230328 卒業
この世で唯一コピーできないものは人間同士の関係性である、と聞いたことがある。
全く同じスペックを持った自分たちのクローンが出来たとして、それらが出会ったとき、果たして今の私たちと同じ時間を過ごすだろうか。
クローンになくて人間にあるものはなんだろうと考えると、それは過去ではないかと思う。
いくら技術が進んでも、どれだけ多くの情報があっても、私とあなたの過去はコピーすることができない。
人は過去の経験から自分の感覚や思考を更新していくし、誰かと出会ったときに相手に抱く感情は、過去の経験から想起されるものに深く結びついている。あの人はこうだったけどこの人は違う、あの時と同じ場所なのに前よりも楽しい。そうやって過ごす時間が、人間同士の関係性を築いていく。
私は誰にもなれないし、自分の人生しか知らない。
でもそれは憂うべきことではないような気がする。
私は人に恵まれる強運の持ち主なので、この4年間で素晴らしい人たちに出会いました。
あなたのこれまでの人生の中に少しでも私がいるということが、とても嬉しくて誇らしい。そう思える人にこれからどれだけ出会えるのでしょうか。
この世にもう生まれてしまって、
23年も生きてしまって、
あなたと出会ってしまったのだから、
私はあなたのことをこれから先も大事にします。
どうやったって無くすことなどできないのだから、一緒にとんでもなく楽しくてかっこいい未来を作るしかないじゃないですか。
過去の思い出に浸るとか、未来を人質にして今を乗り切るとか、そういう瞬間があったっていいけれど、私はとにかく、これまで出会った大事な人たちとの無二の関係性がどう形を変えて色を変えていくのか見ていたい。たとえ尖っても刺さっても、薄くなって見えなくなっても、それでも面白がれる人間でいたい。
そうやって思えているから、別れの季節と言われる春も寂しくない。
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