してますよね、
おっさんずラブとか昨日なに食べたとかでみる、
可愛く愛おしいゲイドラマとか。

ところが「レズビアン」と口に出すと、
途端にとんでもないことを言っているような雰囲気になりませんでしょうか、
おかしいですね。
そう言う私も、友達に例のドラマのゲイカップルがさぁ、と話せても、
いい映画がある、レズビアンの話で…という言い方で友達に勧めないよな…

それって、やっぱり変だよな…
どうして女だと、現代においてもこんなに秘めた事になってしまうのか…。

この登場人物達の時代なんて、
もっともっと、激ヤバの秘め事、
それはセクシャリティの事じゃなくても、
単に「結婚したくない」ですら許されない。
自分の意思を表明するのは、きっと死を意味する。
現に彼女の姉は…。

「選べる人には分からないわ」
という台詞が印象的。

それを象徴するかの様な、その時代の女性の姿、
固いコルセット、動きにくいドレス、
なんと息苦しそうな…。

それと、
悲しく残酷で美しかった、
「掻爬と赤ん坊」のシーン…
全て女達のみが目撃してゆく営み。

セリーヌ・シアマ監督をもっと知りたくなりました。

それと、私がいつも「女」「男」と書くたびに、
LGBTQ+の人々をバッサリ排除して書いている様な気が、
自分でしていて罪悪感があるのだけど、
私は生まれた身体が女なので、
生まれてから常に「女」を強要されて来た事への長い違和感と怒りがあり、
それがこの様な表現になってしまいます。
いや、恋愛対象も男性ですし、
無理に結婚したりさせられたり、なんて事は無いですが。

でも、自分の姿、髪型や服装や生き方、働き方、暮し方、
あらゆる事で「女性はこう」という圧をかけられて来た不本意の蓄積…

「男性はこう」という圧も重いのでしょう、
お互いそれを手放せたら、もっと楽な社会になりそうなのに。

だから、キリリとした顔つきの2人が、
胸が強調され腰を締め上げられるコルセットを着て生きている事が、
なんだか他人事に思えませんでした…。

美しい映画に、
粗雑な言葉遣いで感想を書いてしまいました🫣

#燃ゆる女の肖像#セリーヌシアマ#映画

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?