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クリエーティブになりたかった

20年間の広告代理店時代、その大半の19年間をいわゆる営業として勤めました。

自分でも営業は天職だと思っているのですが、実はもともとは営業志望ではなく、クリエーティブ志望だったのです。

実際に就職活動はクリエーティブ志望で行っていたし、制作系のエージェンシーの面接もいくつか受けていました。

制作系エージェンシーの入社面接や試験は、当たり前ですが、総合代理店とは違い、最初から最後までクリエーティブに関するものでした。

たしか、3次面接で「某ドーナツチェーン店の新商品発売CM」というお題が出て、新商品案とCM案をコンテを使ってプレゼンするというのがありました。

その課題に対して私は、新商品案を「タコス」と設定し、そのタコスに蛸が入っていると勘違いした蛸好きのお客さんが、真っ赤な蛸のお面をかぶってお店に買いに来るというCM企画を考えました。

そのCM案を、手作りの蛸のお面をかぶって、面接官の前で一人芝居でプレゼンしたところ、面接官が斜め下を向いて苦笑いしていたのを覚えています(汗)

今、考えると、とてもとてもサブい企画ですが、結果的に採用していただいたのですから、企画力というより、度胸を買われたということだったのかと思います(笑)

最終的にはその制作系エージェンシーには入社せず、その後、縁あって採用いただいたADKさんに入社しました。

ADKの新入社員研修では、クリエーティブ志望というのが恥ずかしく、同期からもお前は営業とかメディアが向いているといわれて、自分でも少しその気になっていたところ、配属先がメディアとなりました。

その後、2年目に営業へ異動。そこから営業での下積みが続くのですが、自分の中ではいつかクリエーティブ試験を受けて、クリエーティブへ異動するんだとひそかに思っていました。

でも、その下積み期間に考え方が大きく変わります。

それは、営業としてたくさんのクリエイターの方々と仕事をしていく内に、自分が考える企画なんかよりも、何倍も面白い彼らの企画を1つでも多く世の中に出していきたいと思うようになったのです。

自分が考えるつまらない企画を悪戦苦闘して世に出すことよりも、自分が考えるよりもっともっと面白い企画をたくさん世の中に出していく方に、魅力とやりがいを感じるようになったのです。

そう思うようになったことで、自分自身がクリエイターになりたいという気持ちよりも、いろんなクリエイターの方々と仕事をしたいと思うようになりました。

結果的にその判断は間違っていなかったと思います。

その後、たくさんのクリエイターの方々とたくさんの仕事を一緒に行うことができました。

自分がやっていきたいことに対して、自分ができること、自分の役割を判断することで、素敵な企画をたくさん世の中に出すことができましたと思います。

まぁ、そもそもクリエーティブ試験を受けたとしても、受かったのかどうかはわからないですけどね(笑)


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