見出し画像

レディ・バード(Lady Bird)【ぐすたふ】のシネマ徒然草子.Chapter2

さて、シネマ徒然草子も第2弾を迎えました。
今回は昔見た映画のなかで、今日ふと思い出したものについて書きたいと思います。
なので、少し記憶が曖昧かもですが、どうぞよろしくお願いします!

 ※記事の中にはネタバレも含まれますので、これから映画を見ようと思っている方は作品概要以降、ご自身の判断で読んでいただけますと幸いです

ー目次ー
 1.作品概要
 2.見どころ
 3.感想と徒然


1.作品概要

 邦題:レディ・バード(原題:Lady Bird)
 監督:グレタ・ガーウィグ
 主演:シアーシャ・ローナン, ローリー・メトカーフ, トレイシー・レッツ
 制作年、国:2017年、アメリカ

 ストーリー概要:
 自称レディ・バードと名乗るクリスティンは、生まれ育った田舎から大都会への進学を夢見る女子高生。
 高校生活最後の一年、友人と、恋人と、そして家族とぶつかり合い葛藤しながら、悩みながら、思い切り楽しみながら、彼女は毎日を過ごしていく。
 この一年は彼女に何をもたらすのか。


2.見どころ

 この映画での【ぐすたふ】的おすすめシーンは、なんと言っても最後のシーン。
 大学進学のため、クリスティンが地元を離れ一人暮らしを始めるところでこの映画は終わりを迎える。
 そのまさに最後のシーンで、スクリーンに映るクリスティンのなんとも言えない表情・姿に、私の心は一気に持っていかれてしまった。

 それまでのストーリーは、女子高生というエネルギー溢れる若さ故なのか、まさにコメディー・はちゃめちゃ展開なバタバタ映画だったのだが、最後のシーンだけで、彼女がもう女子高生ではないこと、子供ではないこと、つまり彼女の成長を見事に表現してしまったことに、脱帽してしまう。

この映画がヒットした理由はきっと、多くの大人が経験したであろう、学生時代の考え足らずで、バカで、でも最高に楽しかった毎日の思い出(世に言う若気の至りだろうか)と、もうあの時代には戻れない大人の自分という現実が、この映画の主人公・クリスティンと重なるからだと思う。
自身の青春時代を描いた映画のように感じる人も多いのでは。

このラストを撮るために、そこまでの約1時間30分は作られたのではないだろうかとさえ思ってしまうシーンである


 3.感想と徒然

青春は、痛い。だけど愛おしい。

誰の記憶にも、若い頃の自分の行動で、思い出すと恥ずかしくなるようなことはないだろうか。

見どころでも書いた通り、この映画は全編クリスティンの高校生活最後の1年を描いている。
主人公・クリスティンも、あの年頃特有の見栄や反発や理想ゆえに色々と行動するのだが、まるで学生時代の自分を見ているようで、こちらが目を覆いたくなってしまう気恥ずかしさに襲われる。
(クリスティンのはちゃめちゃ具合は、度を超している部分も多々あるが…。)


でも、感情のままに行動したことから色々なもの・ことを学び、我々は成長していく。
クリスティン自身も、彼女自身の行動を通じて様々なことを経験する。
その多くは思った通りにいかないことばかりで、彼女にとって辛いことばかり。
しかし、その経験を通じて、彼女は親の愛に気づく。友人の大切さに気づく。恋はいつも理想通りの展開になるわけではないと知る。
そして彼女は自身の未来を見つめ始める。

クリスティンが変化していく過程は、我々がクリスティンと同じ年齢の時に経験したことだ。
当時はなかなか整理がつかなかったり、理解できなかった自身の成長を、この映画を通じて客観的に見ることができ、ようやく受け入れることができる人もいると思う。

つまりこの映画では、クリスティンを通してもう一度自分の青春を体験できるのだ。
そして、当時の自分自身の必死さや苦しみ、悩み、痛みをようやく理解し、受け入れることができ、私たちは成長した自分自身をより一層愛してあげられる気がする。


青春は、痛い。だけど愛おしい。

そう思えたら、今よりもすこしだけ、自分を愛してあげられる気がする。